第11話『コウの部屋にてみんなで』
バーギラを呼んでから、ヒロトがコウの部屋のドアを開けた。
「おーし!みんな待たせたな」
「おっ、来たな!」
コウが出迎えた部屋の中には、彼、キサク、アシュ、マーニ、サルマのいつものメンバーに加え、クレアもいた。
「バーギラちゃんは連れてきた?」
「おう!」
バーギラも呼んでいるので、間もなくやって来るはずだ。
ヒロトが部屋に入ると、彼に付いて4人の少女がやって来る。
1人はバーギラ、そして他は、10組にもクレアにも面識のない3人だった。
「わたしの…ともだち」
「アハ〜よろしくなぁ〜」
トコヌイが全員と握手をする。
「あ…はぁ」「よろしくぅ?」
なかなかにグイグイくるもので、逆にこっちが恐縮してしまいそうだ。
「トコヌイいいます〜──ああ後、青い髪の子がリゼレスタでえ、あのぺったん子がアンリーナねえ」
「いやうるせえよ」
何だか漫才のような掛け合いを取りつつ、どこか親近感も湧いてきた。
「大丈夫や…ウチも同じやアンリーナ…」
キサクもアンリーナに寄り添うような形だ。
アンリーナは、キサクの制服の膨らみから、何か親近感を感じ取っていた。
「ウチもその…──ん?」
キサクはアンリーナの胸を触って、言葉を失う。
「え?ど…どうしたの?」
「ガチなやつや…」
「…ぇえ?何がぁ」
「一緒にすんなや」
「急に切り離された!?」
「お…お願いしまぁす」
3人の中でも、一際立ってしどろもどろになっているのは、リゼレスタ。
「だ…大丈夫?具合悪いの」
「そっ…そんなことはないですけど」
コウにとっては、親切そうに話が振れたと想うのだが、そんなことは一切なかったらしい。
4人別れての10組との話となって、アンリーナとトコヌイに助けを求めるような姿勢だ。
そんなコウに助けを出すのが、10組で最も朗らかなあの人間だ。
「わかってへんなぁ〜コウ」
マーニが出てきて、リゼレスタに話しかけた。
「リゼレスタちゃんやったっけ?何か好きなこととかあらへん?」
彼女は何だかその問いに、吸い込まれるような明るさを感じ取った。
「そ…そうですね、絵を描いたりとか…法務の勉強とか…」
「ホーム…?」
「法律です」
「な…何で?」
「…まあ、立場上いろいろ」
釈然としなかったが…。
「法律かぁ、随分ニッチだなぁ」
ヒロトはコウの隣に座って、会話に混ざる。
「じゃあ、道路交通法って何条ある?」
「136条ですよね」
「え?」
「え?」
((え…?))
何だか食い違った。
「じゃあ、消費者保護基本法の第一条は?」
「え?それを言うなら消費者基本的保証法じゃないんですか?」
「え?」
「え?」
((え…?))
「おかしいなぁ…」
「ほーら私の方が物知りですぅー」
「ぁあ゛ッ!?」
「イィひいっ!?すみませんっ!」
急に調子に乗り出すので、一応演技ではあるのだが脅して見ると、これがまたえらく恐れられたものだ。
「俺もあっちの世界の法はマスターしてる筈なのにな…こっちじゃ違うのか…」
「…そうだった…異世界人設定だった…」
「おい設定って何だゴラ」
「ハァッ!すみませんッ!──マーニさん助けてぇ…」
「怖がらせんのやめろや!リゼレスタちゃん陰キャやねんから!」
「2方両方から傷つくんですけどォ!?」