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姉妹の合格通知

 ぽくぽくと街道を走る馬車に揺られ、私はぼんやり空を眺めていた。あ、あの雲食べれるかな、きっと冷たくて甘いんだろうなとか思いながら。


 隣に座る姉はひたすらすぅすぅと寝息をかく。ここしばらくの怒涛の日々を過ごした結果だろうか、姉はここ数日寝続けていた。



 二度目の挑戦、しかも最後の挑戦。


 私達姉妹は帝立学院中等学校の受験が終わり帰路の旅だ。一年間の浪人生活ではきっと人生で一番勉強したと思ったし、一番頭を使ったと自慢しても良い。しかし結果は残酷だった。


 試験はアンジェ先生が立ててくれた予想問題や練習課題が随分と役に立ったと思う。それらを駆使して解いて書いたのだから。しかし上には上がおり、それでも私より良い点をもぎ取っていった人から合格を与えられるのだから。



 はぁ、落ちちゃった。


 帝立学院受験の前に中街のザントバンク修身の願書を出したら数日後に入学許可通知が来た。だからそちらに通えば良いのだ。しかし姉はどうする気だ、と。



 試験一ヶ月前。丁度アンジェ先生がルーチェ先生と結婚するって話を聞いた頃から姉のリルツァが頑張り出したのだ。いや、ひょっとしたらもっと前から頑張ってたのに私が気付いてなかったのかもしれないが。とにかく夜中でも机に向かってカツカツと勉強し、私が起きる前にはもう勉強してたのだ。仕事をしてる昼間でも参考書を読みながらコーヒーをドリップしてたし。つまり姉の本気が結び開いたのだと思う。


「ねぇリル、起きてる?」


「ん、寝てる……」


「寝てる人は返事しないのよ。───んで、帰ったら引越しの準備しないとね」


「ん、ついに夜逃げ?」


「誰がよ! リルが帝都行くためよ」


「ん、行かない」


「なんで? 帝都行きたかったの、リルじゃん!」


「エル行かないなら行かない、おやすみ」



 姉はそう言うとすぅすぅ寝息を立てはじめる。私は姉を起こして真意を確かめたかったけど、終着のシュトレーメまで姉は起きることは無かった




     ☆  ★  ☆




 私は当惑してた。

 まさか私のもとに合格通知が届くなんて何かの勘違いかと思ったくらいなのだから。


 私が受かるぐらいなんだから妹のエルツァも受かってると思ってたが表情見て解る、落ちてると。これで独り喜んだらエルに申し訳無い。しかし姉妹で双子はここらへんの融通が効かない、勘づくのだから。


「リル、あんた受かったでしょ」


「うん、まぁね」


「行くのよね?」


「ごめんちょっと眠い、寝る」


 取り敢えず答えの先送りをした。本当にどうしよう。



 帝都に行きたいと言い出したのは私、でも帝立学院に行きたいと言い出したのはエルだ。これを私一人が独占してはいけない、でも合格してるのに行くのを辞めたらエルになんか申し訳無い。どうしようと考えるために延々寝たふりを続けていたのだ。


 勉強は楽しかった。特にアンジェ先生との勉強のお陰で楽しくできた。多少睡眠時間を削っても、頭の中にすいすいと吸い込まれてくのがよく解ったのだ。最初なんて問題文の読解すら出来なかったのに、今では読みながら数式が動き出すようにもなったのだ。

 あの先生の本気は凄い、デリッカちゃんの一言だけどその言葉の意味がよく解った。



 で、手に入れた合格通知については、エルの結果を聞いてもう決まってる。ザントバンク修身で剣闘術会に入ろう。アンジェ先生大好きなエルの横顔見てニヤニヤしてたほうが楽しそうだからね。

 でもなー、アンジェ先生ってルーチェ先生と結婚するんだよなぁ、結婚いいなぁー。



 ぽくぽく進む馬車、寝たふりしてるけどもう少し本当に寝る。




※次回より本編です

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