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最終話 それからの2人は

 エストリアとオズワルドの結婚式から5年の月日が流れた。

 15歳にして国王となったウィリアムの治世は非常に安定しており、オズワルドの読み通り良き国王として信頼されている。

 オーレルム領もあれ以来魔物による被害は出ておらず、平和で平穏な日々が続いている。

 2人が結婚してから、1年後に第1子である長女のアリアが生まれた。現在4歳の元気な女の子だ。

 エストリアに良く似て、今の内から活発さを発揮している。母親に憧れており、騎士になる夢を抱いている。


 アリアが生まれた更に1年後、今度は第2子で長男のオットーが生まれ、現在は3歳になったばかりの可愛らしい少年だ。

 こちらはオズワルドに似たのか、大人しくて知的な子供である。物語を聞くのが好きな子で、良く両親にお話をせがんでいる。

 そんな温かくて幸せな家族が住まう屋敷の客間にて、エストリア達と客人達が談笑している。


「こらアリア、大人しくしていないといけませんよ」


「それは君もだエストリア。お腹の子に何かあったらどうする」


「全く、親になってもせわしない方です事」


 エストリアの屋敷を訪れているのは、レティシアとその夫となった元伯爵家次男のクラーク・オーバーン。

 そして彼らの子供であるまだ2歳の幼女リーシャが居る。

 結局あれからもエストリアとレティシアの交友関係は続いており、たまにこうしてレティシアが遊びに来ている。


 エストリアが王都に行く場合もあるのだが、現在の彼女は第3子を妊娠中である。

 それならばとレティシア達が出向いて来た形だ。そしてそんな彼女達に便乗してやって来たもう1人の客人が居る。

 視察という名目でやって来た、現レアル王国の国王であるウィリアムだ。


「兄上もこうなると、普通の父親だね」


「お前だって将来こうなるんだぞ?」


「僕はまだ暫く独り身で構わないよ」


 16歳になったウィリアムは、高い知性を感じさせる美少年に成長していた。

 やはり兄弟であるからか、彼はオズワルドと顔立ちが似ていた。そんなウィリアムの外見をエストリアは懐かしく感じた。

 まだ18歳になる前の、出会ったばかりのオズワルドを思い起こさせる。


 今のオズワルドは24歳となり、流石にもう10代の頃とは大きく違っている。

 立派な大人の男性に成長し、鮮やかな金髪を長く伸ばして首の後ろで束ねていた。

 エストリアはいちいち確認していないが、夫が髪を伸ばした理由に検討がついている。


 オズワルドの義兄であり、エストリアの兄でもあるカイルに憧れたからだろうと。

 カイルとオズワルドはかなり良好な関係であり、カイルが帰郷した際には稽古をつけて貰っている。

 そんな弟と義弟の姿に兄のルーカスが混ざりたがるが、今や彼はオーレルム領の領主だ。

 ちゃんと仕事をしなさいと、ヴェロニカにいつも回収されている。


「まさかこんな日が来るなんてな」


「それは僕のセリフですよ兄上」


「ハハ、確かにな。お互い色々とあったからな」


 私情で騎士団を動かし、その責任を問われたオズワルドは王位を再び放棄。

 そうして最後の王子となったウィリアムが王位を継ぐ事になり、王国内は色々と大変な時期があった。

 もちろんオズワルドも丸投げにはしておらず、何度も王都へ出向いている。


 オズワルドを強く支持していた貴族達への説得や、ウィリアムへの協力要請。

 浮足立つ元第1王子派閥や元第2王子派閥の貴族達を纏め上げて、王城内の鎮静化を図った。

 それと同時に身重でありながら働こうとするエストリアを大人しくさせる等、本当に忙しい日々の連続だった。


「ウィリアムも、あの頃と比べたら立派な男性になりましたね」


「ありがとうございます義姉上。ただあまり僕を褒めると兄上が嫉妬しますから」


「おい! 余計な事を言うな!」


 相変わらず仲が良い2人の王族を見ながら微笑むエストリア。20代後半となり30歳が見えて来た彼女は、大人の魅力が溢れる女性に成長していた。

 短かった髪は長くなり、腰の辺りまで伸びている。少しフィジカルに寄っている点と、天然ぶりはあまり変わってはいないが。


 それでも彼女は、愛する家族と友人に恵まれて幸せな日々を送っている。

 自分が家庭を持つなんて思ってもいなかったエストリアが、今では立派な3児の母親である。

 これからも色々と大変な事があるだろう。それでもここに居る人々が居るから、領民達がいるから。

 きっとそんな毎日が、彼女にとっては楽しいのだろう。


「大丈夫ですよ、(わたくし)の一番はオズワルドですから」


「わ、分かっているさ」


「ちょっと私達も居るのですよ? 忘れないで下さる?」


 兄達に裏切られた王子と、辺境で騎士として生きて来た女性。2人の出会いで動き出した物語は、幸せな未来へと繋がっていた。

 彼らはこれからもこの辺境の地で、幸せな日々を送っていく。子供達が大きくなり、結婚して孫が出来て。

 年老いても尚領民達と共に生きたその姿は、オーレルム領の歴史に残り続けた。


 魔物の大発生も乗り越えて、繁栄をもたらした偉大な夫婦として。

 そんな未来の事は知りもしないエストリアとオズワルドは、友人達と共に楽しそうに笑い合っていた。

と言うわけで、この話はおしまいです。

サクッと読める妙な捻りのない、シンプルな王道恋愛モノをイメージして書きました。

楽しんで頂けたのであれば幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました!


そして年下の男子が、年上の女性に真っ直ぐな好意を向ける作品が好きなアナタ!

『ヤニカスで酒カスで汚部屋暮らしの限界配信者のお姉さん(31)は好きですか?』も、よろしければ是非!(露骨な宣伝)

総合評価1000を超えているので、それなりに面白い筈……です。オズワルド君を良いなと思って貰えたのなら多分大丈夫ではないかと。

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