ラストリンカーVS野盗集団02
「ラルにミルクをあげる時間を過ぎてたよ」
そう言って、トウタさんが慌てて魔なび舎から退散していった後、残された俺たちはトウタさんのあまりの魔法の凄さにしばらく呆然としていた。しかしモモちゃんがその静寂を打ち破った。
「トウタおにいちゃんのまほうはきれいでちた。モモちゃんもやってみたいでしゅ」
「……オレも、やりたいなぁ〜カッコいいもん」
「僕もやりたいなぁ」
「……いやいや、みんなの気持ちはわかるよ。でも俺たちには無理だよ。むしろあんな危険すぎるリスクをみんなに背負わすわけにはいかないよ」
「確かにオレもやりたいけど、痛いのは嫌だなぁ〜〜」
「できないんでちゅか⁉︎」
「……いえ、モモちゃん。……出来るかもしれないわ」
カミュールさんが、少し考え込んで、そこから意を決したように答えた。
「いやいやカミュールさん、いくらなんでも無理でしょ‼︎ だって俺達は次世代魔法(複数の魔法所持可能)は使えるけど、同時に複数の魔法発動は無理だよ。不可能だよ‼︎」
「そうよ、あれはパパが命を削ってまで身につけた魔法なのよ。私達が簡単に出来るわけないでしょ‼︎」
「本当に師匠の魔法はすごかったわ。感動しました。でもね、私たちには師匠がないものを持っているの。……それは『みんなの力』よ‼︎ そして師匠は、こうも言ってくれたじゃない。『俺の魔法を見ることで、みんなならどういう連携が出来るのか⁉︎』って!!」
「……まさか‼︎」
「僕は、もうわかったよ。つまりさ、カミュールお姉ちゃんの交換魔法【コンバート】を使うんだろ」
「さすが、スバル君、正解よ‼︎」
「いやいや……流石にこれだけ合同練習してきたんだから、誰だってコンバートはわかるよ。でもさ、交換って言ったって何を交換するのさ⁉︎ 交換したって、トウタさんの詠唱なし連続魔法にはならないじゃないか⁉︎」
「そうだよ。こういっては失礼だけど僕たちの魔法の交換だって完成度は高くないよね⁉︎ 共通項目がなかなか見つからないって、カミュールさんは言っていたじゃないか‼︎」
「確かにみんなの魔法はそれぞれ個性が強くて、同じイメージに結びつけるのは簡単ではないわ。……でもね、一人から放つ複数の魔法なら交換出来ると思うの。それは『同じ人が放つ魔法』として、共通イメージが出来やすいと思うのよ」
「た、確かに……それならばイメージはしやすいとは思うよ。でも尚更、同時魔法が出来ないのだから、交換は無理じゃないの⁉︎」
「そうじゃないの。使用時に同時に魔法を出すのではないの。あらかじめ魔法をストックしておくの‼︎」
「えええ〜⁉︎」
「ま、まさか‼︎」
「そうなの。トモミ君の守備魔法【フルフェイス】の上位版でもある保管魔法【マルチストレージ】にみんなの魔法をあらかじめ全部入れて、保管しておくの。マルチストレージで発動直前状態の魔法をずっと保管出来るようにしておけば、師匠のような詠唱なしの連続魔法が、私のコンバートを介して出来るのよ」
「すげ〜‼︎」
「みんないっしょでトウタおにいちゃんになれまちゅ」
「それならば詠唱なしで、ノーリスクで、連続魔法が撃てる。……しかし、トモミ‼︎ お前のマルチストレージのスペックは今どんなもんなんだよ⁉︎」
「ま、まだ、そんなに一度に保管出来ませんよ。ストック数も少ないし保管時間も、長くても1時間が精一杯ですよ」
「んじゃ、今のストック数を3倍にしろ‼︎ そして保管時間も3倍にしろ‼︎」
「そんな、無茶なぁ〜」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
実際、トモミはストック数も保管時間も3倍にした。だから準備が出来た。見た目は頼りない子供達でも、連携することで、協力することで、トウタさんのような魔法が使えるようになる。……やっぱりトウタさんはすげ〜〜よ‼︎ ここまでお見通しだったんかよ‼︎
……そしてモモちゃんもすごい。元々モモちゃんの魔法は精神安定系の魔法だ。本来はサポート的な魔法なのだ。それを逆手にとった。相手に鎮静魔法【リラクル】をかけ、精神的に落ち着かせてる。そしてリラクルの魔法散布が消滅する前に、モモちゃんの第2の魔法、睡眠魔法【フラッシュスリープ】をカミューさんがコンバートさせた。現在の成功率が60%のフラッシュスリープの直前に相手にリラクルをかけることで成功率99%まで上げた。まさにモモちゃんの必殺コンボが完成した瞬間だった。




