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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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ラストリンカーVS野盗集団01

 予定通り大精霊祭が始まった。


観客が熱気に溢れる中、この時点でのミストラル内に侵入出来る全ての門およびその外周道の一時的通行禁止が発令された。この理由について、表向きはあくまで祭運営上の安全配慮として通達したのだ。


観客に予め『襲撃が来るかもしれない』という警告や注意喚起をする事は出来る。しかし天気予報などとは訳が違う。基本、事件や事故は起きてから人は自覚する。どんなに注意喚起したところで、住民全員が事前に危機意識を持つのは無理があるのだ。だから危機意識を持つのは上層部と祭運営に関わる関係者と治安維持に努める護衛班、前線班だけでいい。


……おそらく、敵は大精霊祭のピークに乗じて襲撃に来る可能性が高い。勿論、祭の中止も事前検討された。しかし仮に敵が攻めて来るかもしれないという憶測だけで、その都度逃げ腰では相手の思うツボになってしまう。また不確定要素だけで不安をあおり、住民を動揺させパニックに落とすのは、むしろマイナスになる。毅然きぜんとした態度で向かい撃てる姿を見せる事で、平常の守備形態でも守れるというアピールになる。そうする事で住民に対する信頼と安心が担保され、また対外に対する抑止力に繋がる。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「本当に、来るのかなぁ〜!?」


「来ない事に越した事はないよね〜。みんなも祭りを見たいのもわかるけど、今だけは、準備に集中してね」


「はい‼︎」

「大丈夫だよ‼︎」


南区の所定の位置についた俺たちは、早速準備に取り掛かった。


「俺は広範囲の記憶魔法【レコード】に専念して、ダイレクトに転送する。その情報をスバルは解析魔法【ワイヤーフレーム】でチェックしてくれ!!そして、このエリアのわずかな違和感を見つけてくれ‼︎」


「了解、アギト‼︎」 


「あとは、手筈てはず通りにみんな頼むよ‼︎」



「オーケー」

「わかってるわよ」

「りょうかいちました」

「う、うん。……でも大丈夫かなぁ」


「大丈夫だよ。みんな強いんだから、きっと大丈夫」


俺たちみたいな子供連中にエリアの一区画を任せるのには賛否はあったらしいが、ミストさんの推薦もあって、メインロードと呼ばれる場所から一本外れた裏道近辺が俺たちの担当になった。つまり道幅がそれほど広くなく両側に建物が並ぶことで左右が遮蔽物しゃへいぶつになる『ココ』が俺たちの連携にとって一番有効な場所なのだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「来たぞ‼︎」


防衛している南区の門を強引に突破し、こちらに向かってくる敵は全部で7人。この連中を食い止めるのが、最大の任務だ。ここを突破されれば、メインロードの奥にある避難場所に直結してしまう。任務に就いた以上、素人とか玄人とかは関係なく、どんな場所だったとしても敗北は許されない。


俺本来の記憶魔法【レコード】&記憶復元魔法【リメモリー】のワンセットではなく、記憶だけに専念する事が出来たおかげで、いつもより広範囲のカバーが可能となり、予想以上に早く敵の侵入位置が特定出来た。あとは予定通りに進めるだけだ。


何より全てに最優先する事は、みんなの安全。その為に相手の攻撃に対しレコードで全て把握する。その結果をスバル経由でみんなに伝達魔法【ネクストコール】ことで、相手の多角的な攻撃に対して、トモミの守備魔法【フルフェイス】とオサムの反射魔法【ショートカウンター】【ロングカウンター】で防ぐ。


同時に、相手の移動予測位置も伝え、ケイの音波魔法【ラブボイス】とゲンキの弾丸魔法【ジャイロボール】が牽制けんせい役となる。ただし、直接相手には攻撃が届かない『ふり』をする。……ただでさえ女子と子供達の集団。相手は当然舐めてくる。それ加えて魔法が敵に当たらないのだから、そりゃ相手も強気になる。その野盗集団全員を油断させ、たった一瞬の隙を狙う事こそが今回一番の核心なのだ。



みんなの頑張りもあって順調に伏線を張っていった。みんな初陣ういじんとは思えないほどの活躍で、緊張にも怖さにもひるむ事なく頑張っていた。


俺は持てる魔力をフル活用し、その最適のタイミングを狙っていた。……そして敵が移動の際に、一瞬全員が近づく瞬間が来た。


「モモちゃん今だ‼︎」


「いきまちゅ。りらくる〜」


モモちゃんの鎮静魔法【リラクル】が発動した。この魔法は精神安定魔法。しかし、俺たちラストリンカー側ではなく、なんと敵全体にかけてしまったのだ。



「お〜お〜防戦一方の中、お子ちゃまが頑張ってやっと魔法出したと思ったら今度はリラクルってバカじゃないのか⁉︎ 大丈夫でちゅか〜〜、アハハハ‼︎ 」


「全くだよな〜。攻撃魔法が全然当たらないからって、精神安定魔法はないだろ‼︎ なんで俺たちを癒すんだよ⁉︎ アハハハ……あぁ〜〜だんだんとリラックスしてきたよ。なんだか随分と気持ち良くなってきたなぁ〜、こんな魔法を相手に放つ、、、なん、、、、て、バカ、、、、、じゃ、、、」




「……バカはお前らだよ‼︎ そしてナイスだ、モモちゃん‼︎」


「ナイス、睡眠魔法【フラッシュスリープ】‼︎」


「かっこいい〜」


「……う、うまくいったよ‼︎」


「やったネ」



7人全員の意識を奪い、深い眠りの淵に落とした。そして当初の予定通り、敵の誰一人も殺さず身柄確保する事でここエリアの戦いを終息事が出来たのだ。



……この結果リザルトは、魔なびで初めて混血魔法【ミリオンブラッド】を見せたトウタさんが去った後に、モモちゃんがつぶやいた一言が全ての始まりだった。

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