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Another Elements  作者: 翡翠 律
ー新緑の瞳の王-
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9.行くべき場所

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!すごく励みになります!


「私はあんたを認めないわ。光の精霊王って言ったって器の力を半分も受け継いでいないじゃない」


 プンプンと怒りながら白いモモ...聖獣は目の前のクッキーをもぐもぐと食べ出した。ハムスターのような頬袋はないのか、詰め込みすぎて小さな口からポロポロとこぼれ落ちている。


「あら、これ美味しいわね。もぐもぐ。だいたい、光の下級精霊すらあんたの周りにいないじゃない。そんなんじゃ、もぐもぐ、光の宮殿にさえいれてもらえないわ!もぐもぐ」


 小さな口は許容量の限界なのに、ひたすら小さな手でクッキーをポリポリしてるその姿...

「か...」

「な、なによ」

「可愛い...」

「は?」

 もう我慢の限界だった。



◇◇◇◇◇



「ちょっ、やめなさい!私を誰だと思ってるのー!!」逃げようとするラタをひたすらなでまくり、もふを堪能してる私に「すぐに仲良くなれてよかったよ」とバラガが微笑んでいたのが寸刻前。


 いま私とバラガは馬車乗り場に向かって歩いていた。

 乗り場に向かう通りには、沢山の露店が並び、冒険者向けの武器が並ぶ店、地図を売る店や旅人の服を売る店などで賑わっていた。

 私達が向かう乗り場は王都の西側にある駅馬車乗り場だ。


 チケットを買ったときにもらった羊皮紙の地図を覗き込む。

 王都の西側には草原地帯が広がり、そのさらに先に大きな深い森が広がっていた。

 『精霊の森』

 その森こそが森の精霊王であるバラガが守護する森。私達は駅馬車でそこに向かうことになっていた。


 先程別れたラタはすでに『精霊の森』に向かっている。屋根から屋根、木から木へと飛び移る様はさすがモモ...森の聖獣だった。

 

「ほんとは真西に進む駅馬車に乗って最短で行きたいところだけど、西北周りの駅馬車に乗ろうと思う。」


 なぜ最短で行けないかというと、私が結界を壊した際にバラガも精霊の力を使ってしまったため、私の近くに森の精霊王である彼がいることがバレてしまっている可能性が高いからだ。

 光の精霊王の力を狙う他の精霊王達が先回りして彼の森の近くまで来ているかもしれない、とバラガが言う。


 精霊の森の中心にあるバラガの居住区域に入れるのは、森の精霊王が入ることを認めた者のみ。そこまでたどり着ければ他の精霊王は近づくことができない。


 光の精霊王の居住区域はあるの?あるならばそこに行けばいいのでは?と私が聞けば、彼は複雑な顔をして「あるにはあるが、多分今の君では入ることができない」と意味深な言葉を返してきた。


 (私が器の力をちゃんと受け継げてないことに関係するのかなぁ。)


 歩きながらふと近くの露店を見ると、キラキラした石が並ぶ店がある。

 赤、青、白、黄色...色とりどりの原色の石は美しい光を放っていた。


「お嬢ちゃん達は旅人かい?うちの魔法石はそこらの魔法石とは違うよ。有名な魔法使いの子孫が魔力を込めた逸品さ。旅のお供におひとつどうだい?」

 私の視線に気づいた店のおじさんがにこやかに話しかけてくる。


「魔法石?」

 私は自分の服のポケットに入っている自分の石を服の上からギュッと掴む。

 その動作に気づいた隣にいたバラガがふふっと笑った。

「魔法石はたしかに精霊石と似ているけどね。オパールの持っているその精霊石には到底かなわない代物さ。魔法石は人間が作り出した魔道具のひとつなんだ。」

 周りに聞こえないよう小さな声でバラガは説明した。


「魔法石は魔力に耐えうる石に後天的に魔力をためこんだものや魔法をとじこめたものだ。

 精霊石は『器』から魔力を引き出す精霊の力の放出源さ。魔法石はこの世に五万とあるけど、精霊石はこの世に唯一無二のものだよ。」


 そういえばあの超絶美形お姉さんもとい先代の精霊王もこの石はとても大切なものだから誰にも渡してはならないって言ってたよね。


 なるほど、と納得した私にバラガは頷くとキラキラした赤い魔法石に手をのばした。

「でも魔法石はちょうど良いかもしれないね。いま僕たちは自分達の精霊魔法を使うと居場所がばれてしまう。駅馬車に乗る際の身の安全のために人間の作った魔法石を携えておくのも良い選択かも。」


 バラガが魔法石に興味を示したのを見て上機嫌になった店のおじさんは、さっそく魔法石を手際よくトレイにのせて石の説明をしてくれた。

「濃い赤い石は火炎魔法さ。魔力レベルは石の裏に彫った数字を見てくれ。オレンジは火球だ。水色に筋がはいったものはウォーターウォール、水の壁を作り出す魔法が込められているよ。」


 どれにするかい?と聞かれた私は陳列された石達の横にある箱に気づいた。

「あぁ、それは魔法石にする前の石さ。自分で魔法や魔力を込めることができるよ。お嬢ちゃんは魔力持ちかな?」

 おじさんが傾けてくれた箱には綺麗な宝石のような石が沢山入っている。

 キラキラ光る石達をいくつか買った私達は再び駅馬車乗り場へと足を向けたのだった。

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