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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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エピローグ.動く山

三つ目のエピローグ。


 人間たちが魔の領域と呼ぶ魔物たちの支配する地。その魔王レティシアの支配領域から少し離れた場所に、巨大な山が聳え立っていた。ゴツゴツとした岩だらけのその山には、高位の魔物の影は一切ない。ここには、高位の魔物は立ち入れないのだ。

 それ故に、ここは弱き魔物たちの楽園だった。

 魔の領域の中にあって、魔物の平均ランクが異様に低い場所。それには、理由がある。

 高位の魔物が、ここを縄張りにしようと一歩でも山に踏み込めば、その瞬間、山がその魔物を呑み込むのだ。

 文字通り、呑み込んでしまう。そう、その山には確固たる意思があったのだ。

 山の名はミクスギガントゴーレム。その正体は超越種と言われる魔王と同格の力を持つAランクの魔物だった。ミクスギガントゴーレムが己のレベルを上げるため、不用意に近づいてきた高位の魔物を狩る故に、この山は弱き魔物たちの楽園足りえるのだ。

 ではなぜ、ミクスギガントゴーレムは、弱い魔物たちだけを狩らずにいるのか。そこには、ミクスギガントゴーレムの抱えるある欠点が理由としてあった。


 元々、ミクスギガントゴーレムは、素早く動ける魔物では無い。その為、自分から逃げていくような弱い魔物たちを大量に狩る事が出来ないのだ。多くを狩れないのであれば、幾ら弱い魔物など狙ってもミクスギガントゴーレムのレベル上げにはならない。何故なら、Aランクにまで至った今のミクスギガントゴーレムでは、弱すぎる魔物を幾ら倒したとしても、もはや殆どレベルを上げることが出来ないからだ。その為、ミクスギガントゴーレムは自分から逃げる弱い魔物を大量に狩るよりも、一見して弱い魔物ばかりの空白の縄張りを狙い、向こうからやってくる血気盛んな強い魔物を狩ることに重点を置いた。

 普段のミクスギガントゴーレムは山として大人しくしている。だが、そこを縄張りにしようと高位の魔物が近づいて来た時、その相手に襲い掛かり、打ち倒す。

 それが、この山の日常だった。


 しかし、そこにある時、変化が生まれる。山で生きていた魔物の中に、特殊な進化に至った魔物が現れたのだ。

 山に住む魔物たちは、そもそもミクスギガントゴーレムが獲物として物足りないと放置した魔物たちである。そんな魔物が進化をしたとしても、普通はミクスギガントゴーレムが興味を持つほどの力は得られない。実際、ミクスギガントゴーレムはその魔物が持つ力には、何の興味も示さなかった。それはそうだろう。所詮は、レベルも上げていないCランクの魔物だ。山の中ではそれなりに強い魔物であろうとも、ミクスギガントゴーレムにとって見れば大した違いは無い。

 ではなぜ、その魔物の進化によって、山に変化が生まれたのか?

 それは、ミクスギガントゴーレムがその魔物の角に興味を示したからだ。ある特殊な鉱石で形作られたその角は、鉱石を喰らうミクスギガントゴーレムの興味を強く引いた。もっと言えば、ミクスギガントゴーレムの本能がその角を欲していたのだ。


 その魔物の角を自らの内に取り込むことが出来れば、きっとミクスギガントゴーレムは更なる強さを手に出来る。


 ミクスギガントゴーレムには、そんな予感があったのだ。

 故にミクスギガントゴーレムは、己の身体に住まうその魔物へ襲い掛かった。本能に任せて、いつものように全力で。

 いつもの相手であれば、きっとそれは成功していただろう。敵が強大であろうとも自らがより強くなるため、血気盛んに挑んでくる高位の魔物たちであれば。しかし、その魔物は普段、ミクスギガントゴーレムが狩っている高位の魔物たちよりも遥かに弱い魔物だった。自身とミクスギガントゴーレムとの力の差が、絶望的なものであるとその瞬間、察してしまえるほどに。

 いくら魔物が本能的に戦いを求めているとはいえ、そこまで圧倒的な差があっては選択肢など逃げる一択だ。特に弱い魔物たちの楽園で、そこまでの強敵と出会わずに生きてきたその魔物にとっては余計に。

 そうして、その特殊な鉱石の角を持つ魔物は、一目散にミクスギガントゴーレムから逃げ出し、幾つかの幸運が重なったこともあり、なんとかミクスギガントゴーレムの魔の手から逃げ出すことに成功した。

 当然のことながら、ミクスギガントゴーレムは逃げていく獲物を追おうとしたが、その巨体では追いつくことは到底できない。

 そんなミクスギガントゴーレムに出来たのは、逃げていく獲物を前にして、ただその獲物の魔力を強く記憶することだけだった。



 そうして、どれだけの時間が経った頃だろう。ある日、ミクスギガントゴーレムは、あの日逃がした獲物の魔力を遠方で感じ取った。あの日からずっと、探していたその魔力を。

 逃がした時よりも数段は強い魔力だったが、それは確かにあの獲物の魔力だった。それを感じ取ったミクスギガントゴーレムは、その魔力を感じ取った場所に向けて、ゆっくりとその巨体を動かし、向かい始める。

 今度こそ、あの獲物を呑み込んで、あの特殊な鉱石を己が内へ取り込むために。



 ミクスギガントゴーレムは進む。

 その先にあるのは、人間たちの間で病魔の森と呼ばれる森。

 ミクスギガントゴーレムは、ダンジョンがあるその森の中心を目指して、ゆっくりと確実に進んでいく。








これにて第四章は終了です。

第五章も最後まで書き上げ次第、順次投稿していく予定です。

それまで、もう暫くお待ちください。

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― 新着の感想 ―
読んでいてハラハラする展開が多く、めちゃくちゃ面白かったです。五章も楽しみにしてます!
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