表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴッグ・シンドローム  作者: Kentarou Tou


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/3

ゴッグ・シンドローム 第3話「リゼット・ハウゼン」


(ここはどこかの国のどこかの街道。)

(マティアス大佐とリゼット准将が、霧雨の中、街道を進む一頭立ての馬車に乗っている。)


マティアス(外の声:静かに)

「……本当に行くのか?」


リゼット(心の声・モノローグ:落ち着いた調子)

「心配してくれているのは分かる。

 だが、迷ってると思われたくない……。」


リゼット(外の声)

「ええ。避けて通れませんから。

 でも引く理由はない。」


リゼット(心の声)

「怖くないと言えば嘘になる……。

 それでも、今は前に進むしかない。」


マティアス(外の声)

「無理はするなよ。」


リゼット(心の声)

「マティアスは優しい……

 でも、弱い自分には負けたくない。」


マティアス(外の声)

「……行くぞ、リゼット。」


リゼット(外の声)

「大丈夫です。覚悟はできています。」


リゼット(心の声)

「迷いはない。

 必要なのは、ただ一歩を踏み出すこと。」


「進むべき時は必ず来る。」


(SE:霧雨の音がわずかに強調される)


(二人は馬車を降りて歩き出す。)





---


《パート2:静かなる歩調》



(場面が大きく転換する。場所は晴天のどこかのコロニーの市街地。)


(コロニーの人工空の下、整備された遊歩道を歩く二人の軍人。リゼット准将とマティアス大佐。

足音が静かに響く。周囲には市民の姿もちらほら見えるが、二人は自然な会話のように話し始める)


マティアス(低い声で)


「……聞いたか?このコロニーに、例の軍艦が停泊してるって話。」


リゼット(目線を前に向けたまま)


「あら、また誰かの見間違いじゃなくて?この時期にそんなものが、こんな辺境に?」


マティアス(わずかに口元を歪めて)


「見間違いにしては、目撃証言が多すぎる。

それに、連邦の新型艦の話も、妙にタイミングが合ってる。」


リゼット(小さく息を吐いて)


「……なるほど。じゃあ、私たちは偶然このコロニーに滞在中で、

第8大隊の面々も偶然全員ここに集結してるのね。」


マティアス(肩をすくめて)


「偶然って、便利な言葉だな。ハルもミナも、他の連中も揃ってる。

まるで、何かが始まるのを待ってるみたいだ。」


リゼット(少しだけ笑みを浮かべて)


「でも、始まらないのよね? 少なくとも、今は。」


マティアス(目を細めて)


「だが、あのふねが本物なら……見過ごすには惜しい。」


(ふたりの足音が少しだけ速くなる)


リゼット


「上層部は何も言ってこないの?」


マティアス(少し間を置いて)

「確認中につき静観せよだとさ。」


リゼット(眉をひそめて)

「つまり、何かが起こったとしても、責任を取るつもりはないってことね。」


マティアス


「そういうことだ。

でも、もし本当にあれがここにあるなら――」


(ふたりの足が止まる。視線の先には…)


リゼット(静かに)


「……危ない橋ね。」


マティアス(同じく)


「だが、渡る価値はある。」


(ふたりはその先にあるコロニー公社の宇宙港を目指して再び歩き出す。何もなかったかのように、静かに。)



---



《パート3:森の静寂に潜む“老将の影”》


(画面:深い森の奥。湿った空気の中、木漏れ日が揺れる。

苔むした石畳の先に、小さな木造のロッジが建っている。

その広いウッドデッキには丸い木製のテーブルが置かれ、

その上には湯気の立つコーヒーと、厚い表紙の本が一冊。)


(ヴァルター・グライムズ中将は椅子に深く腰掛け、目を閉じている。

まるで眠っているようだが、その気配は鋭い。)


(テーブルの上には、湯気の立つコーヒーと、厚い表紙の本が一冊置かれている。

ヴァルター・グライムズ中将は椅子に深く腰掛け、目を閉じている。

まるで眠っているようだが、その気配は鋭い。)


(リゼット・ハウゼン准将が静かに歩み寄る。

外の声は冷静、心の声は…)


リゼット(心の声)

「コテージまであと30メートル……

 気配は消さない。こちらも……出方を見せてもらう。」



(リゼットがテラスに足を踏み入れる。

ヴァルターは微動だにしない。

風が木々を揺らし、光が斑に差し込む。)


リゼット(外の声:丁寧で冷静)

「……第8大隊の件について、報告に参りました。」


リゼット(心の声:焦りと毒舌)

「返事なし……!?

 またこの沈黙戦法ですか、この人は……!」




(沈黙。ヴァルターはまるで石像のように動かない。)


リゼット(外の声:少し強め)

「……中将閣下?」


リゼット(心の声)

「これで反応なかったらどうしろっていうのよ……!

 いや、でもこの人、絶対全部わかっててやってる……!」


(ヴァルターがゆっくりと目を開ける。

その動きは静かだが、空気が変わる。)


ヴァルター(外の声:低く渋い)

「……おや。これはこれは、リゼット准将。

 こんな朝早くに、どうなさいましたかな。」


リゼット(心の声:即ツッコミ)

「ほら出た、“朝”とか言い出すやつ……!

 絶対わざとでしょこれ……!」


リゼット(外の声)

「“朝”ではありません。もうお昼です。」


リゼット(心の声)

「ここは訂正しないとダメ。

 でもなんで毎回こうなるの……。」


(ヴァルターはコーヒーを一口すする。

その仕草は優雅だが、どこか冷たい。)


ヴァルター(外の声:淡々と)

「そうでしたかな。

 歳を取ると、時間の流れが早くていかん。」


リゼット(心の声)

「来た……“とぼけ”モード。

 絶対計算してるよね……?」


「でも怒ったら負け。冷静に……冷静に……。」


(リゼットが一歩前に出る。)


リゼット(外の声)

「第8大隊が壊滅しました。

 敵の砲撃は、我々の位置を正確に把握していたとしか思えません。」


リゼット(心の声)

「ここは核心……!

 ちゃんと伝えないと……!」


(ヴァルターは静かにコーヒーカップを置く。

その音が妙に重く響く。)


ヴァルター(外の声)

「……お気の毒に。

 だが、戦場では“偶然”がつきものでしてな。」


リゼット(心の声)

「また煙に巻こうとしてる……!

 ほんとこの人、底が見えない……!」


(リゼットの目が鋭くなる。)


リゼット(外の声)

「偶然にしては出来すぎています。

 ……例えば、我々の作戦ルートが敵の迎撃網と“ぴたりと重なっていた”ことなど。」


リゼット(心の声)

「ここは踏み込むところ……!

 怖いけど、言わなきゃ……!」


(ヴァルターは目を細める。)


ヴァルター(外の声)

「ふむ……それは、誰かが“情報を漏らした”と?」


リゼット(心の声)

「やっぱりそこ突いてくるよね……!

 でも引けない……!」


リゼット(外の声)

「私は、事実を確認したいだけです。」


リゼット(心の声)

「本当はもっと言いたいけど……

 今はこれが限界……!」


(ヴァルターがゆっくり立ち上がる。

木漏れ日が影を長く伸ばす。)


ヴァルター(外の声)

「それは結構。

 では准将。あなたの“真実”とやら、どうか見つけてきてください。

 わたしはここでコーヒーを淹れて待っておりますよ。」


リゼット(心の声)

「……絶対何か知ってる……!

 でも今はまだ聞けない……!」


リゼット(心の声:決意の表情で…)

「絶対に……真実を見つけてやる……!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ