20話
「……」
なんだったのか。
気配は無い。
そこらじゅうを探ってみたが、ない。いない。
一瞬で、どこかへ行ってしまった。
……目的が出来た。
どうやら、自分がここに来るハメになったのは、今の子供のせいらしい。
目的は、今の子供を探すこと。
質問に答えてもらうこと。
どうして、自分をこの世界に拉致するようなことをしたのか。
めんどう臭くなければ、怒りも悲しみもこみ上げてこない。
無感動に決まった。
明確な目的が。
でも今日は、もう寝る。
早いけど寝る。
なんか腹が立ったからふて寝だ。
おやすみなさい。
「……」
爆睡して早朝に目は覚めた。すぐに朝は来た。
寝てから、朝というのはすぐ来る。
別に睡眠は絶対というほど必要ではない。今までずっと睡眠だけのような生活だったし、疲れてないから、休息を体は欲してない。
――寝だめしていた。そんな感じなのかもしれない。
でも、目を閉じて寝ることを意識すれば、すぐに睡眠に入れる。
「……」
今日も真っ青な天気になりそう。この少女にとっては、どんより曇っていた方が本質的に合うのだが、どうにもならないことがわかっているから、どうでもよかった。
……しかし、エス自身がその気になれば、実は空の機嫌を変えることが出来るのだ。
属性が闇ゆえに、暗闇に変えることしか出来ないが、出来るのだ。変えることが。
本人が、まだ自身の魔力がどれほどのものか理解してないことが幸いした。
エスは、瞳を閉じて、心を澄ませてみる。
……見えるか、感じるか。
今自分の望む者の存在を――。
光が見えた。
自分とは決して相容れないその属性が、何故か嫌に感じなかった。でもそれは、きっと気のせいだ。
光の中に見える何色とも表現できないはっきりしない色――。
混沌とした球形のそれは、中心にある。
――なんとなく掴めてきた。
あの子供の正体。
あれは、やっぱり人間じゃなくて、自分と同じようなモノ――。
……向こうが何もしなければ、こちらも何もしない。なのに――仕掛けてきたからなあ。
困ったボウヤだ。
少しお仕置きしてあげないと、ね。
エスはにっこり笑って映像を切った。




