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第2撃 「酒びたり」 ーUne négative sur les toilettes
さも当然のように腰掛ける俺に、マスターの視線が刺さる。やはり、そろそろ帰るとするか……。
常連客とはいえ、いつまでもいられない。コレが原因で倒れられても困る。今の所、この付近には俺が気に入る酒場がないからだ。
俺は店の奥のトイレに入り、口の中に溜まった唾を便器に吐きつけた。酒を飲んだ後の、むせ返るような唾はいつまでも慣れる事がない。
煙草を取り出して火をつけた所で、窓ガラスに禁煙と書かれたチラシが目に入った。まぁ、今更言われても遅い。
俺は気にする事なく、煙草を吸い続けた。酔いが体に回っているのか、足元がフラついて仕方ない。俺は壁に凭れるようにして、天井を眺めた。
トイレ独特の臭気が鼻をつくが、ここなら他のトイレの100倍はマシな方だと思う。大分前になるが、ゴキブリの巣窟に出逢った事があった。
あの衝撃に比べれば、このトイレなんて聖域とでも言えるだろう……。
吸い殻を便器に捨て、水を流した。重い足取りで、清算を終えてから俺はバイクに跨った。




