表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/191

第42話 事の真相、悪意の根源


 場が静まり返り、やがて侯国軍の方からざわめきが聞こえてきた。


 チョーロクがふわりと宙に浮き、候王とボーニア伯爵の位置まで下がる。

 すると、候王が一人、馬にまたがったまま近づいてきた。


「シュクシ殿。ここまで事を起こして、退けと申すか」


 白騎士のおっさんが前に出る。


「ご覧になられたであろう。この壁は厚い、抜けぬ。無理を通すは不可能」


 おっさんが俺とマキナを見て、さらに後ろに目をやる。

 足音を立てながらアベイル隊長が歩いてきた。


「父上。引いては下さいませんか。まだ軍の衝突は起きていない、和解の道は、閉ざされておりません」


 俺とマキマキは話の流れを見守る。


「国に安寧を、民を飢えさせぬ政治をと、おっしゃっていたではありませんか。聖王様は名君です。争う理由はないはず。あったとしても、そこに正義はありません」


「過去の考えを今日コンニチも持っているとは限らん。そして正義は、必ず優先されるものでもない。物事は、あるべき形に戻さねばならんのだ。ゆがみはいずれ全てを崩す」


「殺すからには殺されるのです! 奪うからには奪われるのです! その対象は父上や父上の近しい者とは限らない! だが貴方の民です! 貴方が統べる国の! 貴方の民です! 国とは場所ですか? 違うと私に教えたのは父上ではありませんか!? 民が傷つけ合わぬよう! 法を厳しく制定されたのは父上! 貴方ではありませんか!?」


 ……アツいねアベイル隊長。

 向こうからボーニア伯爵も近づいてきた。


「候王陛下。今我々が戦闘を強行したところで、最早この関所は突破できませぬ。幸い殿下のおっしゃる通り、軍の衝突はまだです。我らが責を取れば候国は存続できましょう。……泡沫うたかたの夢であったのです」


「……そうか」

 

 目を閉じる候王。

 俺とマキマキに顔を向けて、馬から降りるボーニア伯爵。


「言葉にするのもはばかられますが……申し訳ございませんでした仮面の戦士殿、異界の天使殿。責任の多くは私にあります。ただ、あなた方と過ごしたあの一夜は、本当に楽しかった。そこに嘘はありませぬ。皆さまの信頼を裏切った事、お許し願おうとは思いませぬがどうか、どうか謝罪の意だけでもくみ取って頂きたく……」


 ボーニア伯爵はそういって頭を下げ、膝をついて両手を組んだ。


 俺とマキマキ、アグーは顔を見合わせる。


「ボーニア伯爵さんの気持ちはわかりましたよ。アベイル隊長のお兄さんにも、聖王様に宜しく言っといてくれって言われてるし、まあどうなるかはわかんないですけど」


 俺は最終フォームを解いて、ボーニア伯爵に手を伸ばす。


「反省してたって言うだけ言ってみますから、とりあえず頭上げてくだ――」




「ィヒヒ。ぬるい男よ」




 ボーニア伯爵の口からイカみたいな触手がグワッと伸びて、俺の身体に巻き付いてくる。

 

「カブラギさん!」


 うおぉぉ! 気持ち悪!

 振り払おうとすると、両腕を枯れ木のような黒い手で掴まれた。


 ボーニア伯爵だ!

 人間じゃなかったのかよ!


 白騎士のおっさんが俺に手を伸ばす。

 が、透明な魔術障壁にガキンと防がれた。


「手出し無用ですぞぉ」


 チョーロクがいつの間にか、ボーニア伯爵の後ろにいる。


 首に触手が巻き付く。

 ボーニア伯爵の両腕、その下からもう二本腕が生えた。

 ベルトのガイアコアをガシっと掴んでくる。


「何しやがる!!」


 叫ぶ俺に、チョーロクが答える。


「おっほっほ。その黒い水晶がチカラの根源と見ました。引きはがさせていただきます」


 グッとガイアコアを引っ張られる。

 そりゃ無理だ。


 バチバチと火花が飛んで、バケモンみたいになったボーニア伯爵に紫電が走り、ガクガク震える。

 

能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ能力向上パワーアップ


 チョーロクが魔術を唱えるたびに、ボーニア伯爵のチカラが強くなる。


「おいやめろって! 死んじまうぞ!」


 俺の制止に、チョーロクが冷たく答えた。


「やめられるはずがありますまい。ボーニア伯、いや、ガドニア候王二世はこの時を、数百年待ったのでする。父の愚かな選択を恨み、ずっとずっと牙を研いできたのでする。ワタクシのチカラを借り、人を辞めてまで」


 なんだって?


「叔父上がガドニア候王二世だと!?」


 アベイル隊長が声を上げ、現ガドニア候王は虚ろな目で、どこともなく前を見ている。


「自分こそが大聖王国を治め、世界に覇を唱える。その機を待ち続けたのでする」


 腕を上げ、感極まったようにチョーロクは叫んだ。



「創世神の加護を受けて!!」



 ボーニア伯だったソイツは、その皮膚を脱ぎ捨てた。


 タコのような頭、

 枯れ木のような四本の尖った腕、二本の足、

 鱗に包まれた身体、

 蝙蝠のような羽、

 口からはヌラヌラとした触手を生やしている。

 身体は俺の二回り以上デカい。


 バケモンだ。


 バケモンは体中から煙を上げて、俺のガイアコアを引きはがした。

 それを、焦げた四本の腕で掲げる。


「ぉオオ! これガ有れバ! 私はヨリ! 強大なチカラを得るデあろぉぉ!!」


 解放された俺は後ずさり、片膝をつく。


「おーっほっほ! そうです! そうです! もはや十分な戦果が得られました! 後はこの場の者共を全てほふり! 魔素へと還してしまいましょうぞぉ!」


 俺の周りには、チョーロクの魔術障壁がある。


 アルマが斧を振るうけど、破れない。

 白騎士のおっさんも両手を突くが、破れない。

 アベイル隊長も剣を叩きつけるが、破れない。

 マキマキはジュエリールのチカラが空になった。破れない。

 アグーは毛だ。破れない。


 誰も俺を救えない。


 ガイアコアが離れるって事は、俺の変身が解けるって事だ。

 

 ガイアエネルギーから解き放たれた身体が、鈍く瞬く。




 俺の、真の姿が、衆目の元に晒される。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリックして応援してね↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ