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62 弟のパンツ


「さぁ、ここを抜けると、エメラルティー侯爵の屋敷よ」


 王宮から続く地下道の終点の扉を押し開ける。


 私とルナちゃんは、学園の制服のままだ。


 ルナちゃんのボウタイは、王子たちと同じ青色に変わっていた。これだけは、規則なんで、拒むことが出来なかったらしい。



 ローソク魔法の灯りが続く地下道を抜け、私は異国のメガネを外した。


「フランソワーズ様、こんな隠し通路があったのですね」


 ルナちゃんは驚いている。まだ、王族としての教育が終わってないからか、脱出用の隠し通路のことは知らなかった。



「この隠し通路は、侯爵を継ぐ者、そして国王を継ぐ者にしか明かされません」


 この通路の存在がバレると、もしもの時に脱出が出来なくなる。


「え! では、私たちは……」


 そういえば、私は侯爵を継ぐ者ではないし、ルナちゃんも国王を継ぐものではない。



「誰にも言わなければ、大丈夫よ」


 大丈夫かな? 消されないよね。


 父のエメラルティー侯爵が屋敷を抜け出した事で、私は、この隠し通路のことを思い出した。


 幼い頃、父から聞いたのだ。


 あのクソ親父は、なぜ私に隠し通路のことを教えたのだろう? 王妃にだって明かされない通路なのに。




「ここが弟、エリアルの部屋よ」


 いつもどおり、ノックもしないで、いきなり扉を開けた。


「おはよう!」


 弟は、ベッドで大の字になって寝ころんでいた。


「きゃ」


 ルナちゃんが驚いて声を上げた。


 弟は、シマ柄のサルマタ……パンツ一枚であった。




 私は、弟のパンツ姿には何とも思わないが、なぜかサクラのパンツ姿には、ドキドキした。


 今では、サクラの下半身は王弟殿下のままであり、競技用のビルダーパンツだとわかったが、まだ目の前にゴリラの刺しゅうがチラつく。




「わーはっは、お姉さまが、エリアルの彼女を連れて来たぞ!」


 私は、高笑いしながら宣言した。


「げ!」


 弟のエリアルが固まった。


 久しぶりに、恐怖に引きつる顔を見た。というか、この顔が見たかったのだ。お姉さまの特権である。




「ほらルナちゃん、相談があるのでしょ?」


 恥ずかしがる彼女を、前に押し出す。


「おはよう、エリアル君……」


 いや、今は金曜の午後だから。ツッコミたいが、空気を読んで大人しくしておく。


 彼女は、エリアルと会うのが恥ずかしいらしく、パンツ姿を見て顔を赤らめているのでは無い様だ。




「ルナちゃん、おはよう……」


 いや、今は金曜の午後だって。言いたくて、ウズウズしてしてしまう。


 エリアルは、彼女と会うのが恥ずかしいらしく、パンツ姿を恥ずかしがって顔を赤らめているのでは無い様だ。


 中等部の男女って、こんな感じなのかな? ここ寝室だよ?




お読みいただきありがとうございました。

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