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馬車が静まり返った車寄せに滑らかに停車すると、御者が恭しく扉を開け放った。冷涼な夜気がわずかに車内へと流れ込む中、伯爵はまず妻の手を取り、次いで愛娘のエレオノーラを優しくエスコートしながら降り立つ。
三人は石造りの重厚な玄関を抜け、気品あるシャンデリアの灯りに満たされた自邸のホールへと足を踏み入れた。夜会の緊張から完全に解放された空間の中で、伯爵はフロックコートのボタンを緩め、満足げに息を吐き出す。
「やれやれ、今宵は実に疲れる夜会だったが……最後によい余興の締めくくりができた。エレオノーラ、お前は少し冷えただろう。すぐに温かいハーブティーを用意させるゆえ、今夜はゆっくりと休みなさい」
((実のところ、あの侯爵家の次男の不作法には我慢がならなかったが、来週ですべてが終わると思えばこれほど痛快なこともない。我が家へ愛想笑いを振りまいていた連中が、来週の月曜日にどのような顔をするか……想像するだけで酒が美味くなるな))
伯爵夫人は上品に裾を翻しながら、愛娘の肩を優しく抱き寄せた。
「お父様の仰る通りですわ、エレオノーラ。今夜のことはすっかりお忘れなさい。あのような下等な雑音など、来週の今頃には塵のように消え去っているのですから。さあ、お部屋へ戻りましょう。お母様が特別なチョコレートを差し上げますわ」
((あんな男に一瞬でも絡まれた我が子の心労を思うと腹立たしいことこの上ないけれど、それもあと数日の辛抱です。すべてを奪われ、這いつくばる彼の姿こそが、我が愛娘への最高の慰めとなるでしょう))
母の温かな温もりに包まれながら、エレオノーラはふっと微笑みを深め、上品に首肯した。
「お父様、お母様、お心遣いありがとうございますわ。今夜のことは、来週の素晴らしい朝を迎えるための最高の前菜だと思っておきますわね」
((私を困らせようとした罰よ。来週の月曜日、あの無様な男が絶望の淵でどんな顔をするのかしら……今から楽しみで、今夜は眠れなくなってしまいそうだわ))
三人はそれぞれの胸の内に冷徹で甘美な期待を秘めたまま、静まり返った大理石の階段を優雅に昇り、それぞれの自室へと帰っていくのだった。




