表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/375

晩ごはん

「ん!美味しい!美味しいよフェルシェイル!」

ナーサの手当てを受け、フェルシェイルの料理を食べたリヨリは、元気を取り戻したようだった。


「当然でしょ!」


フェルシェイルも胸を張る。

細かく刻んだほろ苦い内臓を、ピリ辛の赤い実や野菜と共に炒めた料理は空腹の身体に染み入る。一口食べるごとに力がみなぎるようだった。


「内臓を蘇生させたのには驚いたけどな……」

「さっきも言った通り、内臓は鮮度が一番なのよ。ちょうど心臓も繋がってたしね。それとも内臓も無理だったかしら?」


取り出してしばらく経過した内臓を蘇生させ、締めたての状態にしてから調理したのだ。

しかし吉仲も脳ほどには忌避感を覚えなかった。

新鮮さを取り戻した血の滴る内臓に、美味そうという感想すら抱いたほどだ。


「……まあ、美味そうだったし美味いけど」

「ふふ、吉ちゃん、脳で耐性ができたのかもねぇ」


ナーサもモツ炒めに舌鼓を打ちつつ答えた。


「へえ?じゃ、つまりもう一回戦えば勝てるってことね」

「ええ!?そんなのアリ?」

「今の所、挑戦権を持ってるのはアタシだもの。イサおじには勝っても負けても帰ってこいって言われてるけど、別に戦う回数は指定されてなかったし?」

「え~……店が懸かってなければ、いくらでもやるけどさぁ」


得意げなフェルシェイルに、リヨリが口を尖らせる。


「いやどうかなぁ……内臓は平気だけど、脳みその蘇生はあんまり見たいもんじゃないぞ?」

「大丈夫大丈夫、何度か見てれば慣れるわよ」

「そういう問題じゃない……」


「挑戦権か……。あ。そうだ……ねえフェルシェイル、他の挑戦者候補って知ってる?」

リヨリが何気なく聞く。トーマに教えられないと断られたことはすっかり頭から抜けていたのだ。


得意げだったフェルシェイルの表情が変わる。厄介ごとを思い出したような、面倒くささを内包した難しい顔になった。


「……少なくとも、一人はね。ま、でも多分しばらくは来れないわ」


努めて冷静に言うが、その響きにはなんとも言えない含みがある。


「来れない?来ないじゃなくてぇ?」

ナーサが楽しそうに聞く。


「そうね。方向音痴だし、放っておいたらどこまでも迷うから、まず一人で店まで来られないわね」

「なんでイサさんはそんな奴送ろうと思ったんだ?」


フェルシェイルが仏頂面になる。何か関わっているのは間違いなさそうだ。


「どんな人?」

「……さあね」


はぐらかされ話は終わる、それ以降は何を聞いても答えてくれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ