これからよろしくね電球さん
「朝食の準備ができたわよ~みんな起きてきて~」
男性のアナウンスでびっくりして起きた。な…なに?!
そうして、跳ね起きた私。
「…そういえば、私、東京にひっこしてきたんだった…。」
なんだか、眠ったのにものすごく疲れてるかんじ…。
「何度起こしても起きないんだなお前。」
突然現れた豆電球がふわふわ私の目の前で浮かんで、喋りかけてきた。
「!!!きゃぁ…むぐっ」
驚きに叫ぼうとした瞬間、豆電球に口を塞がれた。
「おい!もうそのくだりは昨日しただろ?!昨日の今日で叫ぶと、お隣さんに頭のおかしいやつって思われちゃうぞ。」
そうだ、私は昨日、喋る電球がいるこの寮に引っ越してきたんだった!?
「豆電球…あなた、なんでここにいるの?!」
「豆電球じゃなくて、一菱豆太!豆太って呼んでくれよ。」
「豆太くん…。なんで、あなたは私の部屋に無断でいるの?」
「無断って…。そもそも、後から来たのはお前の方なんだからな!!オレのほうが先輩なんだぞ!!」
なにやらプンスカ怒りだした。弟もこんな怒り方してたっけなぁー。なんて、二度寝の睡魔が襲ってきて、思考もボケはじめたところで、
「はぁ〜。昨日言ってなかったっけ?オレはこの部屋も担当してる豆電球なんだよ。他にも色々持ち場あるけど、ようはこの部屋は俺の職場ってわけ!」
その言葉に、私はとてつもない衝撃をうけた。
「う…嘘…。やっと…やっと一人の部屋が持てると思ったのに、これじゃあ弟といた前の環境と一緒じゃない…」
「弟ってなんだよ!」
自分が小さいことを気にでもしているのか、ちょっと怒り気味で言い返してくる豆太くん。全然怖くない。
「おはよう。マキムラさん。二人とも楽しそうだね!」
今度は、おっとりとした低い声が玄関の方から聞こえる。中型電球のライトさんだ。
「マキムラじゃなくて、牧野です」
ムスッとした顔で、中型電球さんがいる玄関の方を向いて答える。
「え?あー。ニホンゴムズカシイデスネー。」
急に外国人訛りの日本語で答えるライトさん。
そんなことより、私にはプライベートというものはないのだろうか…。
「嘘付け!ライトさん俺より日本語も日本も詳しいくせによく言うぜ」
ライトさんは、オシャレな電球だから外国の輸入品だと思ったけど、豆太くんより日本語うまいらしい。
「この階で朝食にむかってないのは牧村だけだ。食いっぱぐれたくなければ行った方がいいと思うぞ。」
今度は蛍光灯の高峰ケイさんが、私の部屋の玄関の入り口に寄りかかりながら、バカに言い聞かせるような声色で言った。
ちなみに私は、まだ寝癖全開、パジャマである。電球と言っても男性にこんな姿をみられるなんて。
「ってえ?ここの寮の朝食って、食いっぱぐれるの?」
男性に寝癖全開、パジャマ姿をみられたことよりも、気になる言葉が勝った。
「「「・・・・・・なんというか…壮絶だ」」」
先ほどの軽快なトークをしていた3人?3個は一変して、重苦しい空気に変わった。
「おはよう!はなちゃん。いやー今日も凄まじい朝食だったわね~女ってすごいわね。さすが、ここのオーナー様が選んだ学生達だわ~☆」
シロちゃんは朝食の準備とか朝食の放送だとか色々朝の仕事があって、私より早起きだっていうのに、髪の毛もセットして、かわいいお姉さん(男)だった。
「お…おはようございます。はぁ…はぁ…いつもこんなかんじなんですか」
私は、はじめての朝食戦争息切れをおこし、ボロボロ。
朝食が終わった後、朝食のホールで一人、机につっぷしていたところ、朝食の道具の片付けをしているシロちゃんに話しかけられたのであった。
「大丈夫!すぐなれるわ!むしろ、この寮の卒業生は、この朝食戦争がなくて日々に張り合いがないって言っちゃうくらい、慣れれば愛おしいものなのよ〜。」
…くるってやがる。
女子寮だからって甘く見てた。あれ?女子寮ってもっとこう…百合の花とかが咲いてるんじゃなかったっけ?あはは。
この寮は食事付きで安い寮費である。私が、この寮に入館希望を出したのもそこが決めてだった。
ただ、この安さと立地の良さから寮の入館希望者は毎年後をたたず、この寮の入館には入館志願書を提出しなければいけなかった。その入館志望書の審査がネットで都市伝説となるくらい対策がとれないので有名。なぜ、対策がとれないかというと、この寮館の謎のオーナーが「こいつ面白そう」というので決めているからである。
そして、駄目押しにもういっちょ。この寮の謎オーナー…相当変わってる人らしい。
つまり何がいいたいかというと、この寮の女の子たちは…そんな人が選んだキャラクターが濃い人の集まりであるということ。そんな人たちが一つの部屋に集まって、なにかおこらないわけがなかった。
何がおこったかって?詳しくは思いだしたくない。想像におまかせする。
そんな感じで、壮絶な朝食戦争を体験した新入生の私は、朝食のホールの机でつっぷし、自分の部屋に帰るまでの気力を充電していた。
シロちゃんが、朝食の片付けとして毎日やっているのであろう、最後のテーブル拭きをしはじめた。
「そういえば、あなたの様子をみる担当の電球ちゃん。誰がいい?」
「?」
誰とは…どういうことなんだろう?
「最初の頃は環境も変わり分からないことだらけじゃない?普通ならそこまでしなくてもいいのだけれど、ここに集まってくる子たちって、独特じゃない?かなり危なっかしいのよ。本当は私がやってあげたいところだけど、ここの寮の運営私一人でやってて、なかなか手が回らないのよ。あの電球ちゃん達のこと見えない子にはきいてないんだけど、あなたは見えるから。ほら、相性ってあるじゃない?」
つまり、シロちゃんが言うことをまとめるとこうだ。
ここの寮の生徒達はこの電球3人が見守っているらしい。私は「場所によって担当が決まっていて見かけたら見守る」ということだけをしていると思っていたがそうではないらしい。そのほかに、1人1人に担当の電球がつく。そうすることによって、完全な守護になるらしい…。
そして、その独特な子の一員として、私ももれなく入っているということ。
…え。ちょっと待って。
独特な子の一員というのは、この寮に選ばれた決めてだからいいとして。
電球の担当が、守護という名の監視をしているということは…お風呂に入ってる時も、トイレに行ってる時もずっといっしょってこと?!!
「どうしたの?」
キョトンとするシロちゃん。
「お風呂とかトイレとか、ずっといっしょですか?!」
私の汗だくだくの顔をみたシロちゃんが吹き出す。
「違うわよ〜。そんなことだったら、相手に見えないって分かってても私が許さないわ!」
そうだ。このシロちゃんが許可をおろさないか。
「えーっと。なんだっけ?あっ!そうそう。彼らは電気だけじゃなくて体気を感じ取ることができるの。危険を感じると発せられる気?みたいで、だから自分の担当の子が危険におちいった時、勝手にわかるんだってさ。それで、かけつける仕組みみたいなのね」
電球とは…?
私のぽかーんという顔を見たシロちゃんは、
「考えちゃダメよ。世の中には考えたところで、分からないことなんていっぱいあるわ。なら、目の前の出来事をどう楽しむかよね!」
と、人懐っこいシロちゃんスマイルをくれた。
「そっかー。分かった!(分かってない)」
そもそも電球の妖精?おばけ?が見えることだって、理屈が通用しない。
何かの病気かもしれないけど、それを検査するだけのお金も時間も学生にはないもの!よく分からないけど、困ってないしね!
それなら、今を楽しもう!!
さて、どの電球にしようかな…。
「昨日の今日で選べって言われても、困るだろうから彼らと長い付き合いの私が、どんな雰囲気なのか教えてあげるわ」
シロちゃんは、私がまだ行き着いていない思考を予測できるらしい。さすがだ。
「蛍光灯のケイちゃん。彼いつもクールにみえるけど、心は熱いものをもってるわ。ちょっと口が悪いところもあるけど実は相手のことを心配して言ってたりすることが多いのよね。たまにぬけてるところが可愛いやつよ。」
「中型電球のライトちゃん。彼は、おっとり笑顔の紳士で私も好きよ。アメリカ生まれアメリカ育ちなんだけど、おっとりさん。でも、興味のあることになるとおべんになるわ。たくさん日本の勉強して日本で働くくらい、好きなものには一直線な気質をもってるわね。」
「豆電球の豆ちゃん。豆ちゃんって読んでるのは、彼、豆しばみたいでかわいいでしょ?だから、豆ちゃんって私は読んでるの。彼は、とっても素直なの。体が小さいからみんなよりたくさん努力してこの業界にはいってきたみたい。でも、そんなかわいらしさとは反対に性格は結構男らしいとこもあって、頼もしい子よ」
シロちゃんは、次々にあの3人の性格を言っていった。
シロちゃんの性格観察は本当にすごい。
そんなシロちゃんの入館当初からの、人間観察の能力のすごさに再び驚きつつも、その情報から私は誰にしようか考え始めた。
そうだな…。誰にしよう…。
「よし。決めた!」
「え?もう決めたの?!」
「はい!私は…」
(選択肢)
【蛍光灯の高峰ケイさん にする!】
【中型電球のライト・ワトソンさん にする!】
【豆電球の一菱豆太くん にする!】
「そう!その電球ちゃんにしたのね!わかったわ。私から彼に伝えておくわね。」
そう言って、シロちゃんは去っていった。
そうして、私と電球の不思議な日々が幕をあけた。
「電球カレシ」は乙女ゲームを作ろうとして、できなくなり小説として連載し始めたものなので、普通の小説とは異なり、ルート分岐が存在します。
よろしくお願いいたします。




