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魔女の子、異端審問官になる。  作者: 朔月理音(サツキコトネ)
第3章:禁じられた魔女たち
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63:適材適所な策

「それで、何か策はあるのか?フィンリーよ。」


 フィンリーは懐からタバコの箱を出し、シェイクして出てきた一方を咥えてマッチで火を付けて吸い始める。


「ああ。ありますとも。」


 さすがは魔女犯罪の専門家。


 現場に来たばかりなのにもう捜査方針を立てていることに三人は感心した。


「それでそれで!?どんな作戦をするんですか!?」


 興味深々に聞いてくるリリーに向かって、フィンリーは吸っているタバコをピッと指してきた。


「リリー・・・だったか?お前を囮にして魔女を誘い出す。」


「・・・・・・・。ふぇ?」


「なっ・・・!何考えるんですか!?リリーを囮に!?」


「そっ、そう、ですよ!いくらなんでも、、あんまりです!」


 アイリスとディアナから抗議が上がったが、フィンリーは素知らぬ顔でタバコを吹かしている。


「まぁ待て。フィンリー、どうしてリリーを囮に使うのじゃ?」


 マリアから答えを求められ、フィンリーは携帯灰皿にタバコを擦りつけて消した。


「理由は二つ。一つはリリーの不死性です。リリーの中にはジャンヌの不死身の力がある。これはリリーにとって大きなアドバンテージです。絶対に死なない・・・死ぬことができないリリーなら囮にしても大丈夫だと思ったからです。」


「二つ目は何じゃ?」


「二つ目は・・・今回の魔女の()()です。」


「特、性?」


 アイリスから、魔女の特性について説明を求められる。


「魔女っていうのは、事件を起こす際に自分がやったことを堂々と現場に残すんだ。怖がらせるのが目的なのか、ただ単に見てほしいだけなのか知らないがな。だが今回の魔女は人の姿を消した()()誘拐殺人をする魔女なら知ってるが、誘拐事件単独で行う魔女なんて初めてだ。よって今回の被害者は全員生きている。」


 魔女犯罪に精通しているだけあって、フィンリーの話には説得力があった。


 それだけ異端祓い局の捜査官の言葉は重いのだ。


「お主がそこまで断言するのじゃから間違いなかろう。しかし・・・わしの可愛い教え子を犯罪の現場の只中に晒すことを、容認すると思うておるのか?」


 凄むマリアにフィンリーは全く動じなかった。


「ガブリエルの言う通りだわ!!それにさっき言いましたよね!?()()()()()()()()()()()()()()()()って!!リリーのやることは全然普通の子どものやることじゃないですか!!」


「ああそうだ。だが俺は適材適所、そいつの持ち味を出し惜しみなく使わせる主義でもあるんだ。」


「あっ、後出しで言うなんて汚いわね!」


「それが大人だ。」


「ッッッ・・・!!」


 あくまでも動じないフィンリーに、ディアナはぐうの音も出なかった。


 そんな中、フィンリーは二本目のタバコに火を付ける。


「でもそうだな。さすがに少し酷だから、リリーの意思に任せよう。やりたくないってんなら次の手を考える。」


 皆の視線がリリーに集中する。


「リリー、やるか?やらないか?」


 ・・・・・・・。


 ・・・・・・・。


「やるよ?」


 熟考した末にリリーはあっさり答えた。


「え!?なんで!?」


「そっ、そうだよリリー・・・。危ないよぉ・・・。」


「危ないのは分かってる。だけどここまでしないとママになんか会えるワケがないもん。ちょっとは危ないこともしないと。」


 達観したかのように話すリリーに、ディアナはますます心配になる。


「わっ、分かってるの!?この間の実習の時よりも危険なのよ!?」


 ディアナの脳裏に浮かぶのは、毒犬使いの魔女に頭を潰されたリリーの無惨な姿。


 あんな目に、リリーを二度と遭わせたくなんかなかった。


「大丈夫!」


「え・・・?」


「だってボクには、ママからのお誕生日プレゼントがあるもん。絶対にボクを守ってくれるもん。」


 優しく、しかし覚悟が決まった笑顔を見て、ディアナはこれ以上何も言うまいと思った。


「絶対に・・・無事に帰ってきなさいね。」


「やっ、約束、、だよ?」


「うん!」


 リリーはディアナとアイリスに、小指を立ててサインを送った。

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