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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第二章 『動き出した思惑編』
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きっかけの雨03

 カノンさんはいきなり俺から手を握られて、一瞬驚いた表情を見せた。それは俺に対して今、エンパスを使用してない事の証明に他ならない。……俺はカノンさんに信頼されている。だからこそ、真摯に向き合わないといけない。


……とは思いつつ、実際には新魔法への確かなビジョンが見えたことへの喜びが抑えきれないでいた。


今までの俺の記憶魔法【レコード】は見た光景を原画のように大事に1枚1枚きちんと管理していた。その上で前の1枚と次の1枚を上から下まで、隅から隅まで、全てを記憶復元魔法【リメモリー】で照合解析するという手法だった。ところが、これでは非常に膨大な解析で魔法力の消費と解析時間が非常にかかり過ぎて実戦向きではなかった。


それをどうにかして最適化したい。そのためのアドバイスをカノンさんから受け継いだ。


ヒントは2つ。

1つ目はカノンさんの魔法は波紋を媒体として二段階で検索している。

2つ目はカノンさんが傘からはみ出た雨で濡れた俺の右肩だけを拭いてくれた。


この2つのきっかけから、俺はレコードとリメモリーを同時に行いリアルタイム解析する方法を見つけることが出来た。




「実際、何をひらめいたんですか⁉︎」


カノンさんが興味津々で聞いてきた。


「俺の考え方はカノンさんと違って、空間ではなく平面なのです。写真、、、あっ、カノンさんは『写真』を知っていますか⁉︎」


「ごめんなさい。聞いたことはあるけど、どういう原理かは知らないの」


「いえ、原理のことではありません。では絵画にしましょう。俺の記憶魔法【レコード】は、見た光景を一瞬で絵に落とし込むような作業をしています。つまり平面のキャンパスに実際の景色を模写していると思ってくれればいいです」


「それならば、わかります」


「そしてそれは1枚ではなく、記憶時間に比例し何十枚、何百枚、何千枚と続けて保管していくのです。ここまではわかりますか⁉︎」


説明しながら俺自身、興奮を抑えきれないでいた。そしてカノンさんにもこの俺の喜びをいち早く理解してもらいたいと思い始めていた。


「解析する為には、何千枚もの絵を1枚づつ比較しなければならないのですね」


「そうです。それが、俺の魔法の問題点で、カノンさんのエンパスとは異なる点です。でもヒントをいただきました。それは『細分化』です」


「細分化……ですか⁉︎」


「これまで俺は比較する1枚と1枚を隅から隅まで違うことろがないか全部比較解析していました。でも、全部を解析する必要はないんです。『必要な部分だけ』解析すればいいんです」


「な、なるほど」


どうやら、カノンさんもわかったようだ。


「記録した1枚の絵に対し全部を毎回解析するのではなく、まず大雑把に分割する。そして変化があった部分だけを解析する。そうすると残りの部分は不要になりますね」


「私の『省略』方法と同じですね」


「そうです。この省略こそが大事なのです。ざっくりいえば、雨の中で立っている俺全身ではなく、肩が濡れているその部分が以前と違うならば、そこだけを『動きの検出』として解析すればいい。それ以外は解析しても濡れていないんですから結果は変わらない。不要な計算となり省略することが出来る」


「そうですね」


「この考え方を魔法に応用出来れば、少ない魔法力と短時間でのエリア解析が可能になります。俺のレコードも飛躍的に向上します。」


「それは良かったですわ」


カノンさんは、本当に嬉しそうな顔をしている。俺はホッとした……と同時に『あの嘘』を追求しないと。


「それで、……あの〜カノンさん」


「はい⁉︎」


「明日の件なんですけど……俺がカノンさんの役に立つっていう」



「フフフ。嘘だと言ったのに信じてくれたんですね。ありがとうございます。でも、アギトさんはご自身の魔法の完成をしたくてうずうずしているのが、エンパスを使わずともわかりますよ」


「ぐは‼︎」


「なので、私の件は本当に明日でなくていいんですよ。新魔法が完成された後で、つ時間がある時で構いません。そして1日でも早い魔法完成を私も望んでいます。頑張ってくださいね」


「カノンさん、ありがとう」




「……その前に、アギトさんの全身びっしょりの服をなんとかしないといけませんね。その格好では、これから行こうとしていたお店にも入れませんよ。フフフ」


カノンさんは、この後どこかの店を予約してくれていたのか。どおりでさっきから、時間を気にしていると思ったよ。俺は、そんなカノンさんの気配りの行き届いた優しさに、少し憧れを抱き始めていた。

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