↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
67/375

夕暮れ

ダンジョンから出ると、外はすっかり夕暮れていた。どこかから、遠ざかる鳥の声が聞こえる。


「ダンジョンに潜ると、時間の感覚無くなるなぁ」

ツタを置き、吉仲は大きく伸びをした。


「時間が分からないものねぇ。ねえ、吉ちゃん、お願いがあるんだけどぉ」

「ん……?」

「私達、リヨちゃんの治療しなきゃだから一足先に帰るわねぇ。それでねぇ、ツタを蔵にしまって、トカゲを沢に沈めておいてくれない?って、リヨちゃんがぁ」


吉仲はツタと簀巻きのトカゲを見る。

沢は近いから沈めること自体は問題無いだろう、カチの家も一度分かるとそう遠くは無い。


「ああ構わないけど……蝙蝠は内臓抜かなかったっけ……?俺にはできないぞ……?」

「内臓……抜いて……」


リヨリが脇腹を抑え、息も絶え絶えに言葉を発する。歩いている内に痛みが強まってきたらしい。呼吸は荒く、顔も真っ青だ。


「ええ……」

「いいわ、アタシがやってあげる。このサイズの内臓を抜いたことは無いけど、身体の構造は魚とそんな変わらないでしょ」


リヨリが力なく頷き、フェルシェイルに鞘ごと山刀を渡す。ナーサはロープの拘束を解き、トカゲの体は力なく横たわった。


「内臓抜いて、ロープで縛り直して沢ね。じゃ、吉仲はその間にツタしまってきてよ」

「お、おう!」

「じゃ、リヨちゃん。もうひと頑張りよぉ」


吉仲は、フェルシェイルがいてくれて助かったと今日一番感謝した。ツタを持ち上げて蔵へ急ぐ。ナーサはリヨリをロッドに乗せて家に向かった。


フェルシェイルは手際良く腹膜を切り裂きはじめる。


吉仲が戻ってきた頃、フェルシェイルの作業は一通り終わっていた。内臓は取り出され、ロープで身体を締め直している所だった。

二人はトカゲをロープで簀巻きにしたまま沢に沈める。


「これでひと段落ね」

「ああ、助かったよ。店に戻ろうか」


陽はそろそろ沈みそうになり、辺りは薄暗い。

「ねえ。ジャイアントバットの時は内臓はどうしたの?」

「リヨリが持って帰って煮込みにしたかな。食べられない所はナーサが持っていったけど」

「なるほどね、じゃ今日の晩御飯はモツ炒めにしてあげる」


ジャケットから麻袋を取り出し、取り出した内臓を詰める。


「作ってくれるのか?」

「当たり前じゃない。リヨリのあの怪我で晩御飯は無理でしょ。なんなら明日の解体も手伝ってから帰るわよ」


料理人が解体に立ち会うことは普段ほとんど無く、それは彼女に取っても貴重な体験になる。


「そっかそっか、本当に助かるよ」

「ま、あの様子じゃリヨリは作業出来なさそうだしね」


そう言うフェルシェイルもまんざらでも無さそうだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。