62:現実主義な特別講師
フィンリーが教会庁の異端祓い局から派遣された魔女殺しのプロフェッショナルだと聞かされ、リリーは驚愕する。
「わしの古い教え子の一人でな。堅苦しいが悪いヤツではない。仲良くしてやってくれ。」
仲良くなんかできるワケない。
そうリリーは思った。
こうしている間にも、ミミズクのような、丸いが鋭い眼で睨まれて今にも手から汗の滝が流れるほど緊張してるというのに・・・。
「ん?おい。」
フィンリーがリリーに視線をやり、ゆっくり手を伸ばしてきた。
「ひぃ・・・!!!」
思わず悲鳴を上げるリリー。
しかしフィンリーはリリーの襟のまくりを直しただけだった。
「身だしなみがなってないな。それでもレディか?」
「あっ、あれ?」
「なんだ?俺の顔に怖いものでも付いてるか?」
顔そのものが怖いんだよとリリーはツッコみたかったが、今は止めておく。
「ぼっ、ボクが誰だか分かってるんですか?」
「魔女の王ジャンヌの一人娘・・・だろ?」
知ってた上であそこまで接近したことにリリーは愕然をした。
「知ってたのならなんで・・・?」
「知っていたらなんだというのだ?」
「え?」
「お前は確かにジャンヌの娘。だが俺から見たらその辺に生えてる樹と変わらない普通の子ども。それだけだ。」
「は?」
フィンリーの様子を見てマリアは「ま~た始まりおった。」と言った。
「いいか?よく聞けよ子ども達。」
三人を並ばせたフィンリーは、彼女たちと向かって語り出す。
「俺が今回マリア先生から審問実習学の特別講師の仕事を引き受けたのはあくまでこの街で起きている魔女犯罪を解決するに当たってのついでだ。ついで。お前達に特別な感情など持ってない。他の連中と同じように接する。贔屓も冷遇もしない。捜査の邪魔にならない程度に、俺が仕事をする様子を見ていればいい。それ以上は何も求めないからそのつもりで。」
「あっ、はい。」
「わっ、分かり、、ました。」
「えっ、ええ。」
フィンリーの注意を聞いて、リリーは思った。
(フィンリーさん、意外と怖い人じゃなさそう。良かったなぁ〜。ただちょっと・・・現実的すぎッ!なんかこう・・・アレだなぁ〜・・・!)
リリー・クローバー。
七年の生涯で初めて苦手な人ができた瞬間だった。




