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魔女の子、異端審問官になる。  作者: 朔月理音(サツキコトネ)
第2章:異端審問官の学び舎
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51:ツインハイトの名コンビ

 翌朝、リリーとディアナはマリアに登校一時間前に起こされ、天使飛行学をしたグラウンドに行った。


 やはりこの空間は外と連動しているらしく、朝日が目線までしか昇っていない学院はオレンジ色に染められ、リリーとディアナの目を焦がす。


「せんせぇ・・・こんな朝早くになんですかぁ・・・?」


「そうですよ・・・。一体何のご用で?」


「さぁ~?何じゃろうな!」


 答えをはぐらかくマリアに、朝ロクに食べなかった空腹も相まってリリーは少しムッとした。


 だがしかし、マリアに連れて来られた先で見た光景に、それはすぐに吹き飛ぶことになる。


「リリー、ディアナ。あれを見よ。」


 二人が目にしたのは、手を繋いでグラウンド内を天使の翼で滑空する男女の姿だった。


「すっ、すご~い!!」


「あっ、あれは何です!?」


 リリーはともかく、こういう競技ごとに興味のないように見えるディアナも感心した様子に、マリアは連れてきて良かったと思った。


「あの者らが、我が学院が誇るツインハイトの名コンビじゃ!」


 マリアは早速、二人に彼らのことを紹介するために練習を中断させて呼んだ。


「カイにヴィキ。遠征から帰ってその足で練習とは精が出るのう。」


「久しぶりです。マリア先生。」


「んだよ~!せっかくノッてきたっつうのにさぁ~。」


 カイと呼ばれた男子は黒髪のおとなし目な性格。


 ヴィキと呼ばれた女子は白髪の男勝りな性格の人物だった。


「今日はちとお主らに見せたい子らがいてな。ほれ。挨拶を。」


 マリアに呼ばれてリリーはバッと躍り出し、ディアナはお淑やかに前に出た。


「はじめまして!リリー・クローバーです!」


「ディアナ・ミカエル。お見知りおきを。」


 手を大きく上げて挨拶するリリーとスカートの裾をまくし上げてお辞儀するディアナ。


 このことからも、二人の性格の差が見て取れる。


「紹介しよう。二人はクローバー寮三回生・・・つまりお主らの先輩にあたるカイ・ベアリングとヴィクトリア・ラミエル。どちらも三階異端審問官じゃ。ツインハイトの試合じゃ負け知らずの名コンビで知られておる。カイ、ヴィキ。この者らは次のツインハイトの試合に出場する。相性はまあまあいいほうじゃが、それでも心配は拭えぬ子ゆえな?どうかお手柔らかにお願いしとう頼むでの。」


「えっ、せんせいどゆこと?」


「話が見えませんわガブリエル!」


「せっ、先生!?」


「おい待てよ先生!あたしら何すりゃいいんだよ!?」


 困惑する四人を放って、マリアは「かっ!かっ!かっ!」と笑いながらその場を後にした。


 カイとヴィキは状況が掴めたようで、ちょっと困った表情をした。


「あ~そういうことか・・・。」


「ったくあのおばあ!あたしらにガラにもないことさせやがって・・・。」


 ヴィキは未だ困惑の色が見えるリリーとディアナのところに行く。


「よ~するにあれだ。今週の土曜までにお前らを選手として整えろって意味らしい。」


「ええっ!?先輩たちがボク達の面倒見てくれるんですか!?」


「そういうことになるね。」


 事情を理解したリリーはその場で舞い上がった。


 ツインハイトで負け知らずのペアに教えてもらうのだ。


 これほど心強いことはない。


「やったねディアナ!これでボク達優勝間違いなしだよ!!」


「そっ、そうです、かね・・・?」


 ディアナは改めてカイとヴィキに目をやる。


「ヴィクトリアさん。」


「ヴィキでいいよ。」


「ヴィキさん。あなたの苗字って・・・。」


()()()()。七大名家の一つだけど?」


 ラミエル家はミカエル家と負けず劣らずのハージェル・・・半天使主義の強い家だと聞かされていた。


 にも関わらず、ヴィキは平民出のカイとあそこまでシンクロした優美なパフォーマンスをしてみせた。


 それが何故なのか、ディアナは不思議に思った。


「以心伝心ってヤツだよ。」


 ディアナの心を見透かして、ヴィキが答える。


「ツインハイトに家柄も性別も関係ねぇ。カイとは地元が一緒の幼馴染だ。あたしとコイツは一番ウマが合う。だから今日までペアやってる・・・。そんだけのことよ。」


「おかでヴィキ・・・家でちょっと嫌われてるけどね・・・。」


「おめぇ~それを言うなって!!まぁあんな格式ばった実家こっちから願い下げだけどさっ!」


 カイの軽く小突いたヴィキは、ディアナとリリーをそれぞれ見る。


「そういうお前らだって、身分の違いはお互い様だろ?いや、そっちはあたしらより差がデカいだろうけどな。」


 魔女の王の娘と異端審問官王家の娘。


 違いはカイやヴィキよりも大きすぎる。


「そんなシケた面すんな!!マリア先生はあんたらが息ピッタリのペアになるだろうと思ってあたしらに宛がった。だったらあたし等もあの人の期待に応えるしかねぇ!ツインハイトが身分や性別・・・魔女の子だろうがミカエル家のお嬢様だろうが関係なく、相性ピッタリならどんなパフォーマンスもできるってことを教えてやんよ!!」


 背中をバシッと叩いて、ディアナはヴィキに励まされた。


 こうして、ツインハイト初試合に向けての、リリーとディアナの練習が始まった。

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