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19、王都が安全だと誰が言った



 レッドベアの肉。レッドベアの皮。爪、牙、眼球などなど数匹分を目の前に並べてみる。

 内蔵系は流石に自重したが、これなんかインパクトあるんじゃね?と、レッドベアの頭部を取り出して天辺に乗せてみた。


「きゃぁぁ!なんでそんなものを持っているんですか!」


 ミリアちゃんが私の隣から飛び退いた。


「こっ、これは!」


 壁側に控えていた美人なお姉さんが、目を輝かせながらレッドベアの素材に飛び付いた。


「あらまぁ~……驚いた、あなた時間遅延タイプのアイテムボックス保持者なのね~?」


 ん……?いま、なんと言ったよクッキーちゃん?

 時間遅延タイプ?

 なんだそれ。 

 アイテムボックスって時間停止がデフォなんじゃないの?

 アイテムボックス保持者は特に珍しく無い、って腹黒……もとい、素敵笑顔の教皇さまが仰ってましたよね。

 いや、まぁ、性能についてまでは確認しなかったけども、種類があるんですか?


 思わす小首を傾げると、クッキーちゃんが「あら、もしかして知らなかったの」と丁寧に説明してくれた。


 アイテムボックス保持者は10人にひとりは持っている能力だけど、性能の差が激しい能力でもあるらしい。

 まず、容量。

 これは、道端の小石10個程度のものもあれば、レッドドラゴン(成体・オス)がまるっと入るものまで様々らしい。

 前者は役立たず、後者は一流商会の専属運び人になれるほど引く手あまたらしい。

 ところで、ドラゴンの重さがわかんねーですよ、クッキーちゃん。


「クルルルク(成体)×10ってところかしらね」


 ほほう。なるほどなるほど。

 うん、わからん。


 次に経過時間。

 外と同じように流れる物もあれば停止に近い遅延タイプのものまであるとのこと。因みに完全停止は過去200年でたった3名ほどしか発現しなかったとのこと。

 温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままの時間遅延タイプは大変便利で、商人はもちろんダンジョンに潜る上級ハンターに雇われることも多々あるらしい。

 当然、容量がソコソコある必要があるけれど。


 あとは、とても珍しいが、品目数って縛りがついているものもあるらしい。


 例えば時間遅延タイプ、ドラゴン大の容量持ちでも品目数1のしばりがあると、種類は一つのみしかボックスに入れることができない。

 ドラゴンの死体をまるっとボックスに仕舞う容量はあれど、それを解体し『ドラゴンの皮』だの『ドラゴンの爪』だの品目が別れた瞬間、解体された素材のひとつしかボックスに仕舞うことは出来なくなるのだ。もとが同じドラゴンでも。

 それが発見されたとき、なにこの虐め……と当事者が泣き崩れたらしい。

 就職先に困らない人生薔薇色なチートかと思ったら、とんだ爆弾が引っ付いてきた感じですかね……御愁傷様です。


 ところで、なんで私のアイテムボックスが遅延タイプだと思ったのかなクッキーちゃん?


「あら。だってまだほのかになまあたたかいじゃない?」


 レッドベアの生首が。


「いゃぁぁぁ!」


 クッキーちゃんの台詞に、ミリアが泣きながら逃げました。

 泣かせるつもりはなかったんだよ、ホントです。


「黒うさぎ様!」


 ギルド店員のお姉さんに、かぶり付かんばかりの勢いで迫られた。

 秘書的なコスがとっても似合いそうな、銀縁眼鏡の知的な美人さんです。

 私の本命カプはキース×ローザですけど、別バラで美人秘書×ローザでも全然オッケイ……じゃない!よぉぉぉーし、落ち着けぇ黒ウサギさん!

 いまは私がローザだろ?って事はなにか、私がこのセクシーな眼鏡美人秘書さん(♀)と絡むってことかい?


 なにその誰得俺得展開。

 鼻血吹くわ。

 それがTV画面の向こう側のイベントだったらな!


「黒ウサギ様!お願いです」


 がしっと私の両手を掴んで、美人秘書さんは胸の辺りに抱くように引寄せた。

 わぁー……やわっかくておっきいふたつのお山に、私の手が当たってるってゆーかほぼ埋まってるよーはははー。


 『これはおっぱいですか?』

 『はい、スイカです』


 そんなテロップが脳内を横切りました。

 これで転生前の私がDTならこの展開に心で鼻血を吹きながらも、必死にくんかくんかしたと思うけど、そーいった衝動は沸き上がらないから前世は女ですね多分…………ヤローでホォモだった可能性は考えないことにします。

 そんなことよりも。


「……い、や、ちょっと、リアルで百合で右側とか、経験値が足りなくて無理っすわ」


 左側ならオッケイって問題でもない。

 まぁ……仮にですよ、仮にキースがユリユリしいのをどーしても見たいってゆーなら、どーしても、どーしてもってゆーのなら……お姉ちゃん頑張っちゃうけどさ?


 いや!がんばるんかーぃ!と脳内でセルフ突っ込みを入れて、拘束されている手を引き抜こうとし……。




【検索可能領域に敵の反応を感知しました】




 ピコーンという音の後に、そんなメッセージが脳内に響いた。

 はい?と首をかしげる間に、脳内メッセージは次の言葉を響かせる。


【マップ上に情報を反映しますか?】

   →はい

    オッケイ

    もちろん


 


 だから、そのネタはもういい!

 いいえが選択出来ないなら、問いかけるなって言ってるでしょう!


【マップ上に情報を反映しました】



 をぃ、まだ何も選んでねぇよ。

 あぁ、ついに勝手に動き始めやがったよコイツ。

 いや、別に良いんだけどね……。

 ところでさ、もしかしてこのウィンドウって、自分の意思とか人格とかあったりするんでしょうか?



【ございません】

【私はただのシステムウィンドウです】

 

【マップを表示しますか?】

   →はい

    はい

    はい

    はい

    はい




 受け答えたぁぁぁ!!

 そして『はい』以外のレパートリーが消えた!

 いや、もう、これ絶対人格宿ってるだろう!



【いいえ】

【私はあくまでも只のシステムウィンドウです】

【マップを表示します】


 え……そんな『あくまでも執事です』的な台詞を言われても困る。


 これってなんのネタだったかしら?と、朧気な前世の記憶を探る私の目の前で、システムウィンドウさんは画面一杯にマップを表示して下さった。

 私を中心とした広域バージョンで。



「…………ギルド店員」


 熱い目差しを向けてくるお姉さんは後まわしにさせて貰って、クッキーちゃんに視線を向けた。


「話は後にしよう……敵が来るぞ」


「敵?」



 ぽよんぽよんのオッパイさまに埋まった手を引き抜き、椅子から立ち上がる。


 私にしか見えないシステムウィンドウに表示された、王都を中心とした広域マップ。


 そこに記されたいくつもの光点が、王都へ向かって移動している。



【敵情報をデータベースと照合します】

【データが一致しました】

【情報を更新します】

  →ホーネット 120

  →ホホーネット 6

  →ホホホーネット 2

  →ブラッドストーンホーネット 1



 ふ。

 前々からちょっと思ってたけどさ、モンスターの名前がセンス無さすぎるよね?

 私が装備してる【クルルルク】でいえば、アイテムボックスに【クルの皮】だの、【クルクの舌】だの【クルルクの目玉】なんて、明らかに同じ種族ですよね?と思われるモンスターの素材やら装備やらが詰め込まれておりました。

 同じ文字を増やしたらいいと思ってんのかしらね?


 まぁ、いいや。

 ところでホーネットってどんなモンスターだ?

 うーむ……ま、見ればわかるか。



「た、大変です!」


 ギルドの職員が慌てた様子で部屋に飛び込んできた。


「ホーネットの群れが急速接近中です!規模は100を超えます!群れの中に上位種ブラッドストーンを確認しました!」


 私は職員の横を走り抜けて、ギルドの外へと飛び出した。




 

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