43 貴族の血筋
「分かっているだろうが、貴族は、血筋をとても大事にしている」
謁見の間、私に向かって、元女王コノハ様が語り出した。
「魔力の大小、得意魔法の属性、容姿など、血筋によって左右されるからだ」
国王は、元女王に似ていると言われ、王弟殿下は、元女王の母親に似ていると言われている。
一方、私と弟は、父親のエメラルティー侯爵には似ていないので、きっと、母親に似ているんだろう。会ったことはないが。
「次席侯爵夫婦は子に恵まれていない。二十年前の流行り病の影響だと言われている。そのため、オイっ子である第二王子を我が子のように思い、侯爵家の希望の星と考えている」
第二王子は、次席侯爵に似ており、つながった血筋だとひと目でわかる。
「筆頭侯爵夫婦には娘が一人だけだ。やはり、二十年前の流行り病の影響だろう。そのため、オイっ子である第一王子を我が子のように思い、婚約者について強く意見してくる」
第一王子は、筆頭侯爵に似ており、こちらも、つながった血筋だとひと目でわかる。
「そして、正妃と筆頭侯爵は、珍しい双子だ」
え? 正妃は筆頭侯爵の妹だと聞いていたが、双子だったとは……言われてみると、二人は似ている……いや、言われなければ、気が付かないかも。
「筆頭侯爵の娘であるイライザは、誤解も多いが、血筋を残すため、必死になって相手となる令息を選んでいるのだ」
そうなのか? イライザには、男を物色する理由があったのか……いや、あれは持って生まれた性格だと思う。
「フランソワーズにも、血筋を残すよう、幸せな結婚を考えてほしい。この王国のため、その身をささげるのではなくだ!」
コノハ様は、私の決意を、お見通しだった。
「幼い頃に、クロガネの後姿を見たのだな? クロガネは、予期せぬ事態で、自分で重荷を背負ってしまった。フランソワーズは、そんなクロガネに引っ張られる必要はない」
なぜ知っているのだろう。コノハ様は、私を幼い頃から見ていたのか?
「少子化対策として、王族に続いて、上級貴族にも側妃を認める法案が上がっている。しかし、わがはいは、時期が早いと思う」
昔に比べ、令息の数は減った。しかし、同じように令嬢の数も減っている。上級貴族に側妃を認めれば、独身の令息が増えるだけで、人口増につながらない。
上級貴族は、自分の欲望のために、側妃を認めるように法案を上げたのだ。
「今回の、そなたたちの活躍で、流行り病は、早い段階で終息へ向かった」
「そして、流行り病の主な原因は、王都の不衛生な環境にあると判明した」
「王都の清潔、清掃に予算を使うことを優先させる事態なのに、側妃を認めろだと……」
元女王の話に熱が帯びてきた。
「そんな法案を検討する前に、血筋が正しく継承されているのか、確かめる必要があると考えている」
どういう事だ? 元女王の話が、つながっていない。
「友好国の聖女は、血筋を……いや、これは秘密事項だ」
元女王は、何か言おうとして、止めた。何か大事なことのようだ。
「サクラ……聖女降臨の真実を探るため、友好国から聖女を招待する。いいな」
元女王は、なぜか、サクラに了解を求めた。サクラは、友好国からの留学生であることが、関係しているのだろうか。
「……女王コノハ様の、御心のまま」
サクラは、頭を下げた。
いや、ここでは、令嬢はカーテシーをとるべきだ! 学園のスラックスパンツ姿なので、男性の挨拶をしてしまったのか? いつも、彼女にはハラハラさせられる。
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