最終回 境界無き世界 side AB
最終回です
真っ赤な空がどこまでも続いていた。
「どういうつもりだ!」
「何で人間界を閉じた!」
「自分が何をしたのか分かっているのか!」
多くの魔族が蒼汰に言葉をぶつける。
蒼汰「…黙れ。」
「うっ…」
魔族が蒼汰の圧に黙ることしかできなかった。
蒼汰「俺が魔王だ。俺の指示に従え、魔族ども。」
新たな魔王の誕生に皆、納得することしかできなかった。
*
魔界は酷く荒んでいた。
蒼汰「…」
深くため息を吐く。
「ねぇ」
蒼汰「ん?」
そこにいたのは1つ目の魔族の子供だった。
「何が起こったの?」
蒼汰「…」
蒼汰はしゃがみその子に視線を合わせる。
蒼汰「戦争が終わったんだよ。」
優しく微笑み、魔族の頭を撫でる。
「ほ、本当に?もう、平和なの?」
蒼汰「…ああ。もう平和だよ。」
まだまだ課題は山積みだ。
でも魔王になったんだ。
何とかしないとな。
見ててくれ、兄さん、母さん、父さん。
蒼汰は空を見上げる。真っ赤な空は意外にも綺麗に見えた。
*
帰りのボートは穏やかな波に揺らされ簡単に扱うことが出来た。
リム「もう、動けません…」
レギス「ごめんな、沢山魔力を使わせて。」
リム「本当ですよ!これじゃあ当分は魔法を使えませんよ。」
穏やかな波の音が二人を包む。
リム「帰ったら、どうするんですか?」
レギス「…まずは両親に戦争が終わったことを伝えるよ。その後は、まぁ何だろうな。課題は山積みだから、少しずつ解決していこうかな。」
見えてきた陸には多くの兵士が手を振っている。
全員戦争の終わりを理解しているようだった。
*
バウンド「…そうか。」
会議室にレギスとリムは来ていた。
マージ「…。」
ベクト「…。」
全員がバウンドの言葉を待っているようだった。
レギス「…勝手な行動だったことは反省しています。でも、俺が動かないと戦争は終わりませんでした。」
バウンド「…。」
リム「レギスを部屋から逃がしたのは私です。責任の所在は私にあるかと。」
黙るバウンドを見かねたのか、後ろからベクトが声を上げる。
ベクト「いや、魔王討伐をたきつけたのは俺だ。責任は俺に。」
バウンド「あーいや、どちらも責めるつもりは無いし、罰を与える気も無い。」
ベクト「…っふ。そうか。」
会議室の窓から光が差し込む。
バウンド「よくやったな、2人とも。」
レギス「!父さん!」
ベクト「良くやったな!レギス!新たな英雄の誕生だ!」
ベクトは左手でレギスの肩を組む。
マージ「本当、よく頑張ったわ。」
マージはそっとリムの頭を撫でた。
バウンド「戦争は終わったが、まだまだ課題は山積みだ。これからも頑張ってくれるか?」
父の目にもう憎しみは無かった。
レギス、リム「「はい!」」
*
~500年後~
青い空が広がる世界。
科学は発展し、魔力と共存している。
便利な世の中において、あの頃の勇者と魔王は教科書の中の話になっていた。
「まってよー兄ちゃん!」
「お前が遅いんだよー」
公園では元気に走る子供たちの姿があった。
全員が望んだ平和な世界がそこには広がっていた。
『ピシッ』
「ん?」
「どうしたんだ?遅れるぞ?」
「あ、待ってよ~!」
空は夕陽で赤く染まっていた。
本作を読んでいただきありがとうございます。
3話sideBを書きたくて考えた作品です。1週間ぐらいで考えたものなので、矛盾点や納得いかない点もあったかと思いますが、読んでくださった読者には感謝しかありません。
本当はバウンドやベクトの過去編を入れたかったんですが、タイミングがありませんでした。
やる気があればいつか書こうと思います。
明日からカクヨムに投稿した「Lapidary」というギャンブル物の作品を投稿します。もし興味があったらそっちも読んでいただけると幸いです。




