散文詩 39 「昭和テレビまんが」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「昭和テレビまんが」
小さい時に見ていたテレビアニメ「みなしごハッチ」。
「みなしご」って親のいない子供のことだが、今では放送禁止用語だろうか。
ミツバチのハッチは離れ離れになったお母さんを探して冒険の旅に出る。泣き虫で弱虫のハッチは、母探しの旅をしながら強くたくましく成長していく。
毎回、悪者が登場する。恐ろしいカマキリとかスズメバチとか。雨が降っても大変だ。人間にとっては小さな雨の一粒でも、ハッチには大洪水を引き起こす。
みなしごハッチを見てから、虫の世界にも人間の世界と同じようなドラマが繰り広げられていると信じて、私は自然を見つめるようになった。
「てんとう虫の歌」は両親をなくした7人兄弟が団結してたくましく生きていく漫画で、兄弟みんな個性があってぶつかり合うけど、協力して難題を乗り越えていく。一人っ子の私にはお兄さんやお姉さんがいることが羨ましかった。
「てんとう虫の歌」は「いなかっぺ大将」を描いた川崎のぼるさんの絵だから、登場人物がみな「いなかっぺ大将」に似ていたような気がする。 「いなかっぺ大将」の主人公、風大左衛門も両親が早くに他界し天涯孤独だった。
川崎のぼるさんは巨人の星の作画もしているが、星飛雄馬もお母さんがいなかった、と思う。
そう言えば、「サスケ」もお母さんがいなかった。「光あるところに影がある・・・」始まりのナレーションを今でも空で覚えている。♪子ぎつねコンと鳴く♪という挿入歌が流れると、子供忍者のサスケはお母さんを恋しく思い出し、優しいお母さんとお風呂に入っているシーンになる。懐かしい。
こうして思い返してみると、子供の頃に見たテレビ漫画には母親のいない主人公が懸命に生きていくという漫画が多くある。不思議に思って、あれこれ考えを巡らせてみた。私の子供の頃とは第二次世界大戦の敗戦から30年経っているが、戦争の影響ではないだろうかと推測した。
第二次世界大戦で親を亡くし戦争孤児となった子供は、12万人以上いたそうだ。その子供たちが大人になって社会の中核を形成するようになったのが、私の子供の頃である。高度経済成長も終わり、公害問題が露呈してくる時代だ。戦争は忘れ去られたようでいて、日本人の心の奥底、社会の根底には戦争の影響が色濃く残されていたのではないだろうか。
スポコン漫画の根性論や一生懸命に生きることは、今ではややもすると時代錯誤と馬鹿にされがちだが、私は親がいなくても必死で生きる気合の漫画を見て育つことができてよかったと思う。辛い時に踏ん張る力をもらえたような気がする。
昭和の漫画よ、ありがとう。




