第10話『バーギラとあの3人』
中庭では、4人の少女が楽しそうに集っていた。
そのうち一人はバーギラで、かけがえない友好関係を築いている。
「ああ〜かわええなぁバーギラはん!」
おっとりした風貌の少女は、バーギラを抱きしめてご満悦の様子だ。
彼女の名は、トコヌイ。
そんなトコヌイとバーギラのいつもの触れ合いを、淡い青色の髪の少女が見つめている。
「トコちゃんバーギラちゃん抱きしめるの好きだよね」
「だってこ〜んなにかわええんやもん」
そんな彼女が、リゼレスタ。
トコヌイとは違って、どこか芯の通ったような地味系の少女というべきか。
地味系とは言っても、このような素敵な仲間を持ってこそ光るタイプという感じだ。
「今日だけやけに授業終わるの早いよね。ニュイェール先生もそうだったし」
「「ねー」」
赤毛の少女がそう言うのに、2人は同意する。
「ニュイェールせんせいって…どんなひと?」
「あのなぁ?THE魔女って感じの人や。おっぱいでかいしな、アンリーナと違って」
「あと、色んな部門にも精通してて、いろんな分野を狙う人でも支援してるんだよ。あと胸が大きくて注目されちゃってる、アンリーナと違って」
「辛」
「あと、これは教えてなかったけど、3組は特別な分野に抜きん出て実力のある人が入るクラスでね」
「私たちも、分野が違うんだよね」
リゼレスタとアンリーナがそう言う。これはヒロトも初耳だろう。
「ウチの専門はなぁ、気体魔法──ラビットお嬢はんの使うようなあの感じや」
トコヌイが自慢げに実践してみせる。
石を浮かして、木にぶつけてみた。
「私の専門もトコヌイと同じ。実力も互角って感じかも」
リゼレスタも言う。
彼女もトコヌイのやったように、実力を見せる。
それを見てバーギラは、驚くように舌を巻くのだった。
「まあ、一番に特殊なのはアンちゃんだけどね」
「うんうん、せや」
「…?」
バーギラがアンリーナを見ると、彼女はもっとも得意げになっていた。
「仕様がないなぁ!」
「たのんでない」
「いや、違うじゃん」
アンリーナは石を拾うと、その石を握って…──
「…」
「にぎるだけ…?」
「いや…ちょっと待ってよ」
「えっと、いしをにぎれてすごい…」
「いや待ってって」
正直何かわからぬままだったが、そこで変化が訪れる。
──ジジジ…
握った石が音を出し始めた。
「ふう…」
額の汗を拭ったアンリーナは一息ついて、その掌を開く。
するとその石は、一部金色になっていた。
「まだ完全じゃないけど、私の専門は錬金術だよ」
「いしが…きんになった…」
「ふぅ…一番ベタな方法もこのざまだけど、錬金術には他にも色んなことができるからね。有機物なら、金にも銀にも鉄にも無機物にも、砂みたいに粉々にもできる」
「すっごい…」
バーギラは、知らないだけですごい連中を仲間に持ったものだと思った。
まあ、バーギラも自覚がないだけでそうなのだが。
──と、そんな時…バーギラが。
「ヒロト、何してるの?」
「「「え?」」」
3人がぽかんとする。
目の前の全方を見回すが、ヒロトなどいない。
「いやぁー、やっぱりバーギラなら気づくよなぁ」
「「「きやあアアーッ!!?」」」
後方からの声に振り向くと、ヒロトがちょうど立っていた。
「いつからいたんですか!?」
「足音しなかったじゃないですか!」
「いやぁ…はっは!」
「いやちゃうやん」
ステルスも、ヒロトの日本からの得意分野だ。
「ヒロト、あしおとがきこえた」
「4人一緒に驚かせるつもりだったが、俺もまだまだだったかぁ」
「「「…」」」
「バーギラ、今日は俺も尼野もコウの部屋で過ごすからよ。話がおわってからでもいいから、いつでも来いよ」
「わかった。でも…ちょっとていあん」
「提案…?」
バーギラは一つ頷いてからこう言う。
「さんにんもつれていきたい」




