第05話『10組とクレアの親睦』
「よう、戻ったぜ!」
「おう、おかえり2人とも!」「魔法は使えるようになった?」
コウとサルマがそう言って来るのを、ヒロトとクレアは笑顔で目配せし、元気に以下を言う。
「基礎は完璧だぜ」
「おぉ!」
ヒロトは指先から光を出してみせる。加減もバッチリで、クレアからも文句なしの出来だ。
さらに色も出力も調節できる上、点滅や、バーギラのやるように光点を移動させることもできる。もはや自由自在だ。
「まさか午前中だけで追いつかれるとはなぁ!」
「魔力に触れたことがないにしても、バーギラちゃんと同じく才能があるのかもしれへんなぁ…」
「いや、多分オーラの扱いのトレーニングが予習になってたのかも…」
クラスメイトもヒロトの魔法を見て分析する。
「流石ですね!私もびっくりですよ」
「ヒロト…すごい」
驚異的な才能に恵まれたバーギラやクレアでさえも、驚きを隠せぬ様子だ。
「いやぁ…まさかここまで驚かれるとはなぁ…」
「…へへ…」
ヒロトは、そこで周りを見渡してみる。
彼は、不思議に駆られた。
「あれ…?──テンカ先生は?」
「先生…?ああー…」
それをアシュが説明する。
「急用が出来たとかで、ついさっき教室を出たよ」
「なーんだこの前と一緒じゃねえか」
そういえば、以前もこれであった。
「なあ尼野、何かあいつのこと知らねえか?」
「さあ…何も知らないですね…」
クレアにした質問の答えにも釈然とせぬヒロトだったが…。
──カーン…コーン
チャイムが鳴った。
「おっ、もう昼休みか──かなり集中してて時間なんか気にならなかったぜ」
「ほんならみんな!飯食いにいこうや!」「そうだね!」
マーニとサルマに続いて、10組全員もどんどん食堂へと向かう。
ヒロトは向かおうとしたのを、ひとつ止めてクレアに振り返る。
「おっ、そうだ。尼野も一緒に行くか?」
「えぇ?でもいいんでしょうか」
「なぁに、拒む理由はねえだろって…ただでさえ人数が少ねえんだし」
「そうですね!」
2人も10組に続いて、食堂へと向かうのだった。
「すっかり腹減っちまったぜ」
「意外ですねヒロト君、8年前は随分な少食だったのに」
「いやあ…驚くぜ?」
「…へ?」