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超最弱!? 防御魔法の使い方  作者: カンタロウ
3章 怪力の巨人――スノータイタン
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3-1.新たな依頼

「よーし、俺たちに仕事が来たぞ!」


 ケンイチは、依頼書をテーブルに叩きつけた。場所は冒険者協会 王都ルティーナ支部。ゴブリンとの戦いから1週間が過ぎ、エリスとハンドックをパーティに招き入れた直後だった。彼女たちのリーダーであるユーリは現在、行方不明。もしこのまま行方不明となれば彼女たちは仕事がない状態になるため、ケンイチが強引にパーティへと引き入れ、新たに戦力強化された。

 


「仕事ってなんだよ」


 エリスが足を組み、肘をつく。


「それは、南にある山岳地帯――グランドウォールへの遠征だ!!」


 エリスは唇を尖らせ、「ピュー」と高い音を出した。


 

「ケンイチくん、内容は?」


 ハンドックが顔を上げ、ケンイチの顔を覗き込むような形で見た。


「あぁそれは、グランドウォールで魔物の偵察とネーヴェックの被害を受けたカルラ村の復興の手伝い」


 瞬間、エリスはドカッと大きな音を立て立ち上がる。勢いが強すぎたのか、座っていた椅子が後方へと倒れ、協会内で大きな音を響かせる。


「報酬金は、すげぇんだろうな!!」


 興奮している。隣のハンドックは倒れた椅子を起こしていた。しかし、当の本人はそんなこと気にも留めず、輝いた目をケンイチに向けていた。

 あくまで金だ。思えば彼女はどういうわけかお金に対して執着心が強すぎる。ゴブリン討伐の報酬金でもローナと少々もめていたし、面倒ごとを起こしたくないケンイチにとって彼女は爆弾だ。どうにか抑え込ませる必要があるのだが、一体どうすればいいのか――リーダーって大変すぎ。

 あぁやめたい。



「うーん、まぁ前回よりもいいかな」


「いくらだよ!」


「えっとー……4万ルッツ」


「は?」


 その言葉を聞いたエリスは、ため息を吐き魂が抜けた表情で椅子に座る。そして、足を組みそそくさと仕事をしている窓口をギロッと睨んだ。



「んだよ、あんな危険地帯行くんだからもっと弾ませてもいいだろ。お高い人間はわかんねぇから仕方ないよなぁ」


 まるで嫌味っぽく、聞こえるように文句を言った。

 うわ、陰湿だよ――聞こえていないかヒヤヒヤしたケンイチは、その窓口にチラチラ目線を向ける。幸いにも、気に留める人はだれもおらず、聞こえていなかったのかと安心する。



「エリス、いい加減にしたらどうだ」


 彼女に体を向け、朗らかな表情からは思えない威圧を出すハンドック。

 彼は怒っていた。


「あぁ?」


 眉を寄せたエリスは、睨みつける。


「いまのぼくたちに仕事が来ることはいいことなんだ。それにケチをつけるのは、よくないだろ。ケンイチくんに迷惑だとは思わないのかね」


 あくまで大人として、諭すような言い方のハンドックだったが、強く握られた拳は震えている。


「どう考えたって、すくねぇ報酬金で働かせようとするアイツらのほうが迷惑だろ。ハンドック、脳みそまでパワーでおかしくなったか?」


 わざと茶化すようにエリスは言った。


「いい加減にしろ、エリス!」


 今にも取っ組み合いの喧嘩が始まりそうで、早々にパーティ解散の危機が。とりあえずケンイチは、2人の間に割って入り、



「まぁまぁまぁまぁ、両者ともに落ち着いてもらって」


 肩を叩き2人の顔色を窺う。ハンドックは冷静さを取り戻したらしく小声で「すまなかった」と謝罪の言葉を口にした。対してエリスは、舌打ちをしよそに目を向け、一向に合わせようとしない。

 拗ねてやがる。


「エリス。とりあえず、水でも飲んで落ち着きなよ。俺もらってくるからさ」


「………いらない」


「そうか。なんかほしいの――」


「んなもんねぇよ。悪かったな話の腰を折って。続けろ」


「お、おう」


 まだ気まずいのだけど――なんて言葉は呑み込み、いつ出発するのか、どこで寝泊まりするのかなどケンイチは説明した。



「――ってことなんだけど、ここで質問は……」


 言える雰囲気ではない。

 ギスギスして、ピリピリして、とにかく居心地が悪い。今日は早く帰りたい気分だ。そんなとき、ある人が全く発言してないことに気がつく。



「さっきから黙っててどうしたんだ、リーベ?」



 浮かない顔をしていた。心ここにあらずと言った表情だ。話しかけても反応が無く、まるで人形に語り掛けているようで、不安になる。しかし、彼女は人形でもないし、ぬいぐるみでもない。しっかりと心血が通った立派な1人の人間だ。だから、話しかけたら反応が来るはず――嫌われて無ければだけど。

 ケンイチは、聞こえてなかったのかと思い少し声を大きくした。



「どうしたんだよ、リーベ。冒険者協会からの仕事だぜ」


 やっと気づいたのか、彼女は顔を上げる。


「ごめんなさい、考え事をしていて……。もう一回説明してくれる」


 簡単に情報を開示する。

 すると、彼女は鼻に皺をよせた。怒っている――ただ冷静さは持っているようで、声を荒げようともせず、あくまで感情的にはならないようしていた。

 今日はもしかして女性陣お怒りデー?



「グランドウォールって、ネーヴェックがいる所でしょ。アタシたちじゃ力不足じゃない?」


 そういうことか。

 ケンイチは腰に手を当て、自慢げに鼻を鳴らす。


「それなら心配ご無用。なんと今回は、ネーヴェックの縄張りとは反対側で仕事をするから心配しなくて大丈夫」


「はあ」


 まだ不安が抜けてないようだ。相槌が力抜けている。


「構成としては、★1 30名、★2 25名、★3 3名――学者1名。だから、俺たちに危険はそうそうこないって」


 その言葉が決め手となったのか、浮かれない表情ではあったが、「まぁまぁ」と納得し始める。


「それなら、大丈夫かしら」


「だろ? どうせネーヴェックとは出会わねぇって大丈夫だっての」


 そう宣言するが、内心ケンイチもビクビクしている。

 会わないでくれ――と強く願うしかなかった。

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