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ゴッグ・シンドローム  作者: Kentarou Tou


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ゴッグ・シンドローム 第1話「沈黙」

人類が地球の重力を離れ、宇宙に生活圏を築いてからすでに半世紀が過ぎた。地球と宇宙の間に生まれた価値観の違いは、やがて争いの火種となり、多くの命が、静かに宇宙へと散っていった。


宇宙世紀ダブルオーセブンティーナイン 11月28日 これは、ある戦場の片隅で始まる、ひとつの物語である。


彼女の名前はミナ・カワシマ


私たちの部隊の臨時ベースキャンプは、 仮設の静けさに包まれていた。


ミナは、聴音装置の調整を終えたばかりだった。 耳を澄ませば、遠くで鳥の声がする。 だが、それは録音された音声だった。


本物の鳥は、もうこの森にはいないのかもしれない、彼女がそう思った時でした。 突然それが始まったのは。



第一話 「沈黙」タイトルコール



「……静かすぎる。」


彼女が呟いた、その瞬間だった。


――ズドォンッ!


空気が裂けた。 地面が跳ね、テントが吹き飛び、通信車両が火を噴いた。 誰かが叫んだ。「砲撃だ!伏せろ!」 だが、もう遅かった。


ミナは咄嗟に身を伏せ、耳を塞いだ。 爆風。熱風。土の匂いと熱線が通り過ぎた時の焦げた空気の感覚。視界の端で、誰かが吹き飛ばされるのが見えた。


「ミナ、無事か!」


声がした。 振り返ると、同期で同僚のジオン軍パイロット。ハル・ノイマンがそこにいた。制服は汚れているが、破れはなく、負傷した様子もなかった。 顔には泥がついているが、目は鋭く、冷静さを保っているように見えた。



ハルはミナに対し、こう告げた。


「ゴッグ2号機に乗るぞ。……俺と一緒に、生き延びるんだ。」


「本当に、行くしかないんだね……」


「迷ってる時間はない。……信じて、ついてこい。」


ハルとともに、ミナは走った。 背後で、誰かが燃えるテントの中に消えていく。 誰かが叫び、誰かが黙った。


そうしてようやく二人が辿り着いたのは、アマゾンの大河の中腹にある一際大きな水辺の湖畔でした。実はここにある巨大なモビルスーツが隠されていたのです。



ゴッグ2号機は、仮設桟橋に係留されていた。 本来は1号機のパーツ取り用に運ばれてきた、未完成の機体。 両肩の装甲は未装着。推進器の冷却ラインは開放状態。 だが、耐圧核と浮力制御は稼働可能。 水中潜行と待機だけは、かろうじて可能な状態だった。




ハルとミナは、その巨大な水陸両用モビルスーツが係留されている仮設の桟橋を渡ろうとしたが、砲撃の余波による衝撃のためか、つい先日までそこにあったはずの木製の桟橋は跡形もなく崩れ去っていた。


二人は、泥にまみれながらその胸部にある ハッチを開け、狭いコックピットに滑り込んだ。


その瞬間、水面が爆ぜた。


――ドォンッ!


……その日、何が起きたのか。

誰が生き延びて、誰が沈んだのか。


あの空を裂いた光は、いったい何だったのか。


すべては、まだ水の底。


けれど、あの時確かに——

ゴッグ二号機は、自らの意志で潜った。


それが何を意味するのか。

答えは、まだ誰にもわからない。




<謎の貴族風の人物とお付きの黒服たちが織りなす通販番組風の次回予告>



(微笑みながら)

「ごきげんよう、諸君。ジオン銘菓“ひよごっぐ”、本日もお届けするのは——

……ま、名前などどうでもいいでしょう?」


「さて、今回の“Lost Record”では、何やら大きな音がしていたようだね。

……空を裂いた光の数々? ふむ、あれはいったい何だったのか。

ミナとハルがなぜ逃げていたのかも、なぜあのゴッグが“潜った”のかも、誰も教えてくれない。

まったく、困ったものだ。」


(ひよごっぐの箱を掲げて)


「そんな時こそ、甘いもの。ジオン銘菓ひよごっぐ。」


<ここで大きくテロップ ”サイド3の新名物 ジオン銘菓ひよごっぐ”>


「この“ひよごっぐ”、中から何が出るかは……ふふ、秘密です。」


「次回、タイトルはまだ秘密。

だが、ひとつだけ言えることがある。

“沈んだものは、やがて浮かぶ”。」


「それでは皆さま、次回もお楽しみに。

そして——ひよごっぐをよろしく!ジーク・ジオン、」










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