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05話

 昇級試験は無事に全員合格することが出来た。なお剣士二級の受験者で落ちた者は居なかったが。そりゃ受験者は殆どが選手だったりどこかの門下生だ、全くの素人が受験してるわけではない。

 同じ受験者で見知った顔も居て、ヴェスバンのゼルヴィーカ、オステン修身のラミネーズも二級を受験していた。この二人は一回生なのでこちらの一回生たちのところに来るとお菓子を広げてくっちゃべりだしたのだ。そこらへんはやはり年頃の乙女たちなのだろう。


 剣士一級は実技で二割が落ち、学科で三割が落ちるって昔からよく言われるが、今回も半数近くは不合格となっていた。僕も過去に一度落ちた事があるしルーチェも落ちたことがあると言っていたな。まぁ誰も一回で受かるとは誰も思ってない試験だが、ジェイリーは無事に合格していた。なお一回生で剣士一級が受かったのはジェイリーだけだった、さすがである。


 教士三級受験の僕だが、今回の昇級試験で教士級受験者がなんと僕一人だけ。そのため形演武は衆人環視の下で行われたのだ、恥ずかしいなんてものじゃない。筆記試験はそんな苦しむような問題は無く、あっさりと解けたが。まぁ受かったので良かったと思おう。

 ジェイリーからは「演武見ました、なんかぎごちなかったですね」と言われた。ルーチェからは「なんか見ててこっちが恥ずかしくなってきた」とも言われた。


 うるさい、今更になってすごく恥ずかしいじゃないか!




 合格祝いとして、最近ではなにかある毎に利用している七番街の「鳥と星」へ行くことに。大将にはこの値段でって言うと任せとけと言って飲み物をテーブルに置くと奥に引っ込んでいった。


 飲み物を皆に回し、乾杯してからぐっと飲んだ無酒精(ノンアル)ワインは非常に美味しかった、やはり疲れとコレは良い塩梅に体に沁みる。皆も疲れてただろうが、食事と会話を楽しんでいた。


「はーいアンジェ先生質問! ずっと聞こうと思ってたんですけど、全中ってどういう意味ですか?」


と、ミノンが手を挙げ僕に訊いてきた。皆もそういえばと不思議そうな顔をする。


「あぁ、全中ってシュトレーメにある中等学院全校が出場出来る大会なんだよ。ほら、この前優勝し

た領都大会は『修身学院のみ』しか出れなかったが、全中大会だと東街のスフミ聖心院さんや中街の会計院さんなどの名門剣闘術会も出てくるぞ」


 この国では各種学校が存在し、淑女育成が主の修身学校、税務会計士育成の会計院、その他商工農業や美術、服飾などの専門学校など様々なものがあるし、もちろん進学目的の普通科学校もある。で、例えば同じ修身学校同士なら色々接点は生まれるが、種類が違う学校になるとびっくりするほど接点が無いのだ。お陰で僕自身、修身学校以外で接点が有るのはカロリーナの次兄・カルヴェリが勤める中街の農業専科学院と東街のスフミ聖心院のニルナしか居ないぐらいだし。


 で、その全中大会は様々な各種学校が一堂に会して行われる大会なので街を挙げて盛り上がる。しかし有象無象が出てきてもただ試合数が増えるだけなので出場条件があったりする。剣闘術大会なら出場選手全員が剣士二級以上と設定があるのだ。



「なお、僕らが居る剣闘術会は、あのキュリル師範代が学生時代ですら出たことがないんだ。だから本校が全中大会出るのは初めてなんだ」


「へぇー、ってことは快挙なんですよね!」


 ミノンがそう言うが、本当にそうなのかもしれない。今まで十年以上も公式戦で勝てなかった、それどころかまともに活動してなかった剣闘術会が領都大会で優勝するなんて事も起きたのだ。本当に快挙かもしれない。



「アンジェ先生が一生懸命活動を促したからなのだわ、つまり、なるべくしてなったと思うんですわ」


 そうデリッカが髪の毛をかき上げながら言う、しかし僕は別に活動を促した気は無い。何度も言うが皆が頑張ろうと言うから応援し助力しただけなのだから。


「アンジェ先生、お願いですからこの剣闘術会の顧問は辞めないでくださいません?」


「そーだよ、デリッカちゃんの言う通りだよ! だから剣闘術会を続けてね!」


「あぁ……、デリッカ君もミノン君もありがとうな。皆が頑張るなら僕は応援するのが仕事だからな」



 僕がそう言って皆との結束を確認することが出来た。





 帰り道、今度は酔いつぶれて眠るカロリーナを僕が背負って学院に帰ることとなった。ルーチェはあんた絶対演技でしょと小声で言ってたし、ラバトはニヤニヤしながら僕の横を歩いていた。デリッカの表情は氷点下だったが。


 このカロリーナだが、領都大会以降はマネジメントを主とする顧問の一人に名を連ねているので昇級試験についての準備や管理をポーリァと行ってくれたのだ。今日はきっと疲れたのだろう、しかもすいすいと飲んでたから酔いつぶれたのだろうとは思っている。



「アンジェ先生ぇ……」


 僕の耳元でカロリーナが静かに呟く。


「どうかしました、気持ち悪いですか?」


「いえ、先生にずっと言いたかった事がありまして」


「何か有りました?」


「―――っ」



 なにかの歯車が回りだす。


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