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奥山さん、苦心する

どーも皆さんこんにちは。

僕はオークの奥山(おくやま)と申します。オークという部族の出身で魔王軍に歩兵として勤めて五年になります。

え?魔王軍で働くって実際どうなのかって?それがですね、実はめちゃくちゃいい職場なんですよ。お給料は良くて週休2日制で福利厚生もバッチリ、おまけに魔王城全域にwi- fiが備えられていたりと本当に文句の付け所がありません。

…今、僕が任されている仕事以外には。


「ねぇ、奥山さん。私お腹が減ったわ、出前とって!親子丼食べたい!卵トロトロのやつ!」


「はぁ…」


そう、今僕は魔王様がさらってきた人間界の王国の姫フランソワ様が監禁されている部屋の門番をしています。

=====

一週間ほど前でしょうか。魔王様が軍勢を率いて人間界の王国を襲撃しました。あ、ちなみに僕は参加していません。毎週水曜日はお休みをいただいているので。そして襲撃は見事成功し魔王様は国王を従わせるために人質として国王の一人娘であるフランソワ様を魔王城まで連れ帰ったのです。

さすが歴代でも最強と謳われたお方だ、成功の報告を聞いた時僕は素直に感動していました。魔王様のあの指示を聞くまでは。


「とりあえず部屋の門番はオークにすっぺ。姫様といえばオークでしょwwwあ!でも優しそうな奴ね。マジで襲われたら困るから。」


何が「といえば」だよ。ていうか魔王様態度軽すぎでは?

まぁ僕のような末端の意見が届くわけもなく更には魔王様の指示に特に反対意見も出ず、幹部の方々が吟味した結果僕が選ばれたのです。

=====

まぁ、この仕事をするにあたって細かい雑務は免除されるということでしたし、人間の女の子を見張るだけなら楽だろうと最初の頃の僕はそう考えていました、普通の人間の女の子なら楽なのでしょう。ですが…


「ねー奥山さんやっぱり出前はお寿司がいいわ、わさび抜きで。あとYamazonの荷物そろそろ届いてると思うから確認してきて。」


「ちょっとぉぉ!いつのまに通販とかやり始めたの?!ネットはネトゲとか動画サイト見るだけって言ったでしょうが!」


「えー?でも魔王にメールしたらOKって言われたわよ。大丈夫、支払いはクレジットカードで済ませてあるから。」


「そういう問題では…」


めちゃくちゃだ…そう、この姫様自由奔放がすぎるのです。最初は寂しさや不安を紛らわすために無理に演じているのかと思ってました。ですが違ったのです。この子は素でこれなのです。でなければ魔王城に来た初日に床に大の字になって寝られるわけがありません。

日が経つごとにワガママになっていく姫のことを僕は魔王様に報告しました。すると


「何、そんなこと言ってんの?超おもしれえじゃんwwwいいよいいよフランソワちゃん可愛いし、色々買ってあげてよ。」


まぜるな危険とはこのことなのでしょう。最悪な二人が出会ってしまったようです。

魔王様が甘やかしまくった結果、今やフランソワ様の部屋にはふかふかのベッドの他に最新モデルのゲーミングPCと大型モニターにプレイヤーの体への負担を減らすゲーミングチェア、おまけに空調設備という最強のゲーム環境が整ってしまいました。

さらに欲しいものがあればドアの小窓を開けて色々要求してきます。最早小窓の開く「シャン」という音が怖くて仕方ありません。


「奥山さーん、お寿司頼んでくれた?私お腹減って死んじゃいそう。」


「いや頼みましたけど…ていうか大丈夫なんですかフランソワ様。どうせ食べたらゲームするか寝るかなんでしょ?そんなにだらしない生活してたら太りますよ?」


「大丈夫よー、私夜はランニングしてるし」


あ、一応そういう健康意識はあるんだな。ちょっと関心したかも…いや、ちょっと待てよ…


「フランソワ様ってランニングマシン持ってましたっけ?」


「持ってないわよー。奥山さんが帰った後、魔王城の広場をぐるぐる走ってるの。」


「外出てんの?!なんで?!鍵閉めてあるのに!」


「夜に見回りに来るゴブリンの五部原さんが開けてくれるの。スタイル維持のために偉いねって。」


ゴブリンの五部原(ごぶはら)は勤続3年目、部署は違いますがよく食堂で昼ご飯を一緒に食べる僕の後輩です。あとでお話が必要なようです。


「いや普通逃げられると思うでしょ!こういうのもなんですけど何でフランソワ様も逃げようとしないんですか!」


「だって魔界からの出方わかんないし、それにこんな快適な部屋手放せるわけないじゃない!」


朝9時に入城、夕方5時には退城する僕が深夜勤務を決意した瞬間でした。。


「満喫しすぎでしょ…」


どうやら僕の苦労に終わりが見えるのは相当先になりそうです。


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