01話
新章&新年突入!
ナゥルィズを迎えた。
羊飼いの青年と春神に仕える女神のシルヴィに扮した青年と乙女は、派手に彩られた花馬車に乗って街を練り歩く。街の人々は紙吹雪を流したり花を放り込んだりして二人を祝うのだ。
「ほらほら、ラフェルちゃん来たよ!」
「ほんとだ紙吹雪を撒かなきゃ」
「もうめんどいから投げつける?」
「いきなり乱暴だなぁ、ま、いっか!」
と、我が家の前を通る花馬車におめでとうと叫びながら紙吹雪を放り込んだのだ。
「うわっぷ! もー先生たち酷い!」
「おめでとーラフェルちゃん、爆発しろ!」
「ラフェル君おめでとう、爆発しろ!」
「いまから入籍してくるラブラブカップルが先に爆発しろ!」
酷い罵り合いである、隣にいる羊飼い役の青年は苦笑いをしていたが。
そして花馬車が過ぎたあとの道路は紙辺だらけだ。僕らが投げつけた紙量が凄かったのか花馬車から落ちたのか、雪のように白くなった道路を見て、逃げようとするルーチェを直ぐに捕まえる。
「さてと、掃除するぞ」
「えぇー!」
「雨降ってなかっただけマシだぞ」
毎年の事とはいえ、撒き散らした紙辺を片付けるまでが祭りのメインイベントである。
☆ ★ ☆
僕たちがナゥルィズの準備をしてるとラバトが内線法具を掛けてきて、そこで言われたのが、ラフェルが三番街でのシルヴィ役の指名だったのだ。
シルヴィ役というのは街の顔役達から選ばれる。自分でなりたいと言ってなれる訳でもないし、顔役達に頼み込んでなれるって訳でもない。ただ顔役達が話し合って決め、シルヴィ役に選ばれるというのは「才色兼備なその年一番の街娘」なのを大々的に発表される様なものである。
なお、過去に僕の次姉が選ばれた時は上は七十八の御老公、下は五つの坊やに求婚されたそうだ。だから稽古の後、ラフェルにモテるぞと言ったら顔を真っ赤にしてぽかすかとぶたれたが。
で、市中の乙女達のやっかみを全身に受けるラフェルは気乗りしないと言う。どうかしたのかと訊くと、さっきの失言のせいか顔を真っ赤にして涙目になりながら唇を尖らせる。何かを察したルーチェが、
「はいはい、鈍感さんは退場してねー! こっからは乙女の領域よ! ───ちょっと二人でデートしてくるから、夕飯要らないわ」
と二人話し合い、何か結論が着いたのかそう言って二人で出掛けてしまったのだ。そうなると僕は夕飯にあぶれてしまう。折角美味しくて雰囲気の良い食事処の新規開拓をしようか思ってたのに。じゃあどうしようかと思ってたらラバトとカロリーナがニヤニヤ顔で近づいてきた。
「おいくそアンジェ、カミさんがそうなら私らとデートすっか?」
二人が右手で飲む仕草をするので、そのお言葉に甘えることにした。まぁ、前にジョルジェから時々剣闘乙女達が借りますよと言ってたからな。
「じゃあステヴィアさんも一緒に参りません?」
「………えっ?」
「あなたはもうルーチェ先生の与力でなく友達ですよね? ってか私達教職員同士、仲良くしません?」
誰もいないであろう道場の隅をしっかり見据えてカロリーナが呼ぶ。思わず声を上げるステヴィアにカロリーナはさらに続けたのだ。そして彼女は軽く両手を掲げ柱の物陰から姿を表す。
「カロリーナ先生、いつから気付いてました?」
「え、いつからも何もあなたが道場入ってきた時からですよ?」
「私、認識阻害の法術使ってたんですよ?」
「その程度の法術ならいくらでも見抜けますよ? だって、貴女よりもっと凄い相手と幼い頃から戦ってますから♡」
カロリーナは実家が馬宿だ、伝令などが使う早馬の交換や世話などが目的とした国家事業のため家主は駐在公僕として扱われる。その馬の給餌や世話だけでなく馴致調教も行うため家族総出でやっていると前に言ってたな。
「ほゥ、カロちゃん。どンな隠密と小さい頃から戦ってたンだ?」
「よくぞ聞いてくれましたラバトさん! ……あ、アンジェ先生もちゃんと聞いて下さいませ♡」
カロリーナは腕組みして胸を張り、少し赤らめた表情だがドヤ顔でこう言った。
「そりゃ最高の隠密昆虫! その名もゴ───」
「そンな事だろーと思ッたわ小娘ぇ!」「うげ 「あぁなるほど」
「で、でも聞いて下さい♡ 見つけても手掴みでグシャっとできますよ♡」
「すンなよ! キモいよ!」
「サーチ&デストローイ♡」
「怖ぇよ! ホラーだよ!」
「え……私の隠密法術、G以下なんて……」
なんか色んなシコリが出来たが、その後僕らは四人で飲みに行ったのだった。
「ほらほら、アンジェ先生♡ この黒海老の炒め焼き、まるでゴ───」
「カロちゃン、ここ飲み屋ッー!!」
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