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⑰旅142日目、宮城へ帰還 (前編)


旅142日目

3月31日。

順調に行けばと話してましたが

自分の旅は順調ではありません。

山形でまた自転車が故障したので

ちょっとだけモタモタしています。

それでも宮城は目の前です。

山形から宮城の県境を走っていると、

ずっと待っていた宮城の標識が見えて

その隣に伊達政宗のデザイン。

この日の午前10時、

山形から宮城に入りました。

遂に宮城に到着しました。

やっぱり嬉しいものです。

故郷はいいものです。


県境の峠を自転車を押して登っている途中で、

被災地に救援物資を届ける

トラックの運転手の方に

「乗って下さい」

と声を掛けていただきました。

おそらく自転車に積んである

テントやら寝袋やらを見て、

自分が被災地に行く

ボランティアの人間に見えたんだと思います。

申し訳ないのですが、自分は旅人であることを

説明して理解してもらいました。

なんだかすいません。

このような時に……。

お気持ちありがたいです。

被災地へ駆けつけていただき

本当にありがとうございます。

このようにボランティアの方々の姿が

宮城に入ってからたくさん見えます。

感謝すると同時に宮城が

被災地になってしまったんだと痛感しました。


峠を越えて仙台に向かって走っていると、

なぜか車両がたくさん並んでいるのが見えます。

どうやらガソリンスタンドに

並ぶ車両みたいです。

ガソリンを求めて車両が並ぶなんて、

自分ははじめての光景かもしれません。

昼過ぎに仙台に着いたのですが、

今度は街中の自転車の多さに驚きました。

震災前と比べて、こんなに多く

自転車に乗っている人はいなかったはずです。

公共の交通機関の震災による影響が

関係しているんだと思います。

街中の雰囲気もどこか静かで、

全てに張り詰めた空気が

覆っているように感じました。


13時に元の職場に到着。

事前に挨拶に伺いますと伝えていたので

職場の皆さんが待っていてくれました。

「よく帰ってきたな」

第一声はこの言葉だったと思います。

嬉しいです。

仙台に近づいてくると、

応援してくれた仲間に会いたいという気持ちが

強くなってきてました。

自分は意外と寂しかったのかもしれません。

皆さん本当にありがとうございました。

ここまでやれたのは

応援してくれる人がいるからです。

感謝しかないんです。

言葉足りずに

「ありがとうございました」

とお礼を伝える事しかできません。

こんな自分の背中を押してくれたのは、

皆さんがいつも見守っていてくれたから。

ありがとうございました。


仲間からは震災時の出来事を教えられ、

現場の大変さがわかりました。

職場はビルになっているのですが、

震災の当日、

帰ることが難しい一般の方々を

1階のエントランスに受け入れたそうです。

職場は数日間泊まり込んでの対応になり、

力を合わせて皆で乗りきったとのこと。

会社では全国の支社から、たくさんの支援物資や

応援をいただいて助かったと話していました。

この職場で上司だった方、

あの愛媛でチオビタをくれた女性のお兄さんから

「これから震災の現場を見ても落ち込むなよ」

そう言われたのが強く心に残りました。


震災からまだ1ヶ月も経過していない

大変な時ですが、職場の方々は

自分の顔を見にきてくれました。

嬉しい気持ちはたくさんありましたが、

なんだか素直に喜んでいいのか

ちょっとわからないところもありました。

震災で皆が大変な時に

自分は日本一周をしていたという

複雑な気持ちがありますから……。

震災がもし無かったら

仲間と遠慮せずに

喜べたのかなと考えたりします。

それでもそんな気持ちは

被災された方々に対して

失礼にあたるのかもしれないと思ったり。

とにかく素直には喜べませんでした。


仲間は仕事中ということもあって、

そろそろ家に向けて出発しようとすると、

仲間から支援物資を渡されました。

「家の人に持っていきなさい」

仲間は優しい人達なんです。

本当にありがとうございます。

仲間に感謝を伝えて家族の元へ出発。

いよいよ家に帰ります。


旅142日目の後編はまた次回です。

よろしくお願いいたします。



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