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神殺しのケルベロス  作者: アナログ牛蒡
第1章
6/6

契約

少し長くなりました。

「――――――――――――――!」


(………………ん………だ……誰だ……?)


 微睡む意識の中、真司は誰かに体を揺さぶられている感覚を感じ、意識が徐々に覚醒していくのを感じた。


「――――おき――さ――――よ!」


(ああ、また俺は居眠りしていたみたいだな…………でもまだ眠いから寝かせてくれよ、部長・・……)


「……ちょっと、起きなさいって!」

「ん~あと2時間………」

「…………………………」


(お?部長にしては諦めるのが早いな……ではおやすみ…………ぐぅ)


「このぉ……いい加減に、起きなさいって言ってるでしょうがー!!」

「!?ぐぎゃあああああああああああああああああああああ!!」


 彼の顔面に強い衝撃と共にドゴーンと大きな音が聞こえ、その頭は数センチ地面にめり込んだ。


 顔面に来たかなりの衝撃のおかげで彼は一気に意識を覚醒した。そして彼はその原因となった者に怒鳴り込む。


「……痛ってーな、何すんだよ部長!いくらなんでもやり……すぎ?」


 彼は知り合いだと思い怒鳴り込んだ者を見るとそこには眼を見開いて驚いた顔した白銀の長い髪に線のように何本も入った赤い髪が混ざっていて、きれいな緑色の眼をした女の子『ルシファー』がいた。その隣には仮面をつけた魔術師のような姿をしたメルリリスがふよふよと浮いていた。


「ああ、ルシファーさんか……」

「……う、うそ、ほんとに目が覚めた……」

「ほんとって……そりゃあ、あんな衝撃受けたら誰でも目が覚めると思うんだが……」

「………グス、もう、心配……したんだからね……」


 彼女に何か言おうと思っていたが目に大きな涙を溜めながら今にも泣きそうになっている顔を見て、もういいやと泣きそうな彼女の頭に手を置いて撫でた。


「すまんな、なんか心配させちゃったみたいでさ。」

「…………ほんとにそうよ、あんな無茶して……許さないんだから」

「だからすまんって。ほら、このとおり体はなんとも(?)ないからさ」


 そう言って自身の体を見ると少し違和感を感じた。前の戦闘で服はボロボロだったのだが、体には傷がなく、右手には狼のレリーフがついた黒い銃が握られていた。


「ん?どうなってんだこれ?あとこれは銃?なんでこんなものを……」

「へえ~それは銃というものなのか。それはどういった物なんだい?」


 興味津々にメルリリスは右手の銃をまじまじで見ている。とりあえず無視してルシファーに話を聞くことにした。


「そういえばあのあと何が起こったんだ?」

「そうね、実は…………」


 真司は体を鎖で包まれた後の話を聞いた。


「………なるほどな、そんなことになってたのか。で、俺の右手に銃が握られていたと……」

「ねえねえ、それはどうやって使うんだい?ねえねえねえ!」

「わかったわかった、今使って見せるからちょっと落ち着け!」


 とりあえず弾が入っているか確認するためマガジンを出そうとした。だが、出すためのマガジンキャッチがない。人のいないところに向けて引き金を引いたがカチッという音だけがなって何も起こらなかった。


「…………何も起こらないわね」

「あれー?おかしいな、こいつはもしかしてマガジンキャッチが付いてないのか?」

「えー、それって使えないのかい?」

「ああ、この引き金を引けば弾丸が飛び出してくるはずなんだけど、弾が無いから使えないかもな。補充する方法もわからないし……」

「そうなのか……残念だな……」


 メルリリスは残念そうな声を漏らし、ルシファーと真司は困った顔をした。


「……手に持っていたということは意味があると思うんだけどな……一体どうすれば……」

(もしかしてお困りですか、あるじ様?)

「!?だ、誰だ!!」

「え、どうしたの?何かあったの?」


 真司はいきなり直接脳内に声が聞こえて周りを見渡すが、そこにはここにいるものしかない。いきなり不審な動きをした真司を見てルシファーたちもキョロキョロと一緒に周りを探す。


(主よわたくしはここにいます。あなたの手の中にある銃ですよ)

「な、なんだって!?」


 真司は自分の右手に持っている銃を見る。他の2人は謎の声が聞こえずに頭に大きなハテナマークが出ている。


(いろいろ諸事情で今は喋ることはできませんが、主の疑問を答えることはできます。撃つには魔力をわたくしに込めてください。それを弾丸に変えることができます)

「ふむふむ、なるほどな……」


 とりあえず試しに銃に魔力を込めてみる。そして引き金を引くとパーンという発砲音が鳴って射線上の壁に命中した。それを見た2人はいきなりのことでびっくりして混乱していた。


「おお……本当に撃てたよ……」

「な、なに今の?すごい音したけど……」

「おお!それが銃なのかい!すごいね、音でびっくりしたけどそこから射出されたものが一瞬であそこ命中したね!ねえねえ、どうやったんだい?」


 真司はおお!と感動し、メルリリスは更に興奮し始めていた。そんな中ルシファーは未だ何が起こっているのか把握していない。


(満足して頂いて良かったです)

「ああ、ありがとな。ところでお前の名前は何て言うんだ?」

(はい、実はわたくしには名前がありません。よろしければ名前を付けては貰えないでしょうか?)

「ふむ、お前の名前か……」


 真司は右手に持つ銃を見ながら名前を考えた。


(何て名前にしようかな……黒、だと単純だし、ポチ、だとなんか怒られそうだし……黒い銃で狼のレリーフ……)


「……クロウってのはどうだ?」

(クロウ……いい名前です、気に入りました。)

「ねえねえ、何でそんな名前を付けたんだい?」

「ん?ああ、この銃黒いだろ?で、狼のレリーフが付いてるだろ?だから黒い狼でクロウ」

「えー、それは単純過ぎないかい?君もそれでいいのかい?」


 少し呆れたように右手の銃に話しかけるメルリリス、真司自身もこれでいいのかちょっと思っていた。だが、あまりネーミングセンスがいいとも言えないので何も言えなかった。


「べ、別にいいだろう、コイツ自身も気に入っているようだし……」

「主のおっしゃる通りでわたくしはその名を気に入っているので問題はございませんよ?」

「あ、そうなんだ。じゃあいいや……………………へ?」


 自然に答えられて普通に答えたメルリリスだが、すぐにその違和感に気づいた。真司は直接脳に響く声ではなく、自分の下から聞こえてきたのだ。


 真司が持っていた銃が急に光だし光の玉となって宙に浮き、人の形へと変化していった。


「お初にお目にかかります、わたくしが主より名前をつけてもらいましたクロウです。皆様、どうぞよろしくお願いします」


 見た目が真司と同い年くらいの黒髪で犬耳と尻尾が生えている執事服を着た青年が現れ、お辞儀をした。


「ほへ~なんだかいろんなことが起きすぎてもう何言ったらいいかわからないよ。あ、僕の名前はメルリリス。よろしくねクロウくん!」

「はい、よろしくお願いしますね、メルリリス様」

「様だなんて~なんだか恥ずかしいな~」


 クロウに様付されてクネクネしているのを見ていた真司はさっきからルシファーが黙っていることに気がつく。


「そういえば、ルシファーさんさっきから黙っているけど、大丈夫?なんだか話について行けてないみたいだけど?」

「…………よし、決めたわ!!」


 今まで黙っていたルシファーがバッと顔を上げて大きな声で叫んだ。


「!?びっくりした。何を決めたんだ?」

「ねえ、私にも名前を付けてくれないかしら?」

「………………はぁ?」


 いきなり真面目な顔で真司のことを見ながらそう答えた。何をふざけているんだろうと思ったが真剣な顔を見たルシファーを見て真面目に答えた。


「……なんで名前をつけてほしんだ?」

「それはね、天人族に伝わる契約というものがあってね、名前をさずけてくれた者と契約するとお互いに持っている力を共有できるものよ。簡単に言うなら、あなたの力になる代わりに、あなたの力が欲しいってことなの」

「………なるほどな。大体わかったがちょっと待ってくれ」

「あら?私では不満かしら?だったらそこの仮面のやつも一緒でいいわよ」

「へ?ぼ、僕もかい?」


 いきなりの展開でなんだかよくわからないことが続き、真司も軽くパニックになったが少し深呼吸をした。


「……わかった、この際だ、もう2人も3人も一緒だ。まとめて契約してやる。」

「そうこなくちゃ!」

「ふ、ふええええええええええええええ!?」


 まずはルシファーから名前を考えた。と言ってもすぐには出てこなかった。


「な、何で僕も一緒なのさ、明らかに関係ないよね!」

「あら、別にいいじゃない。彼、丁度いい寄り代持っているみたいだし。それとも一生ここにいる?」

「む、むむむむむ!」


 そんな風にじゃれている姿を見て真司はある人物を思い出した。


「…………暁(ボソッ)」

「え?」

「ああ、知り合いでルシファーさんみたいな子に似てたからついな」

「ふーん……いいわよその名前気にったわ!」

「ほんとか?なんとなく出てきたやつだぞ?」

「いいて言ってるでしょ!それとも他にいい名前が思いついたのかしら?」

「いや、思いついてはいないけど……」

「そう、ならいいじゃない!」


 ルシファーは後ろを向いて2、3散歩あるいたあとこちらに振り向いてニッコリと笑いながら答えた。


「今日から私の名はアカツキ・ルシファー。あなたの剣となり、邪魔するものはすべて切り裂いて見せるわ!これからよろしくね、ダーリン!」


 そう宣言と同時に彼女の体が光彼自身にも内から力を感じることができたが、彼女から衝撃的なセリフを聞いてそれどころではなかった。


「…………はぁ!?どういうことだよ、なんでダーリン!?」

「あら、知らなかったの?天人族は契約するということは生涯も共にする約束をするということよ。あと、私のことさん付や敬語もなしよ。だってもう許嫁なんだからね、きゃっ!」

「あ、あはは……………マジかよ……」


 真司は天井に顔を向けて思った。お爺ちゃん、お婆ちゃん………散々早く嫁作れって言われてまだ早いって言ってたけど……俺、異世界で嫁さんができたよ……


「はぁ、次はメルリリスだっけ?お前も名前つけて契約したら嫁さんになるのか?それとも婿さん?」

「ちちちちち、違うよ、僕は天人族じゃないから!僕は妖精族と呼ばれる種族で、依り代に宿ることでそれに力を与えることができる存在で、あの……えっと……だから……その……ゴニョゴニョ」

「そ、そうか……わかった」

「まあ、お嫁さんになるのはまだ早いかなって思うし……(ボソッ)」


 真司はさらりととんでもないことを聞いたが聞かなかったことにした。


「ごほん。で、お前は依り代っていうのはどんなのがいいんだ?」

「あ、えっと、そうだね……武器とか宝石とかに宿ることができて、君が持っていた折れた剣があるだろう?あれに宿らせてくれないかな?」

「ん?ああ、あれか?どこやったけ?」

「主、そこに落ちていたので拾っておきました。」


 いつの間にか居なくなっていたクロウが真司が鎖を斬るために使っていた折れた剣を持ってきた。


「あ、ありがとう……」

「いえ、主の役に立つことがわたくしの使命ですので」


 武器を受け取りメルリリスにその剣を見せる。クロウは後ろで嬉しそうに尻尾を振っている。


「……うん、寄り代としては問題ないね。早速だけど、これを寄り代として君と契約するよ。剣を前へ……」

「わかった、こうだな?」


 真司は折れた剣を持った手を前に出した。すると足元に魔法陣が出現する。


「……では始めるよ、少し君にも手伝ってもらうよ。」

「何をすればいいんだ?」

「この剣に君が思う強い剣をイメージをしてくれ。曖昧なものではなくしっかりとしたイメージものをイメージしてくれ、それによってこの剣の姿は変わるはずだよ。」

「わかった、やってみる」


 真司はイメージするため目を閉じて集中した。彼が初めにイメージしたのが刀だ。日本人であるというのも関係するが、刀は突きも斬りにも優れていて、達人ならば鉄でも切れるイメージがあったからだ。


 折れた剣は次第と形を変え、刃が片方にあり、刀身がの長さは二尺ほどでまで伸び、反った形に変わった。そして刀身からは青白い電気が走っていた。


「…………契約は完了したよ。お疲れ様、これからもよろしくねご主人!」


 真司は契約が完了したことが分かり初めに見たのは手に持っていた剣が刀に変わっており、ハバキの部分に青色の宝石が付いている。刀身は青白く光り電気が走っていた。まるで一つの芸術品のように綺麗だった。


 そして次に目に入ったのがメルリリスが魔術師の服がミニスカの和服に変わっており、着けていた仮面を顔からずらして着けていた。特に容姿は水色のロングヘアに同じ色の瞳の女の子・・・がいた。


「…………………えー、とりあえず、2つ聞いていいか?」

「う、うん何なんだい?」

「1つ目は、その姿どうした?」

「ああ、剣が変化した時に僕の服装も変化したんだよ。どうだい、可愛いだろう?」

「ああ、そうだな。次に二つ目だけど……お前、女だったんだな……」

「失礼な、男だと思ったのかい?確かに一人称が『僕』だけど僕はれっきとした女の子だよ!」

「ああ、それはすまん」


 そんなこんなで新たに2人と契約をすることができた。なんだか急展開過ぎてもうどうでもよくなってしまいそうだなっと真司は思った。そしてあと2人の名前をそのうち考えておかなかきゃなーと思うのであった。


「あれ?なんか忘れてる気がする……」

誤字脱字がありましたら報告お願いします。

少し展開が瞑想しそうなのでしばらくもう1つの方を集中します。1~2ヶ月開かない程度に更新します。

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