先にある事実と今ある不思議
私はふと、『王子セドリックと平民イレーヌの恋』…の大筋を思い出す
平民として普通に暮らしていたヒロイン、イレーヌは実は貴族の隠し子で急に豪華な家で暮らす…そんなところから始まる
右も左もわからなくてドジをしてはほかの貴族からイジメられていた
その貴族の頂点に立っていたのがシャルロット……
あと守る王子
シャルロットがイレーヌをイジメていたのは
元平民だから……そして、最大の理由は婚約者を奪ったから
まあそれはよくある話……
で、今私がなぜこんなことを思い出したか
それは!!
シャルロットの未来について!
物語の中でシャルロットは死ぬ……と言うか命を絶つ
作中ではとてもプライドが高く自分の身分が剥奪されると知り自らの首を斬った…
だけど……
この短時間ではハッキリと言えない……けど、
「どうしたの?」
柔らかい表情……
真っ先に自害するように思えない
私に利用価値が!?とかも思ったけれど…私には無いな!!
プライドが高くてお堅いイメージの身分大事お嬢様……が
まさか、下っ端令嬢に優しく微笑む上に
淑女に不人気なファンタジーのましてや白魔術師様推しかぁ
「これはなかなか」
悩ましい…
「……???」
……やべっ口に出てた
うー、とりあえず…
「わ、私……剣士様が……好きです」
シャルロットの目が今までに無いくらい輝く
「……っ!〜っっ!……ふぅ…」
何か言いたげに悶えていたが急に落ち着く
「アネットさんはなぜこの本を読むようになったんですの?」
シャルロットはどこから出したのか古びた分厚い本を持っている
「…兄が本好きな私に子どもに人気だから…という理由で買ってきてくれたんです…本人は間違えたから返すと言っていたんですが…私はプレゼントが嬉しくて…それに読んでみるととても面白くて……」
「優しいお兄様なのね…」
少しだけ悲しそうな顔になる
「あ、シャルロット様は……」
「様なんて付けないでください」
「う、ではシャルロットさん……貴女はどうしてこの本を?」
「とある人から貰ったの」
とある人?……誰のことだろう
「私の初恋……誰だか分からないけれど」
まるで…この本に出てくる妖精の様だった……
「な、なんて…恥ずかしい事を話してしまったわ…」
顔を紅くしながら本をぎゅっと握る
妖精…か
「素敵な方だったんですね」
悪役令嬢に初恋の相手がいたなんて…
って王子セドリックの事か
「また、会えたらいいのだけど……」
……ん?この感じ……王子が初恋相手では無いの…?
話違くね??
初恋相手も気になるけど…シャルロットがイレーヌをいじめる最大の理由が無くなってない?
この時にはもうセドリックとの婚約は決まっていたはず…
セドリックのことを愛していないなら
なぜ イレーヌをいじめるの?
これから感情が変わる……のかな?