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35歳の俺が上司ざまぁするまでの物語  作者: VANRI


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彼女の事情

「副所長、この書類確認お願いします」


 高い声と柔らかい言い方、そしてこの呼び方をするのは……


 阿部優愛! ……さん。


 外回りに行こうとして立っていたので見下ろす形になる。


 いつ見ても可愛いんだよな~……

化粧バリバリって訳じゃないのに目が大きいのは元がいいんだろうな、阿部もそんな感じだし。

あいつも化粧したらそこらの女より可愛くなるんじゃ……

そしてこの子、顔小さっ!


「副所長? 何か間違ってました?」


 その言葉で我に返る。

「いや、大丈夫。これでよろしく」


 つい後ろ姿も見てしまう。

 長い髪もきちんと団子にして纏めていて好感が持てる。

 ありゃ、モテるだろうな〜……しかも細い。スカートから出ている足が簡単に折れそうなくらい。

 こんな子が妹だったらそりゃシスコンにもなるだろう。

 そういや何ヶ月か経ったけど事務で上手くやれてるんだろうか? 特に何も聞かないけど。

 問題があれば何かしら話題になるだろうから大丈夫と判断していいかな……


「成瀬さんてああいう子が好みなんですね」


 その一言で心臓が跳ね上がる。

さっき優愛がいた場所に佐伯さんが立っており、こちらを笑顔で見上げていた。

だが目が笑ってない……


「そ、そんなことないよ。若い子は苦手で……」

とりあえず愛想笑いを浮かべながら答える。


「そうですか。年老いた女性の方が好みですか」

「いや、そういう意味では……」


「ではこれも確認お願いします」

と、無機質な声でまあまあ多めの書類を机に置かれる。


「いやその書類、俺じゃなく高橋の確認でいいやつだろ!」と思うが勿論言えない。


「わかりました……」

とりあえず無難に返答する。


 佐伯さんは言いたいことだけ言うとさっさと自分の席へ戻って行く。


 佐伯さんの後ろ姿も見送る。

 ありゃ怒ってんな〜。フォローしねえと……

俺はこっちの方がタイプなんだけど。

そんな細くはないけど太ってもないし。

でも女はすぐ痩せたい痩せたい言うしな……

俺的には痩せてガリガリよりも、ある程度肉あった方が胸が揉み……


 ああ…… 仕事中なのに女の後ろ姿見送ってばっかで何やってんだろ。

 今日は書類整理かな、急ぎの用はないし外回りはまた今度でいっか。




――――――




 今日は金曜日だったのでいつも通り佐伯さんが家に来てくれた。


 だが、昼間のこともありちょっと機嫌悪い。

ちょっと。僅か。少々。微妙。ほんの少し機嫌が悪い。


 何やら料理を作ってくれている。

俺は料理は全然出来ないから手順を見ていても何が出来るか良くわからない。

だから「何やら」作ってくれていることしかわからない。


「何か手伝おうか?」

「いえ大丈夫です」

料理を切る如くバッサリ断られる。


 そしてボソッと付け加えられる。

「こないだ試しにりんごの皮むき頼んだら、食べるところがほとんど無くなったじゃないですか」

少し口元がほころんでいる。


 ああ、あったなそういうこと。

一緒に過ごす時間が増えていって、思い出がどんどん貯金のように貯まっていく感覚になる。

なんか嬉しい。


「阿部さんって事務でどうなの?」


 その一言でギロリと睨み上げられる。


 しまった! ちょっと油断してしまった!

機嫌良くなってきたみたいだったから……


 すぐに手元に目を戻される。


「いや! 気になってるとかじゃなくて!

阿部の妹だし、阿部も気にしてたし……!」


 嘘は言ってないのに何でこんなしどろもどろになるんだろう。

嫌われたくないからだろうか。


 しばらく間を置いて、料理をしながら佐伯さんが話し出す。

「普通、可愛い子とか綺麗な子って同性から嫌われるんです。

 特に欠点なくても、欠点ないのが気に入らなかったり、少しでもマイナス面を見つけられたらそれを徹底的に叩かれたり。

 まあ、ただの嫉妬ですが」


「怖いな女って……。

じゃあ阿部さんもそんな目に……?」


 包丁を持つ手を止め、俺と視線を合わせる。

「あの子は別です」


「え? 何が?」


 目を逸らされる。

「秘密です」

「え? 何で?」


 また視線が戻ってくる。

「成瀬さんが興味もつのなんか嫌だし……」


 思わず顔を近づけキスをしてしまう。


「なんでいきなり……! 包丁持ってるのに……」


 佐伯さんが動揺して耳まで真っ赤になっている。


 可愛い!! 可愛すぎる! 

こんな子が彼女なんて嬉しすぎる!

好きでたまらなくて、もうどうしようもなく抱き潰してしまいたくなる。

 でもそれでは理性のないそこら辺の犬や猫と同じなので、その衝動をオトナの理性で抑え込む。


「ごめん、つい……」

笑ってその場を離れる。


 危ない危ない。

理性失くすとこだった。


 お楽しみは後にとっておこう。





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