噂の彼女
「オータムさん、マークという人と付き合ってるんですって!」
「そうそう!マークって以前患者だったらしいわよ!」
弟子の女の子たちは集まって噂話していた。
そこに、診療所一の情報通の助手であるリースがやって来た。
「ちょっとあなたたち!…私抜きでそんな楽しい話しないでよーー!何から知りたい?何からしりたい?」
「マークとは今どこまで進んでるんですか?」
「うーーーんとねぇ、まだ1,2回しか遊んでないらしいよ!」
「ふーん。オータムさん奥手っぽいもんねぇ…」
「はい。」
弟子のひとりの女の子は手を挙げた。
「はい!そこのあなた!」
「マークさんてどんな人なんですか?」
「それが、もともと凄いお金持ちらしいのよ!!どのくらいかはわからないけど…ね!」
「えーー!オータムさん逆タマじゃないですか!!」
「出会いのきっかけは何なんですか?」
「マークは2年前この診療所に運ばれてきたの。ひどい怪我でねぇ…ジーク先生の魔法でも完治するのに2か月以上かかったの。そこで、オータムが献身的な介護をしたってわけ。」
「すごーい!すごーーい!!」
「オータムさんはマークの事はどう思ってるんですか?」
「さぁねぇ…付き合ってるってことは嫌いじゃないんだろうけど…ねぇ!オータムは色々あるし…ねぇ!」
「いろいろ!?いろいろってっどういうことですか?」
「それがねぇ…昔ロス先生となんかあったらしいのよ!!」
「えーー!そーいえばロス先生とオータムさんてあんまり話さないような気もする…」
「でしょでしょ!!それでねぇ…」
「…何をしてるのかしら?」
リースが顔を上げるとオータムが作り笑顔で立っていた。
弟子の女の子たちはわれ関せず顔で下を向いて、リースはびっくりして声がでなかった。
オータムはため息をつき、言った。
「あなたたち…もう授業の時間でしょ!ジーク先生が待ってるわよ。あなたたちの成長が患者の命を左右するのを覚えておきなさい。…そしてリース!」
「は、はい!!」
「噂話もいいけど、仕事をやる時はきちんとやりなさい!もう休憩時間はとっくに過ぎているでしょう!?」
「はい!すいません!!」
リースは逃げるように走り去っていった。
「まったく…」
「よく激怒しなかったもんだね。オータムも丸くなったもんだね。」
オータムが振り向くとロスが前にいた。
「噂話ぐらいさせてやってもいいでしょ…まあ私の話だったからかなり腹が立ったけどね。」
「…マークと付き合ってるんだって?」
「うん…まあね。」
「そっか…どう?」
「うん…いい人よ。私にはもったいないぐらい…」
「…俺はオータムは誰とも付き合わないって思ってた。」
「…今は好きじゃなくてもいつかは好きになれる…そんなこともあるのかなと思って。」
「でどうだった?好きになれたの?」
「…」