マーリスの話
「なかなか快適な生活をしてるみたいだね。」
「基本的には平和だからね、魔獣騒動はレアなケースだったみたい。それで大事な話って?」
僕はマーリスに聞いた。
「まず、魔族の活動の件だけどやっぱりクーデターを計画していたみたいだ。でも、失敗に終わってる。とりあえず魔族との関係は変わらない。」
「そっか、それは安心した。そのクーデターの首謀者は?」
「それが魔王の長男だったみたいだね、まぁ失敗して魔王に処刑されたみたいだけど。父上宛に丁寧な詫び状が届いたよ。」
魔王って律儀な所あるよね、こっちは関係ないのに。
「更に言うと此処で起こった例の魔獣騒動の件、魔族側にも伝わってね、魔族側でも調査をしているみたい。」
「へ? なんで?」
魔獣と言うのは言ってみれば野生の動物だから何処に出没してもおかしくは無いはず。
「それがね、わざと放った可能性があるんだよ。どうも魔族側に協力者がいたみたいなんだよね。」
「えっ!? でもそれって、協定に違反してるんじゃないか?」
魔族側と休戦協定を結んだ時に『必要以上に干渉をしない。』と取り決めたはずだ。
「そうなんだけど……、何を基準にすればいいか、とか曖昧にしてきた所もあるからそこは反省しなきゃいけない所なんだけど……。そこについても再度話し合いもしなきゃいけない、と父上と相談している。」
やっぱり明確なボーダーラインて必要だよな。
「で、次はミーナちゃんの件、このクーデターの時に魔王の末っ子が誘拐されたらしい。」
「それがミーナ、て言う事か?」
「可能性は高い、と思う。ただ名前がわからないんだ。」
ミーナは名前は無い、と言ってた。
魔王は自分の子供達に名前を付けないんだろうか?
「魔王はそれを知って精神的に弱っているらしい。どうも、その末っ子が次期魔王候補らしい。そうなると情報を規制していた、とも考えられる。まぁ、自分が産んだ我が子を大事にしない親は基本的にいないよ。」
「……ちょっと待って。魔王が産んだの?」
「そうだよ、言ってなかった? 魔王て女性らしいよ。滅多な事で姿は見せないけど父上曰く『かなりの美人でナイスバディ』だ、って鼻の下を長くして言っていたね。その後、母上にシバかれていたけど。」
まじかっ!?
「だから、ミーナちゃんも将来そうなる可能性が高い、て言う事。今のうちに気を付けた方が良いよ。」
「いや、僕は親バカじゃないんだから……。」