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32話

 ……少女は、瞼を開けた。

 漆黒の瞳が見つめる先は、やはり暗黒なまま。

 この世界に光は存在しない。

 この世界に光は不要なもの。あってはならないもの。

 光と闇は正反対に位置するもの。この二つは決して共感できないもの。

 顔を合わせれば、争うもの。

 そんなこと誰が決めた。

 光と闇が友になれぬと誰が決めた。

 エスは思う。

 あそこにいた時、プティと遊んでいた時(戦っていた時)、別に合わないものとは思えなかった。

 ……なんだろう、この気持ち。

 またあそこに行きたいと思う。思っている自分がいる。

 いつもこちらが問えば、返ってきた意思が来た。意思の方から来た。

 あそこには行きたくない――。

 それは、そうだ。純粋な闇の意思。

 やはり、それが普通で、普通は闇は光を嫌い、光は闇を嫌うもの。

 エスはあそこにいて変わってしまったのか、元々変わっていたのか。

 もう一度、行ったところでどうなるのか。

 もう忘れた方が良い。

 何故行こうとする。

 そこで意志から伝わってくるものは揶揄――?

 べ、別にあの子供が気になるとかじゃない。

 エスは顔を赤くして反抗する。

 ……そんなんじゃない、と思う。

 最後に見せたあの顔が気になっただけ。

 さよならと言った時に見えた顔が、儚い感じだった。

 それをそんなんと意志は言いたい。

 うるさいうるさい。急にうるさいんだから、もう。

 どうしようか。

 意志が伝わってくる。

 悩んで悩んで、どうしても行きたいなら、止めないと。

 だけど、それでつらい思いをしても、それは自分の責任だよ、と。

 悩んで悩んで。

 決めよう。もうあの世界のことを忘れるか、それとも――。

 エスは再び瞼を閉じ、闇の世界により深く浸った。

 瞼を開けた時、心は決まっているだろうか。

次で最終話です。

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