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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第二章 『動き出した思惑編』
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先輩と後輩01

 魔なびにおける生活の家事(炊事や洗濯や掃除など)は午後の授業終了後に交代制で割り振られる。今日の掃除当番は俺とスバルとトモミ。室内はトモミとスバルに任せ、俺は外回りの担当だ。分担に納得行かないのかスバルが文句を行ってきた。


「アギトは相変わらずジャンケン強いよなぁ〜。もうそれズルだよ」


「んじゃ、次は別な勝負方法を提案しなよ」



敷地内における外回りは一見して範囲が広く見えるが、基本的には通路とその近辺だけ。そして魔法を使うことで作業効率をあげている。いかにスムーズにゴミを探すか⁉︎ その上で魔法にかける負担を低くする事が出来るか⁉︎


ただ言われた事を言われた通りやっているのではない。規則だから、順番だから、仕方なくやっているのではない。何気ない事をいかに実践に活かすか⁉︎……取り組み方次第で、考え方次第でいつでも魔法の訓練は出来るのだ。



スタンプ先生も毎回毎回、口を酸っぱくして言うセリフがある。


「常に考える癖をつけましょう」


言葉にすれば簡単に聞こえるが、これが実は難しい。将棋の名人戦のように何十手先まで読むといった長考ではなく、むしろ持ち時間なしの1分将棋。閃きと勘を最大限に活かし、刻々と変化する現状を瞬時に判断し対応する。こういう事は急に身に付くモノのではなく、日々の意識の持ちようから変革しなければつちかわれない。


そういう意識改革のせいなのか⁉︎ 日常における癖なのか⁉︎……掃除時間であっても油断しない癖が付いていた。


……だからこれから起こる事も、別に驚くに値すべき事案ではなかった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「よぉ〜後輩」


もう少しで外回りの掃除が終わろうかとした時、不意に後ろから声をかけられた。……とはいえ複数の人物がいる事は敷地内に入ってきた時点で気づいてはいたが、えて知らないフリをした。


「……ん⁉︎ どなたですか⁉︎」


俺はまるで今まさに気づいたかのように返事をした。……しかし、自分で言っておいてなんだが、思いっきり下手くそな演技だった。棒読みのセリフだった。流石にこれはバレたか⁉︎ と思ったがどうやらギリセーフのようだ。普通に返事を返してきた。


「とりあえず、ここにいる全員を呼んでこい‼︎」


「その前に、おたくらどなたですか⁉︎」


「全員を呼んでくるのが先だ‼︎」


「……」


少し威嚇の入った声で、初対面の俺に対し命令をしてきた。話し合いや交渉事において対等ではなく、こちらの質問に一切答えず、主導権を握ろうとする時点で、こいつらの狙いは読める。しかし俺たち以外、つまり宿舎にいるみんなやトウタさん宅へ向かっているモモちゃんまでターゲットにされているとすれば、迂闊うかつに反撃は出来ない。……ここは、しばらく様子見といったところか。




知らない声が聞こえたのか、掃除中のスバルとトモミも集まって来てくれた。そして、こちらが3人揃ったところで、その連中はあたらめて話しかけてきた。



「今いるのは、これで全員かな⁉︎ ……んじゃ、自己紹介するよ。俺たちはお前たちより先にこの世界に来た転生者リンカーだ。言うなればお前たちの『先輩』なんだよ」


「……俺たちがあなた達に何か、しましたっけ〜⁉︎」


「あ〜そうだった、そうだった。話の前に、この間の大精霊祭の活躍は凄かったらしいじゃないか……ずは、ご苦労様と褒めてやるよ」


見知らぬ連中は、一切俺の質問に答える気はないらしい。その上でマイペースでヘラヘラしながら適当に話しかけてきている。流石に黙っていたスバルが反論した。


「そんなこと言いにきたの⁉︎……つか、いくらリンカーだからって、こんな連中を敷地内に入れるって管理能力どうなってんなよ⁉︎ ここの管理人は何してんだよ⁉︎」


「別に俺たちは、何も悪い事をしてないじゃないか。ただ『後輩』を見に来ただけなのに、管理人が止める理由はないよなぁ〜」


「どうでもいいけど、僕たち忙しいんで……あとはアギトに任せたよ」


「……了解」


「少しは黙っていろよ。……まさかとは思うがお前ら大精霊祭の時、実力で南区の護衛に選ばれたとか思っていないよな〜⁉︎ ちょうどあの日は、どういうわけか南区担当の俺たち全員が風邪を引いていてなぁ〜アハハ。だから『俺たちの代わり』に抜擢されたんだよ」


「どうでもいいよ、そんな与太よた話。どうせ仮病だろ」


「本当だろうが、仮病だろうが関係ないんだよ。俺達にとっちゃ、あの戦いはお前ら後輩の力を知る上で、良いサンプルだったってことさ。おかげでお前らの手の内も全部わかった。……ズバリ指摘してやるよ‼︎ お前らはパワー系の接近攻撃魔法使いが一人もいないよな〜。そんなパーティー構成ではバランスが最悪なんだよ」


「あっそ」


「そこで提案だ‼︎ お前らにも得な話さ。お互いがwin-winな関係な話だ」


「いちいち勿体付けた言い方をしますね⁉︎」


「いいじゃないか。核心はここからなんだよ」


「めんどくさいな〜早くに本題入れば⁉︎」


「お〜お〜ガキのくせに言うね。これでも後輩に気ぃ使ってやってるのにさぁ。んじゃ、お言葉に甘えて言うわ……お前ら全員、俺たちの会派に入れてやるよ。光栄に思うがいいさ」



「そういう話だとは思っていたよ……やっぱアギトなんかに任せてられないわ。ここは僕一人でいく‼︎」


「まぁ〜スバルも落ち着けよ」


「2人は任せてくれてるでしょ⁉︎ 僕の性格は知ってるはずだよね⁉︎」


「何ごちゃごちゃ言ってんだよ⁉︎」


「キリがないので、遊びはここまでにしとこう。アギトとトモミも、もうわかっているよな」


「まあね」

「うん」



俺ら3人に対し、連中は7人なら余裕だと思っている。そしてこちらにパワー系の接近戦の特化した魔法使用者がいない事で安心し、俺たちをガキ扱いし常に見下す姿勢を終始止めなかった。

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