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13/22

⑬旅133日目


旅133日目。

稚内を走っています。

本土最北端、宗谷岬までもう少しです。

宗谷岬までの道は凍っていて

アイスバーンになっており、

何度か転倒しながらも北へ北へ走ります。


途中で除雪車にすれ違いまして、

車内から作業員の方が自分を見て驚いています。

この時期に自転車旅ですから驚くことでしょう。

自分が手を振って挨拶すると、

車内からも作業員の方が

笑顔で手を振って応えてくれます。

こういうのが嬉しくて頑張る力になるのです。

皆さんありがとうございます。


冬の北海道は、吹雪になったり

すぐに青空になったりと

顔色がコロコロ変わります。

それでいいのです。

吹雪だろうが青空だろうが残すは北だけなんです。

とにかく北へ走るしかない。


途中で立ち寄ったコンビニで、

ちょっとだけ怖い感じの男性に

自転車でどこまで行くのか聞かれたので、

自分は北へ行きますと答えると

「風がすごいぞ。本当にすごいからな!」

と忠告されました。

ちょっと不安になりましたが、

今までもいくつも困難は乗り越えてきたんです。

やれないことはない。

きっと大丈夫だと思います。

男性も怖がらせる意味はなく、

気を付けろという意味で

言ってくれたんだと解釈しました。

これがあの男性の優しさなんだと。

だから気を付けながら走ります。

そして男性の忠告通り風は強いのです。

若干吹き飛ばされそうなほど強い。

それでも前に進みます。

美幌峠に比べたらまだマシですから。


東西南北の最後は北の端。

徐々に近づきます。

吹雪、アイスバーン、強風と続いているので

少し身体が疲れてきましたが、

目指す宗谷岬はもうすぐです。

冬の北海道の天気は

変わりやすいのは承知の上でしたが、

ここで青空が顔をのぞかせてくれました。

このタイミングで

宗谷岬到達となれば完璧なんですが、

そう簡単にはいきません。

青空はまたすぐに雲に覆われそうな雰囲気。

可能ならば青空のままでお願いしたい。

スピードを上げたいのですが、

ここまでの疲労もあって

なかなか上手くいかないのです。

結果的に、雲に覆われ青空が消えかかる間際に

宗谷岬に到達しました。

これがタイミング的に良いのか

どうかわかりませんが、

遂に本土最北端、宗谷岬に着きました。


南の端から北の端まで

自転車で走ったことになります。

この自転車で、この装備で

東西南北制覇しました。

やればできるんです。

宗谷岬には幸せそうな若いカップルがいまして、

写真を撮ってくださいと頼まれましたので

旅人はカメラマンになりました。

我ながらうまく撮れたと思います。

それにしても幸せそうな二人でした。

おそらくホコリっぽいであろう

自分の姿とは大違いです。

けれど、自分の姿はこれでいいのです。

これで日本全国を走ってきたんですから、

これでいいのです。


この宗谷岬で東西南北を制覇。

この時は本当に嬉しく

達成感は今までで一番でした。

やっぱり旅人は北が似合うのかもしれません。

あとは帰るだけです。

無事に家族のもとに帰るだけ。

苫小牧を目指して南下します。


しかし、この震災によって

苫小牧から仙台のフェリーが

ストップしていると情報が入りました。

まだ詳しくわかりませんが、

とにかく南下して苫小牧をとりあえず目指します。

もうあとは帰るだけです。

これが東西南北を制覇した

旅133日目の話です。


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