幕間 とある魔族の会話
本日も幕間、ほぼ会話です。
「聞いたか? 魔王様の長男がクーデター未遂を起こして魔王様に粛清されたらしい。」
「またか……、前は次男がやらかしたんだよな。」
「あぁ、今の魔王様のやり方に不満を持っている輩は多いからな。」
「『人族を襲い恐怖に陥れる事こそ魔族の美学』と考えている奴は多いからな。」
「あぁ、でも今の魔王様はその風習を否定したんだ。『人族との争いは憎しみを生むだけでお互いに得は無い。新しい関係性を作る時代が来ているのだ』と宣言したんだよな。」
「俺はしびれたね。正直辟易していたんだ。」
「ただ、誤解されやすいんだけど魔王様は決して弱い訳では無いんだよな。今回のクーデター未遂だって秒で沈めたらしいからな。」
「まぁ、今回はちょっと事情が違うんだよ。」
「何か知ってるのか?」
「噂によると魔王様が溺愛している末っ子の****様を誘拐、何処かに捨ててしまったらしい。」
「まじかっ!?」
「長男様は『人族が誘拐した』と言って攻め込む理由を作って更に自分に指揮権を譲渡する様に迫るつもりだったらしいが……、そもそも人族が魔王城に来る事自体不可能だし****様の事を知っているのは身内しかいない。極秘中の極秘だからな。」
「次期魔王候補、だっけ?」
「そう、だからこそ魔王様の怒りと落胆ぶりは凄まじかったらしい。行方不明になって暫く経つが未だ足取りはわからないらしい。」
「人族に拾われたなら良い人に拾われている、といいな。」
「……隊長、魔族の会話を盗聴していたらこんな会話が。」
「この末っ子ていうのは、もしかして……。」
「まさかぁ、あのミーナちゃんが……。」
「まぁ、静観だな。ところで他の奴らは?」
「ロイから手紙が来て、更にミーナちゃんからも手紙が来て狂喜乱舞しています。」
砦では相変わらずミーナ人気は高かった。