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鬼は外、チョコは内  作者: チョコレート・オーガ~めいど いん なろう~
バレンタイン編
45/47

愛と狂気とチョコレート。@高梨 裕也

大好きな人のために、愛情たっぷりのチョコレートを作る、狂った少女の話。

 うふふ。うふふふふ。


 バレンタイン。好きな人にチョコレートを渡し、自分の愛をアピールする日。


 彼女は、来るべきその日のために、大切に大切にチョコレートを作っていた。


 時折キッチンから狂気じみた笑いが聞こえてくる。鍋を弄りながら彼女は何かをブツブツ言っているようだった。


「うふふ……待っててね××くん……君のためだったらなんだってしてあげる……」


 煮詰めたチョコレートに真っ赤な液体が注ぎ込まれる。その異臭、見た目から、それは一目で血液だと分かった。




 うふふ。うふふふふ。うふふふふふふ。




「ねぇ、ここまで綺麗に作ったら××くん喜んでくれるよね……? だってほら、彼を好きな人がこんなに見事に作れたんだもの」


 綺麗に作れた。それは間違いだった。

 どれも皆、苦悶の表情を浮かべている。それは何故か。簡単だ。彼女たちをそのままチョコにしたから。


「あの苦しむ顔。堪らなかったなぁ……でも、××くんに食べてもらえるなら本望だよね……?」


 もはや彼女の頭には狂気以外何もなかった。

 ただただ好きな人に振り返って欲しい。

 そのために、邪魔な存在は一人残らず消す。

 もっと彼に近づきたい。もっと彼に愛されたい。もっと、もっと、もっと……。


「私ねぇ、××くんのことなんでも知ってるよ。誕生日だって、好きな食べ物だって、血液型だって。

 ……なのに、なんでこっちを向いてくれないの?」


 行き過ぎた愛情は憎悪へと変わる。彼女は、周りの女を次々と消していった。


「彼に振り返って貰うまでは、みんなに消えてもらうしかないもんね……」


 うふふ。うふふふふ。うふふふふふふ。うふふふふふふふふ。


 彼女の狂気は、いつまでもキッチンから止まらなかった。

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