第四十話 作戦ですわ!
「それで、作戦と言ってもどうするつもりだ。現状を打破する策などない気がするが」
にゃあ吉は集まって早々そう言い出す。
「いや、あるとも。まぁ君じゃあ思いつかないだろうけどね」
ノットさんは少し小馬鹿にするようにして、にゃあ吉に言葉を返した。
「それで作戦だけどね。まず、にゃあ吉君が敵を引きつけて戦い続けてくれ」
にゃあ吉は動揺せずに話を聞いているが、私はそれを聞いて酷く動揺してしまう。
何と言っても、にゃあ吉はすでに限界が近づいているからだ。
「そう慌てないでくれよリア君。ほんの少しでいいんだ。その間、リア君に作戦を伝える」
「今ではいけないのか?」
「あーダメだとも。君がいる今じゃね」
私とにゃあ吉は首を傾げた。
それはどう言った意味なのだろうか。
そう思った矢先、先程まで聞こえていた鳴き声が止んでいるのに気づいた。
「すみませんお待たせしました‥って一応貴方たちの作戦を待ってあげている、ていでしたっけ」
そう言っている男の隣にいる女の子は飴玉をもらったらしく、それで泣き止んだようだった。
「それでは早速始めようと思うのですが、よろしいでしょうか」
男は中指を使いメガネの位置を整えてそういうと、他の敵たちも何処か戦闘体制といった構えなどを取り始める。
「ひとまず向かうが、もし作戦が何の効果も得られないと確信を得た場合。即刻私は先ほど言った作戦に取り掛かる」
それはきっと自分が身代わりになる作戦のことを言っているのだろう。
「やからそれは許さへんっていってるやろ」
「ふんっ。リアの我儘を聞いていられる余裕はない」
そう口にして、にゃあ吉は敵に向かって行く。
「お互いを思い合っているだけというのに、喧嘩になるなんて、微笑ましいね」
ノットさんはそうぼそっと呟いた。
「それでは、始めようか」
「えー。よろしくお願いします」
にゃあ吉と男が言葉を交わすと、早速戦いが始まった。
激しい音をたて、殴り、蹴り、魔法を使い、まるでアニメを見ているかのような光景が広がり初めていた。
「よし!では早速、作戦を説明するねリア君」
ノットさんはそういうと、こちらに来るよう手で合図を送ってくる。
私が近づくと、ノットさんは顔を私の耳に近づけて、話し出す。
それは作戦の内容だったのだが、私はその言葉を聞いて、顔を真っ赤にしてノットさんからはねのいた。
「な、何をふざけてるんですかノットさん!そそそ、そんな事できるわけないやろ!!ですわ!!」
「ははは。そう動揺するなリア君。別に冗談を言ったわけじゃないんだ」
ノットさんは説明を続ける。
「まだ一年生は習っていない事だけど、リア君は知っているだろ優秀だからね」
「何をですか?」
「魔法についてだよ。身体魔法を強化すれば力や速さが上がる。回復魔法を強化すれば生物のみならず、物体にまで回復を付与できるようになる。それじゃあリア君の使える使役魔法はどうだろうか?」
ノットさんはそう言った問題を出してきた。
「‥使役魔法を強化すれば、使役されている者の力を解放できる‥ですわ」
「正解!流石だねリア君。では魔法の強化方法はそれぞれ異なるけど、使役魔法はどうかな」
「使役魔法は、使役されているものとの絆、そして何かのきっかけ‥ですわ」
「またまた正解!‥つまりはそういう事だよ」
私はノットさんの質問に全て答え、それが今回の作戦のことを表していると理解させられる。
「確かに!理にかなっていますが!そんなこと‥」
私は作戦のことを考え酷く躊躇う。
「リア君。‥君はにゃあ吉君のこと、どう思ってるんだい?」
すると真剣な顔をして、ノットさんは再び質問をしてくる。
「‥どう思ってるって」
「大切じゃないのかい?」
「それは!‥もちろん大切ですけど」
そうだ。
その通りなのだ。
私はにゃあ吉が大切で、そのためなら自身の命すらも投げ打てるのだ。
今もなお、傷つき戦っているにゃあ吉にこの動揺は失礼だということは理解できる。
けれど‥
「恥ずかしいねん!!!」
私は大声を上げる。
そして心臓の位置に手を当ててゆっくりと呼吸を整える。
その後気合いを高めるため、自身の顔を引っ叩いた。
「ノットさん‥私やります。やってやります。‥それで絶対この危機を乗り越えてみせます。ですわ」
私は決意をノットさんに伝えて、力一杯拳を握る。
ノットさんは「いってらっしゃい」といつもの笑顔で声をかけてくれ、私は戦っているにゃあ吉に近づいていく。
それに気がついたにゃあ吉はこちらに駆け寄ってきた。
「なんだ。作戦のことか?どう言った内容だったんだ」
敵が迫ってきているのもあり、にゃあ吉は少し焦った様子で私に尋ねる。
「‥にゃあ吉。今からすることはにゃあ吉を助けるためであって、別に本気じゃないから」
「ん?何を言ってるんだリア。早くしてくれ」
「やから!本気じゃないと言っても‥その‥とにかく!にゃあ吉もその気になったらあかんから!」
「だから何を」
私は何度も一方的に念押しをして、にゃあ吉が喋っているのに関わらず、作戦を実行した。
それを目撃した敵たちは動揺し、立ち止まる。
それをされたにゃあ吉すらも固まり、少し静寂の時間が訪れた。
私は、にゃあ吉にキスをしたのだ。




