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#47

 他のグループは散らばっていたため、それなりに時間はかかったが、無事に見つかった。

 その中にはなぜか、元々参加していなかった者もいたが、アグリは集まった全員に状況を説明し、すぐにミドリの元へ戻ることにした。


 先程ミドリと別れた踊り場へ着くと、そこにはもうミドリはいなかった。

 ミドリが残した言葉を参考に、目を凝らしてみても何も見えない。


「階を間違えてるとかない?」

「じゃあ、見てくるわ」


 鏡といえば。

 全員が踊り場から上の階に上がっていくのを後目に、アグリはある仮説を立て、それを実行するための準備を始めた。


 カバンを漁り、見つけ出したポーチから取り出したのは、折り畳み式の手鏡だった。

 鏡といえば、合わせ鏡にまつわる話はいくつもある。

 アグリはそれを試してみようと、手鏡を床に置き、鏡の間に挟まるように立ってみた。




 その結果、一応は成功した。

 鏡に一瞬だけ誰かの姿が映ったのだ。

 直後、ひとりでに倒れてしまったが、見えなくても、ここにいることはわかった。


 こちらを凝視していたキミに話し、他の人たちも呼んだ。

 しかし、そのときに自分も踊り場から出られなくなり、キミ以外には認識されなくなったことを知った。


 元々設置されていた鏡を見ると、本来映るはずのものの他に、ミドリと見知らぬ少女が映っていた。

 何と言っているのかはわからないが、ミドリは何やら文字の書かれた紙を持っていた。

 反転しているため読みづらいが、これが手掛かりになるのなら、とその文章を読んでみた。


『八神さん、みなさんに私たちがここにいることを伝えてください』


 他の人には認識されないため、キミにこのことを伝え、どうにか説明することにした。




 まずは居場所を認識させ、それでもだめなら見た目の情報を渡し、どうにかアグリ自身は認識されるようになった。

 それをもって、踊り場に立っていた者はアグリたちと同じ状態になったが、ずっと認識され続けていたためか、少なくともここにいる者からは見えなくなることはなかった。


 それを見計らったかのようにミドリが倒れてしまった。

 どうにか伝えられた話によると、この状態にあるとシキサイの消耗が激しいのだという。


 早く対処しなければ危険な状況に、一同が動揺しているところへ、誰から連絡を受けたのか、アイカが到着した。


 まだ見える人たちが簡単に説明をすると、アイカは鏡の前に立ち、何やら呪文のような言葉を放った。

 そして、見えないはずの彼女の姉に鏡越しに語りかけ始めた。


「……姉さん。一言でいいから、声をかけてほしかった。

 何に苦しんでいるのか、本当のことはわからないけど、一緒にいたかった。

 言ってくれれば、そのためなら、なんだってするよ。

 いくら双子だからって、なんでもわかるわけじゃないってこと、知ってるだろ?」


 表情はよく見えないが、非常につらそうな声で語るので、自分までつらくなってきた。


「……一緒に帰ろうよ」


 最後に零れた言葉を拾ったユウカが紙に書いて見せる。


『そうだね。でも、出られないの』


 それを見たアカリが読み上げると、掴みかからんばかりの勢いで詰め寄った。


 もし、彼女からシミラが出てきてくれればわかるのだろうか。

 アグリは昨日の出来事を思い浮かべた。


 解決策のひとつも思い浮かばないので、全員がつらい顔をして、黙りこくってしまった。




 そこへ、見知らぬ女子生徒が通りがかった。

 ただの通行人だと思って道を開けると、特に上りきる様子も見せずに、帰るように促してきた。


 不信に思ったが、何かを察知しているようだったので、影響を受けていない者には離れてもらい、自分たちは様子をうかがった。


 離れられる全員が去るのを見届けると、彼女は踊り場に上がり、鏡に話しかけた。


「カガミさん、返してください」


 そう女子生徒が声をかけると、視界がぐるりと回った。

 気がつくと、いつの間にかこちらを向いていた少女が、目を大きく見開き、驚いた顔をしているのが見えた。


「このことは忘れてください」


 そう言い残して少女は去っていった。

 それはそうと、離れていた者を呼び戻し、事の顛末を話した。

 その間に、倒れていたミドリは、立ち上がれるだけの体力を取り戻していたので、ひとまず帰路に就くことにした。




 波乱の数時間をともに過ごした少女たちは、それぞれの家へつながる最寄り駅へと向かっていった。

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