100 ダンジョン攻略、開始!
「じゃあ、打ち合わせ通りに行こう」
狭い入り口を通るため、一列に並んでいたけど少し広い通路になったので前方に飛華、その少し後ろの3つ子、後方に双子という布陣を取る。
「この辺は地下一階層ね。低品質素材の中でも質が悪いものだからスルーでいいかしら?」
はーい。
というわけで、草原っぽいエリアの通り抜ける。
低階層はまだ魔物とかもいなくて、素材も低品質でどこにでもあるもの。だけど、量が半端じゃないけどね。授業で使う素材はこの辺りでも取れるだろうけど、魔法に対する耐久値はあまり高くないから、ある程度階層を進めて行ったほうがいい。
5階層で授業用の素材とその予備を取るともう後は次のエリアまで行くだけだ。……だけど、それが簡単じゃないわけで。
7階層。草原から森っぽい感じになっている。大きな魔法を使うと周りをぶっ壊しちゃうけど……まぁ、ダンジョンだし、別にいいよね? というか、もうやっちゃった後だし。
大きな地響きとともに、目の前の獣? が倒れ伏す。多分、獣。魔物ほど強くないから。
「ふぅ。1発完了」
「浄化」
風華のその一言で返り血がなくなり、さっぱりとする。
「やっぱり6階層からはラクじゃないね〜」
「いくら回避していても、流石に高ランクの魔物は狩らないわけにはいかないもんね」
そうですね。危険なものを先に駆除させるために私たちが投入されたので。
だけど、飛華達が去年までの経験と情報をもとに対策を考えてくれたおかげでかなり効率がいい。
「多分、8階層からは魔物が入り混じるわ。まだ下級だけど。獣よりは強いから小さくても油断しないで」
小さくても要注意、っと。
ちっちゃいのはスルーして大きなは、逃げられなさそうなら戦う。倒す。進む。を、繰り返して。
「さて、地下11階層に到着しました〜」
さっきまでの森と風景とはガラリと変わり、今度は海の風景が広がっている。
「一旦休憩する? 風華」
「美華、私もそうしたい。……飛華、いい?」
「……そうね。ここまでかなりのハイスピードだったし、一回休憩する?」
そうしましょう。
15階層からは飛華も行ったことないし、できるだけ安全地帯で休むのが得策だ。まぁ、ダンジョン内で呑気に休憩しているのは異常だけど。だけど、陽華が結界、張ってくれているからねぇ。
一旦、10階層に戻って休憩を取る。
「いつ帰ればいいんだっけ〜?」
「ダンジョン攻略は約1日。帰る時になったら先生達が魔法で強制帰還させるんだよ、陽華ちゃん」
え、強制送還されるの?
やっと魔物が狩り終わって、素材を取るぞ〜っていう時に強制帰還させられたら辛すぎでしょ。
「だから、出来るだけ自力で帰ってくることを推奨されているんだけど。ね、美華」
「うん、風華。……せっかく送ってくれるっていうんだもんね、先生達」
あぁ……そういう魂胆でしたか。進むだけギリギリ進んで、勝手に帰らせてくれる。帰るのには行きよりも時間がかかる。だから、本来の2倍の時間、先へ進めるということだ。
……さすが双子。策士だな。
「流石にずっと突っ切るって訳にはいかないし危険度も上がるから、どこまでいけるかは分からないけど、ね」
飛華がすっごいまともなことを言っている……。
「そろそろ進もっか。結構休憩したし」
その言葉で私達は立ち上がる。
「あ、じゃあ回復魔法、かけとこうか?」
「……ありがたいけど、風華ちゃんは……」
「大丈夫。美華に手伝わせるから」
「え!? 私、巻き込まれるの!?」
……美華、ファイト。
「誰か1人でもダウンしたら大きな損失になるんだから。今の所、私はそんなに魔力、使ってないから。これくらい、仕事をさせて」
「……風華……」
なんか、すごく感動させるような雰囲気です……。
「よし、そこまで風華が言うなら、過労死になる程働かせてあげよう」
「え、なんでそうなるの、美華!?」
あ〜、うん。いつも通りだった。
双子は安定ですね。
「とにかく、美華は支援してね!」
「りょ〜かい」
結論はここですか……。
「行くよ。……回復「支援」」
わぁお。タイミングバッチリ。そして効果も高い〜。
「それじゃあ、頑張るよ〜!」
「「「「「イエス、飛華〜!」」」」」
やった。揃ったね。
「なんなの、イエス飛華って!?」
飛華に対する肯定?
**
「わ〜、鳥だ〜」
先に進めば、見渡す限りの水平線。水面が続いていて、水深は深そうだから、魔法で水の上を歩くことになるだろう。
上を見上げれば、鳥が飛んでいた。
「美味しそ〜」
……。
ピィピィ……と呑気に鳴いていた鳥は殺気を感じたのか、ビクッとしていた。
「陽華、焼き鳥になっちゃうけどいい?」
「大丈夫〜。ごめんね〜」
「いいわよ、これくらい。陽華の守りは重要だもの」
……そう言うことですか。
「炎よ、貫け」
飛華がスッと指を向けるとギャっと言う声がして、ピューと鳥が落ちてきた。……かわいそうに焦げているのと、まだ多分生きている。大火傷、だろうね。
「っと、キャッチ!」
美華が魔法でいい感じにコントロールして、地面には落ちず、私たちぐらいの高さで止まる。
「美華、ナイス!」
「でしょ?」
そんなことで胸を張るんですか……。
「あちゃ〜、半殺しだったか。鳥さんに悪いことしちゃったね」
「どうする〜? じっくり焼く〜? それとも短時間で焼く〜?」
かわいそうな鳥さん。君は私たちの餌食になってしまうんだね……。
「ん〜、できればじっくり焼いたほうが美味しいだろうけど……。時間的にあまりのんびりしないほうがいいのよね」
「じゃあ、すぐに焼いちゃうか〜」
「そうね。そのほうが鳥さんも痛くないだろうし……」
恐ろしい発想……。
確かに、半殺しだと恐怖で筋肉が固まって美味しくなくなっちゃうかも……。詳しいことは知らないけど。
「じゃあ、短期決戦だね。……炭火焼き!」
飛華……。
そんな魔法を開発していたの……?
「わぁ、美味しそう〜。さすが飛華〜」
「でしょでしょ?」
マジで似たもの姉妹なんですけど。
「ついでに保存食みたいに加工する?」
「……飛華ちゃん、流石に続きは私がやるよ」
「え? 大丈夫よ?」
いやいや。大丈夫じゃないでしょ。
「飛華は攻撃魔法をバンバン使うから、出来るだけ魔力は温存しておいたほうがいいと思う」
いくら魔力貯蓄量が多くても、ねぇ。
「……むぅ。わかったわ」
飛華は納得していないようだが、鳥を手放してくれた。良かった良かった。
「じゃあ稜華ちゃん。私も手伝うよ」
「ん。ありがと」
じゃあ、えっと……。
「夢華、保存食にできる?」
「干し肉だったら乾燥させるんだよね? それならできる」
なるほど。
「じゃあ、その工程、お願いしてもいい? 私はお肉の雑菌処理と味付けとかするから」
「了解!」
……あれ?
いつの間にか私、焼き鳥計画に参加している?
「稜華、焼き鳥にはできないの?」
「めんどくさいからそれは後でにしよう?」
「は〜い」
よかったです、納得してくれて。
えっと、最初はお肉……じゃなかった、鳥さんの息の根を止めないとだよね。
「情報停止」
しばらくして、鳥の息が止まったところで。
「情報削除、情報添付」
「乾燥」
あぁ、何が悲しくて情報をお肉に追加しているのでしょうか。
お肉を食べるためです!
**
「15階層、到達〜!」
途中、焼き鳥騒動があったものも、順調に? 進んで、とうとうここ10年、生徒が到達した最深層、15階層に来た。
「これで生徒の最高記録更新だね、美華」
「そうだね、風華。新時代の幕開けだよ!」
「名前が残ったりして〜」
……まぁ、ありえるかも。
私的にはあまり嬉しくないけど。
今話で100話となります!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。まだまだ6姉妹の物語は続きますので、どうぞよろしくお願いします m(_ _)m




