3.5話
第三王子視点
ソラ様へ
拝啓
あれから18年の月日が経ちました。ソラ様はお元気でしょうか。
我が国は、他星の属国という形となり、ソラ様と我々が起こした全てに決着がつきました。
今日はそんな区切りの日の独白とさせてください。
私は覚悟が足りていませんでした。
先日、父上の手記を見つけました。
兄上が小さい頃に抱きしめていた熊の人形を見つけました。
妹が大切にしていた母上のネックレスを見つけました。
前辺境伯爵の心中を公爵閣下より聞きました。
皆、覚悟をしていました。
私だけが足りていませんでした。
国を守る覚悟も、全てを捨てる覚悟も、自分を差し出す覚悟も、ただただ国を愛する覚悟もありませんでした。
中途半端な優しさだけを振りまいて、結局何も為していない。
あの時、兄上が亡くなられた後、妻にあなたを託したのも弱さです。
私が、向き合えなかった。
あの時、ルーカス様があなたのご家族の最後を見せにきた時、視線を逸らしてしまったのも弱さです。
私が、苦しいからと目を背けた。
あの時、ルーカス様に頼めなかったのも弱さです。
私が、やらなければならないことでした。
あの時からずっと、後悔ばかりです。
それでも、私は決断しました。
辺境伯の意思も、数多の人の屍も、全てを無意味にする選択だとしても、今ある国と民を優先するのだと。
その強さも、覚悟らしき何かも、今は、あなたと叔母様の真似事ですが、いつか本物になると信じています。
その頃にはきっと、国も安定していると思いますので、招待させて下さい。
ようやく、民の傷が癒えてきました。
ようやく、日常に笑顔が戻りました。
この国は前を向いています。
全て、どうにかなります。
私がどうにかします。
だから、絶対に、あなたのせいなんてことはないので。
そう言い切れる力も、強さも手に入れたので。
いつか、笑って、お越し下さい。
敬具




