59 第四の派閥
「フランソワーズ女男爵に、新しい地位を授ける」
国王が宣言した。王弟殿下の私室で固まった私は、国王から呼び出しがあると言われ、謁見の間に来ている。
爵位じゃなくて、新しい地位? そんなのに興味はない。
今の問題は、王弟殿下のビルダーパンツ……いや、サクラが、自分は王弟殿下であると言い出したことだ。
私は、サクラを親友として、色いろなこと……本音を、恋心を、話したことが問題なのだ。
「貴族院に、新しい派閥を立ち上げる。その派閥の長に、フランソワーズを任命する」
国王が、私の想いなど関係ないと、話を続けている。
「そして、王宮内に執務室を与える」
あれ、国王は何と言った? 新しい派閥と言ったよね。筆頭侯爵の第一王子派、次席侯爵の第二王子派、父の中立派……第四の派閥を作るのか。
何かおかしい……私は、正気に戻った。
「畏れながら、国王陛下は派閥のバランスを常にお考えだと聞いております。そこに、第四の派閥を立ち上げる意味が理解できません」
私は、学園の生徒だ。なぜ派閥の長など命じられるのだ?
第四の派閥など、筆頭侯爵や次席侯爵から、あっという間に潰されるだろう。
「もっともな疑問だ。派閥のバランスは、大きく崩れるだろう」
国王が渋い顔になった。
分かっているなら、なぜ、そんな危険を冒すのだ?
「実は、第四の派閥を立ち上げ、バランスをぶっ壊してくれたのは、女王コノハだ」
元女王コノハ様……ルナちゃんを国王の養子とし、私を第四の派閥の長に据えて、元女王は王国をどうしようと考えているのだろう。
「第四の派閥の初期メンバーは、すでに、女王コノハが決めている」
扉を開けるよう、国王が指示した。
入ってきたのは、ルナちゃんと、王弟殿下の侍女たちだった。彼女たちも訳が分からないという顔をしている。
私も、訳が分からない。
王女であるルナちゃん、そして爵位を持たない侍女たちは、貴族院のメンバーではない。派閥とは無関係だ。
「この侍女たちには、先日の聖女降臨の褒美として、先ほど、男爵の爵位を授与した。そして、第四の派閥の初期メンバーとなってもらう」
侍女たちの夫は、実力はあるが嫡男ではないため、爵位を持っていないと聞いている。妻の方が爵位を持つと、立場はどうなるのだろう?
あれ、私には、聖女降臨の褒美はないの? まぁいいか。
なぜ、ルナちゃんまで? たぶん、国王は、娘のことが心配なのだろう。
ルナちゃんは、表向きこそ国王の養女だが、本当は国王と専属メイド長の間に授かった実の娘だ。
はやく、実の父だと名乗り出ればいいのに、いまだに、ルナちゃんへ名乗り出ていない。
その間に、元女王が、ルナちゃんとの関係を縮めており、国王は、一人取り残されて、実の娘を抱きしめる機会を失い、寂しい思いをしているようだ。
「すでに知っているだろう、私の養女ルナは、昨夜のパーティーにて王女としてデビューした」
また養女と言っている……まったく、父親というものは、理解に苦しむ。
「第四の派閥は、この新しい王女の後ろ盾となってもらう!」
え! 第一王子派、第二王子派、中立派、そして王女派?
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