第六回イベント:プロローグその2
お久しぶりです。
「「よお。」」
クランハウスのミーティングルームの扉を開けた瞬間に旅人さんとニャーサーさんに捕獲された。両腕をがっちりと。
「俺たちに言うことあるんじゃねえか。ガキンチョ。」
「そうニャ。」
筋力は2人とも俺よりも上なので逃げれる気配がない。
「コンパス起動、座標、」
テレポートコンパスを使って逃げようとしたが、
「無駄ニャ。お前さんが逃走用に指定している座標は我が団員に見晴らしているニャ。」
「嘘だろおい。」
「本当ニャ。嘘だと思うならそれを使ってみるといいニャ。リスキルされて、ここに戻ってくるのが落ちニャ。」
「いや待ってください、なんだあんたが俺の個人的な情報を知っているんすか。クランメンバーにも、全部は教えてないっすけど。」
「うっ。」
あ、嘘だな。
「テレポートコンパs、」
「ほい。」
旅人さんから体に何かを貼られた。それと同時にテレポートコンパスの使用可能表示が切れた。
「間に合ったかニャ。すぐに貼らなかったから、焦ったニャ。」
「すまんな。間違えて硬化の札を取り出してたんでな。」
身体に貼られていたのは固定の札であった。
「またこんな貴重なものを俺に使っても意味ないっすよ。」
「いやあ、お前が昨日手に入れたユニーク等級の武器について聞かなきゃいけねえからな。」
2人からは二チャアという効果音が付きそうな表情をしていた。
「さっきから黙ってこっちを見ていますけど。錆さん助けてくださいよ。」
すると寂れた錆さんは、
「すまないね、スカイ君。今回は僕もどちらかというとその2人側の人間なんだ。」
と満面の笑みで言い放った。
そう、グルだったのである。
「はあ、とりあえず見てください。」
俺は黒狼の刃を取り出すと机に上に置いた。そして武器説明欄を開いて見せた。
「ふむ、名前と能力値、そして特殊効果の'透過'しか書いていないか。」
「まあ、我々戦闘エンジョイ勢からしたら、武器の能力がわかるだけでも十分な収穫なのだが、お主ら考察系にとってはもどかしい話なのであろう。」
奥に座っていた錆さんはいつの間にか僕の後ろに立っていた。
「そうですね。この武器のテキストからあの獣の正体まで考察したかったのですが、正直今まで戦ってきた狼敬の敵とは何かしら異なることしかわかりません。あともう一つ考察できるなら、あの黒狼はこの世界の概念、つまりこのゲームのシステムに干渉できることが考えられますね。」
以外にも錆さんの口から出てきたのは飛んでも考察だった。
「ま、待つニャ。それが本当ならこの武器をめぐってガチでプレイヤー間で戦争が起きるニャ。」
このゲームにも脂汗があったことを思い出させてくれるほど、俺含めて3人は驚いた。
「根拠は?」
「いくつかありますが、まずこの武器の説明欄を見る限りでは、特殊効果は任意で発動可能かつ、消費するもの、つまりは代償がないわけです。」
「代償がなくて、効果が使用できるアイテムなんてこのゲームではいくつも種類があるだろ。」
すかさず疑問を抱きそれを言葉にする旅人さん。
「しかし、それらは何れの物にしてもそのアイテム自体が消費されます。」
「「「あっ。」」」
それは盲点だった。
「他にもこの武器はこのゲーム中で初めてプレイヤーが手に入れた武器である可能性が高いのに、それを公式が一切コメントを出していないという事です。」
「いやまて、昨日の今日の出来事だろ、運営もそんなに早く把握できていないだろ。」
しかし、俺には思い当たる節があった。
「もしかしてユニーククエストの時のことを言っているんですか。」
「そう。このゲームが配信されてから1か月後最初のユニーククエスト受注者が現れ、その日の内に毎日の1日1回の公式情報更新ですぐに情報が解禁されたというものだよ。それからというもの、このゲームの中での出来事のほとんどが運営に監視されているといううわさが流れたけど、この間のオリハルコンの件とレッドクランの件で確信を得たんだ。運営はこのゲームに関する新情報に少しでもプレイヤーが接触すると、すぐに情報を解禁するという事を。」
3人共唸った。最初に口を開いたのはニャーサーさんだった。
「つまり、運営はこの武器のようなシステムに干渉できる武器のことをプレイヤー中に知られたくないと。」
「じゃあ、なんでこんな武器をつくたんだよ。」
「まあ、あの元凶がおもしろそうだと思って創ったんでしょ。」
「「「あー。」」」
思わず思ったことを口にしたが、3人も納得していた。
「とりあえずこの武器の情報だけは隠しておくという方向でいいんじゃないか。所の武器のテキストがこのゲームのシナリオ自体に関係している可能性もあるし、この武器関連のユニーククエストがあるかもしれない。もしこのことが他の上位陣特に知れ渡ったら面倒くさいぞ。」
「リスキルですか。」
「ああ、特に血掟の兵団は人数が俺たちの比じゃないからな、人海戦術で探られたらひとたまりもない。」
「確かに、奴らのほとんどはクラン順位が1位であることを最も大事にしているからな。1回手伝いに呼ばれたことがあるが、奴らは効率厨という呼び方ですら生温い廃人集団だぞ。」
「いくつかの派閥に分かれているみたいだからニャカには話が分かるやつもいるが、」
「それがよりにもよってあいつなんだよな。」
「だね。」
「ニャア。」
「あいつって誰ですか。」
「「「守銭奴のクソ外道野郎だよ。」」」
3人共にとても苦い顔をした。
「まあ、あいつは血掟の兵団の初期メンバーに1人だが、の組織の中では最も嫌われている奴だ。」
「どうしてですか。」
「そりゃあ、あいつは自分の利益が最も重要で、次第によっては敵を倒すために見方も巻き込んで自爆するような奴だからな。」
「うわあ。」
「しかし、逆にあいつは自分の利益になるなら、善服の信頼を置ける奴ニャ。」
「まあ、途中でそれ以上の利益が望めるときは迷わず裏切るけど。」
「出来れば出会いたくないですね。その人とは。」
素直な感想を呟くと、
「スカイ君、余計なフラグは立てないでくれよ。」
「頼むニャ。奴はそういうフラグは見逃さないタイプだからニャ。」
「そうそう、あの野郎何だかんだで悪乗りを楽しむタイプだからな。」
「結局その人はどんなプレイスタイルなんですか。」
3人はこの質問に対して考え込んだ。一分くらいの沈黙の後、最初に口を開いたのは旅人こなしながらも
「まあ、強いて言うなら俺らが対人、ロールプレイ、考察、攻略に各自100の内90くらいリソースを振って特化したゲームの楽しみ方をしているところを、あいつはそれぞれ均等にリソースを振り分けてこのゲームを遊んでいある。」
「でもそれって、ある程度ゲームに慣れてきた中級者が陥るどこから手を付ければいいか分からない状態になりませんか。」
3人は同時にため息をついた。
「それを完璧に同時進行でこなしてしまうのが奴ニャ。」
「そう、特化はしないが、かといって器用貧乏にも陥っていない。」
「しかも、地獄のマルチタスクをこなしながらも純粋にゲームを楽しんでいる。」
「最強ですね。」
「そうだな。でも、あいつの根底にあるものは結局自益のための行動だから出会わないことが一番だな。」
「わかりました。気を付けるのでプレイヤー名教えてください。」
「「「無理だ。」」」
「なんで。」
「あいつは自分井対する反応をすぐに感じ取るからな。お前の場合知らない方があいつとエンカウントを避けられる。」
なんか徘徊する強エネミーみたいな扱いだな、その人。
「まあ、昔の狩りゲーで言うところの乱入してくるゴーヤ恐竜か、金色ゴリラと思えばいいさ。」
「それ今のシリーズにもいますよね。」
「昔のシリーズでは途中参戦だったからよ、ターゲットの寝床に居座っていた時の恐怖はトラウマものだな。」
残り2人も頷いていた。
「き、気を付けます。」
時計を見るとイベント開始の10分前になっていた。
「それじゃあ、各自の陣営に行きますか。」
「ああ、今回も各クランのロイヤルバトル形式だからな。恨みっこはなしだぜ。」
「しかし、初参戦のクランに限っては徒党を組んでもよしっていうのはいかがなものかニャ。」
「しょうがないのでは、参加クランを見る限り初参加クランは全部商業系や、製作系ですし。」
「まあまあ、あとで会場にて。」
「ああ。」
「ニャ。」
そうして各自、自陣営の場所へテレポートしたのであった。
ちなみに考察系を名乗っているクランは全て戦闘系クランです。その中のメンバーに時々商業系や、製作系の職種の人はいますが。




