最終話 僕の最期…
ううう…
くみ…?
そこにいたのか…
君を抱きたい…
また二人で暮らそう…
んん…
ここはどこだ…?
僕はどこにいるんだ?
なんだか長い夢を見ていた気が…
はっ!
くみはどうしたんだ?
僕はくみと一緒にヘリに乗って
組織が用意した原子力潜水艦と
合流するところだった…
たしか…
原潜の名前は『クラーケン』…
そこへ例の白トラ男が現れて
『クラーケン』と戦いを始めたんだ…
その後…
『クラーケン』が氷に閉じ込められて…
くみの奪い合いで
僕と白トラ男の戦いになって…
だんだん僕の意識が薄れていって
何が何だか分からなくなった
それで…
そうだ! 思い出した
確かヤツに右腕を捥ぎ取られたんだ
すごく痛かった…
はっ! 無い!
僕の右腕が…
いや…
それだけじゃない…
身体の右半分が!
無いっ⁉
でも変だ…
全然痛く無いぞ…
それより、僕の姿…
何だこれ…? カニ?
カニの姿になってる…
しかも…小さくなってる?
ん?
あの…
僕を見下ろしてる綺麗な女は誰だ…?
僕を見て笑ってる…
ラテン系の外人美女?
もう一人いる…?
牛の頭をしたバケモノ!
何だコイツは⁉
綺麗な女が笑ってる
ここは、ヘリの中?
くみは?
白トラ男は?
この女と牛頭のバケモノ…
僕をどこかに連れて行こうってのか?
イヤだ!
僕は自分の王国で
くみと暮らすんだ!
こいつらは敵だな!
お前らの勝手にさせるものか!
僕は怒った
怒りがふつふつと湧いてくる
怒りのエネルギーが
僕に力をもたらす…
うおおおおおおおおおぉーっ!
半分だけしか残ってない
カニの姿の僕は
巨大化した
ヘリの中いっぱいに広がるほどに…
僕より小さくなった
牛の頭をした怪物が吠えている
綺麗な女も何か叫んでる
半分だけだって
この大きさなら僕の方が強いぞ
僕はお前らとなんて
どこへも行きはしない…
くみの所へ帰るんだ
そして、彼女と一緒に
僕の王国を…
何だ⁉
牛頭の怪物が僕に向けた右腕が
オレンジ色に光った!
⁉
やめろっ!
やめろおおおおっ!
ぎゃああああああ~!
僕の身体があああっ!
燃えるうっ! 焼かれるっ!
イヤだあああああああっ!!!
くみいいいいぃ!
………
僕は死んだのか…?
ここはどこだ?
水…?
漂ってる…
海の中か?
僕は生きてるのか…
死ななかったんだ…
オレンジ色の光に焼かれても…
いや…
死ねないのか…?
もう手も足も…
感覚さえない、この身体で…
意識だけの…
あっ!
あれは!
サメだ!
こっちへ来る!
食われる!
来るな!
………
まあ…
いいか…
それで死ねるなら
サメの餌でいい…
さあ、僕を食え
サメが来た…
大きな口を開けて
僕を!
………
ん…?
僕がすごいスピードで
海の中を進んでる
自由自在に泳げるぞ
サメ…?
僕はサメになったのか?
カニの次はサメ…
今度は魚の王!
ふふふ…
はははははは!
悪くない
海の食物連鎖の頂点!
いひひひひ
いつか…
くみが海に来たら…
今度こそ…
ん?
血の匂い!
美味そうな匂いだ
振動が伝わってくる…
まだ生きてるぞ!
食ってやる!
獲物だ!
腹が減ってたんだ
食ってやるぞ!
待ってろ!
僕は全速で海中を泳いだ
そうだ
僕は魚の王…
海の支配者だ!
《完》




