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第四十九話 出発ですわ!

「おはようございますクリスタロス様。こんな朝早くからすみません。ナギア王が早くお会いしたいのとことで」


 扉からでて少し歩いたところにジニアさんが待っており、頭を下げて挨拶の言葉をかけてくる。


「早く緊張から解かれるわけやし大丈夫ですよ。ですわ」


「そう言ってもらえると助かります。では早速こちらにお乗り下さい。‥お隣の方もどうぞ」


 そう言って馬車の扉を開けて、中へ案内をされた。


「じゃあ失礼します。ですわ」


 早速私とにゃあ吉は乗り込んだ。

 中は2人かけの椅子が向かい合う様に置かれており、定員は4名までの様だが、その数が乗っても余裕がありそうなほどの広さはある。


それに内装はシンプルだが高級感があり、椅子のクッションがとても柔らかく座り心地がいい。

 私たちがこの街に来るまでに使った馬車もいい物の様だが、こちらの方がランクは上の様だ。


「城までは数十分ほどかかります。私はもう一つの馬車を利用しますので、到着までお寛ぎ下さい」


 そう言ってジニアさんは馬車の扉を閉めた。


「中々な高待遇だな。客人とはいえ、馬車を一席貸し出し、これ程までの騎士たちを使わすとは」


「一体何でやろな。余計わからんくなってきたわ」


 (けどここまで良い扱いを受けてるってことは、本当に悪いことは起きないんちゃうか?)


 もし何かに利用しようとしていたり、悪い様にしようとしているのであればここまでする高待遇で出迎える必要はないだろう。

 それともこう言った考えにさせる為だろうか。


 (やっぱ考えすぎなんかなー)


 私は頭を悩ませる。


 少ししてから、馬車が動き出した。

 少し揺れながら、前へと進んでいる。


 窓から見える景色を見てみると、騎士たちは前や後ろに長く並んでおり、まるで大名行列のようになっていた。


 騎士たちの鎧が擦れる音や、綺麗に足並みが揃えられた足音が聞こえてくる。


 少し時間が経った後、私たちは緊張からか特に会話がなかったが、ふと発した私の言葉で会話が生まれた。


「あっそうや」


 私はあることを思い出して、そう言葉をこぼした。


「どうしたリア?」


「いや、朝ごはん食べてないなって思って」


「何だそんなことか。この状況で腹が減るとは、本当に食い意地が張っているな」


 にゃあ吉は呆れてため息を吐いた。


「逆ににゃあ吉はお腹減らへんの?昨日も全然食べてなかったやん」


「あれはリアが食べ過ぎなだけだ」


「そんなことないと思うで、にゃあ吉はあまりにも少食すぎると思う」


「いやそれこそないな。現に私の体重はここ数年維持を続けている。リアとは違うんだ」


「んん?それはどう言う意味?」


 私は眉間に皺を寄せて、にゃあ吉を睨みつける。


「いや最近、と言うよりもここ数年地道に体重を増やしているだろリア」


「それは成長期なだけやから!お肉が増えたとかではないから!」


 私は汗をかけ始める。


「いや‥この前の学園での事件の時も思ったが、確実に丸みを帯びていた」


「帯びてへんわ!言いがかりや!」


 私の目は泳ぎまくっているだろう。


「いや、このままだといずれ円形になってしまうのではとだな」


「ならへんわ!‥‥でも‥これからはちょっと食べる量減らそかな‥そう思って今日も朝食ぬいてん」


「そのバレる前提の嘘はなんだ」


 こんな下らない会話をしているうちに、気づけば城が目の前のところまで来ていた。


 大きな城と、それを囲むとても高い壁が見えてくる。


 するとコンコンと、窓を叩く音が聞こえた。


 私は窓を開けて、外を見てみるとそこには騎士が横並びでついてきていた。


「クリスタロス様。もうすぐで門を潜ります。そろそろご準備をお願いします」


 私は返事をする。


「もうすぐ着くみたいやで」


「あーその様だな。‥リア。私から離れるなよ」


 改めて私たちは気合を入れる。


 すると外から何か大きな軋む様な音が聞こえた。


 どうやら門が開いていくようだ。


 私の何倍もの大きさのある扉が、ゆっくりと騎士たちによって開けられていく。


 門が開ききると、騎士たちは横にはけていって整列し、中に入っていく馬車を見送っていた。


 そして門の中に入るといよいよ見えたのだ。


 とても美しい、私の一度は行ってみたかった場所。


 ナギア城だ。


 私は窓から身を乗り出して、その姿を目に焼き付ける。

 真っ白に塗られた壁が太陽の光を反射して輝いている様に見えて、とても綺麗だ。


 随分と前に建てられた様だが、古臭さは感じない。

 兎に角美しい。


「すごいなにゃあ吉!めっちゃ綺麗で!」


 私は体を中に戻して、にゃあ吉に城のことを伝えた。


 それに対してにゃあ吉は、全くと言っていいほど興味を示さなかった。


 けれどそんなにゃあ吉を見つめると、私とは違う少し変わった反応を見せていることに気づいた。


 何処か懐かしいものを見る様な、そんな少し寂しそうな顔を浮かべていた。

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